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エンダーのゲーム(字幕版) [洋画レビュー]

Ender's_Game_poster.jpg「エンダーのゲーム(字幕版)」
(監督:ギャヴィン・フッド)

昆虫型エイリアン・フォーミックからの攻撃により甚大な被害が出てから数十年、地球は第二次攻撃の恐怖に怯え続けていた。人類は反撃のために優秀な子供たちを“バトルスクール”に入学させ、戦争を終結させるべく戦闘のプロへと育て上げようとしていた。
入学当初からその優秀さでメキメキ頭角を現したエンダー(エイサ・バターフィールド)は、グラッフ大佐(ハリソン・フォード)やアンダースン少佐(ヴィオラ・デイヴィス)から受ける訓練や、仲間との競争・確執により更なる成長を見せるのだった。

原作付ながら、最近珍しい異星からの侵略者(?)ものなわけですが、実際の内容は粗筋の通り、エンダーの成長物語というもの。戦闘シーンは以前の地球に襲来した時の劇中内映像が中心。そういう意味では「スター・ウォーズ」のようなスペースオペラ的なものとは一線を画し、しかも結構重めで笑いの要素もほとんどない。

ワタシはこういうのもキライじゃない。ただ、ちょっと評価し辛い作品かな。

多分この作品のいいところは、感情的にならずに坦々と場面を描いているところにあるのだろう。この傾向はギャヴィン・フッド監督の基本的なスタンスだと思う。「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」でも同様の作風が伺えた。「ウルヴァリン〜」はアクション映画のため、そういう傾向は合わなかったと思うが、今作ではいい方に転んでいると思う。

この作風により、ストーリー的には宇宙を股にかけた壮大な戦記物の側面があるにも関わらず、落ち着きや、ある種の静けさというものを感じさせる、独特の作品に仕上がっている。

「ウルヴァリン〜」同様、主人公のキャラにフォーカスして演出する手法も監督の真骨頂か。そのお陰でエンダーの孤独や苦悩といったものがよく描けていた。エンダー役のエイサ・バターフィールドは、「ヒューゴの不思議な発明」のヒューゴを演じた子。今作でも達者な演技でしっかり“エンダー”を見せてくれた。

ただこの監督、やっぱり周囲の脇キャラたちを魅力的に描くのがヘタらしい。ここも前作同様(笑)。

物語上父子関係に近いグラッフ大佐はまだマシだが、仲間となるビーン(アラミス・ナイト)やペトラ(ヘイリー・スタインフェルド)を全く描けていない。
原作では今作の姉妹編となる「エンダーズ・シャドウ」の主人公・ビーン、そして今作でエンダーの一番の理解者となるペトラですら魅力的に描けないのでは、映画作品としては欠陥と言われても仕方ないのではないか。
前作でのウルヴァリンはほぼ一匹狼だったのでそれほど違和感を感じなかったが、今作のエンダーは孤独感を感じているとは言え、共に戦う仲間がいる訳で、ここが人間として上手く描ければ作品全体から受ける印象が全然違う、もっと生き生きしたものになったと思うのだが。

そもそも新訳版では上下巻となってしまったボリュームの物語を120分弱の映画作品にする段階でムリがあるのは確か。でも、だったら130〜140分にしてもいいから、脇役たちをもっと輝かせて欲しかった。

ガジェット的にはスペースシップ系のデザインが独特。「スター・ウォーズ」っぽい亜流デザインが多い中、脱した感のあるデザインで好感が持てる。ただ活躍の場が少なく、ハッキリした全体のデザインも分からないし、カッコいいか悪いかはよく分からないが(笑)。








ソフトが発売です。

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エリジウム〈吹替版〉(iTunes Storeレンタル) [洋画レビュー]

Elysium_Poster.jpg「エリジウム(吹替版)」
(監督:ニール・ブロムカンプ)

大気汚染・人口増加で地球全体がスラム化した近未来。一握りの超富裕層は衛星軌道上の宇宙コロニー〈エリジウム〉へと移住。そこは水と緑に溢れ、最新の機材によって重篤な傷病も瞬時に治癒できる楽園であった。地球の貧しい人々、特に地上の旧態依然とした医療では手のつけられない病気を治したいと願う人々は、決死の覚悟でエリジウムへと宇宙ポッドで向かうが、エリジウムの防衛庁長官ジェシカ(ジュディ・フォスター)が統括する防衛システムによって、撃ち落とされるか拘束後即刻地球へと送還されるかという運命が待っていた。
地球に住むマックス(マット・デイモン)は少年時代の悪行から足を洗って工場に勤めていたが、勤め先での事故により多量の放射線に被爆、余命5日を宣告される。何とか生き延びたい彼はエリジウムへと向かう事を決意し、昔の仲間スパイダー(ヴァグネル・モーラ)と取引をする。

昨秋公開時に見逃した今作をやっと見た。うん、まぁまぁ面白かった。監督の前作「第9地区」にはかなり及ばず、だけど。

ニール・ブロムカンプ作品なのでアクション主体の映画とは言え、単純な娯楽作品で済まないのは当然だけど、前作同様、かなり重い作品となっている。何てったって主人公からして余命5日だもん(笑)。カジュアルに楽しむ作品になりようがない。

その重さの主な要因は、前作でも顕著だった『格差差別社会』問題。多分、南アフリカ出身監督としてこの問題を外した作品を作る事は不可能なんだろう。前回差別されていたのは“エビ”ことエイリアンだったわけだが、今回はほとんどの人類が一握りの富める者たちに差別され、満足な医療も受けられないという状況。ダーク過ぎだろ(笑)。

ガジェットも前回ほどじゃないけど悪くない。外骨格スーツはイマイチだけど、何種類か出てくる小型の大気圏=宇宙輸送艇は割とカッチョいい。地球から衛星軌道上のエリジウムまで、追加装備も打上げ施設もなく普通に飛んでいくのにはやや苦笑するが、まぁそういうモノだと言う事で(笑)。要人用はピカピカ、スパイダーたちのはボロボロなど、扱いがちゃんとデザインにも反映されているのも好感。

前作で複雑な主人公を演じたシャールト・コプリーが、今度は狂人まがいの敵役・クルーガーを熱演。そのアクの強さはマックス役のマット・デイモンを食いまくってるほど(笑)。クルーガーが画面に現れるだけで緊迫感が張りつめるくらい。このキャラクターがいなかったら、今作もずいぶんつまらないものになってしまったかも。

そう、この作品はずいぶん穴がある。

主人公・マックスは、余命5日なのに薬飲んだだけでアクションしまくり&外骨格スーツを体に直にボルト止めすると言う暴挙(笑)を除くと、幼なじみとの恋愛や過去の悪ガキぶり、孤児院で育てられていたりと、ややステロタイプな設定。これではクルーガーに対抗するのは、さすがに難しかったかもしれない。
しかも肝心の外骨格スーツが活用されてる感じがしないのが一層微妙。マックスがアクションで活躍するのはスーツのお陰?なのかもしれないが、アクション映画の主人公なんて元々強いのが当たり前という認識が見る側にあるので意味がない。クルマのドアをひん曲げるような描写は少しあったものの、もう少し“強化された感”が欲しかったなぁ。

全地球 対 エリジウムという、かなり壮大な物語のはずなのに、地球の描写が何と言うか、せいぜい街一つくらいしか出てこないのも困りもの。これなら“他の地域は汚染されて住めなくなりました”とか言われた方がまだ納得性があると思う。

ストーリーや演出に関しても、やや荒削りな感が拭えない。その辺り「第9地区」が非常に練り込まれた感じがあったので、ここが最も残念なところかな。ニール・ブロムカンプ監督は、結構時間をかけて練り込んで行く方がいいタイプの監督なのかもしれない。





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マイティ・ソー/ダーク・ワールド(2D・字幕版) [洋画レビュー]

Thor_-_The_Dark_World_poster.jpg「マイティ・ソー/ダーク・ワールド(2D・字幕版)」
(監督:アラン・テイラー)

前作「マイティ・ソー」、そして「アベンジャーズ」での戦いの後、ソー(クリス・ヘムズワース)を始めとするアスガルドの戦士たちは、様々な時空にありアスガルドが統治している“9つの世界”を脅かす敵たちと戦い、これを駆逐。ひと時の平和が訪れた。しかし太古からの敵・ダークエルフ(クリストファー・エクルストン 他)が長い眠りから目覚めようとしていた。アスガルドに絶滅させられた彼らは残された数少ない一族で策略を練り、戦いを挑んでくる。その狙いはソーの恋人ジェーン(ナタリー・ポートマン)の体内に取り込まれた強大なエネルギーだった。

テレビ中心のキャリアを持つアラン・テイラー監督がどれほどのものを作り上げてくるか心配だった今作。まずは及第点かなぁ。ストーリーが何となく右往左往していて、今イチ化かされたような気がするが(笑)。話の展開がやや強引でご都合主義的なところが問題なのか?確かにロキ(トム・ヒドルストン)にいろいろ化かされてるところもあるけど(笑)。最後とか、分かってるけど『ヒエー!』って感じだった。

マーヴェル・シネマティック・ユニバースもこの作品で8作目。タイトルロールになったヒーローが4人。それぞれのヒーローに素晴らしい個性があるとは言え、これだけの作品を量産してくると、ヒーロー自体の魅力だけではもう新作は成り立たない。それぞれのキャラクターにきっちり合わせ、しかも毎回飽きさせない面白いストーリーを構築し続けられるかどうか。そろそろマーヴェルの底力が問われて来ていると思う。

マーヴェル総合プロデューサーのケヴィン・フェイグは「キャプテン・アメリカ」シリーズについて、『1作目はヒーロー映画の体裁を借りた第二次大戦の戦記物をやりたかった。2作目はポリティカルアクションになる』と語っていたようです。マーヴェルも、物語に関しては様々なバリエーションを展開していかなければ、早晩マンネリ化して飽きられると分かっているようですね。

という事を思ってもう一度今作を思い出してみると・・・・やはり物足りない。

元々ソーは神の力を持つヒーローでもあり、生半可な敵では相手にならない。となると、力対力というパワー・インフレスパイラルに突入せざるを得なくなり、描写だけはハデハデしいものの単調のそしりを免れ得ないと言う事になってしまう。

本当はそれを如何に上手く回避して、観客の認知し得る状況の範囲に収めるかが手腕だと思うのだが、本作では思いっきり大風呂敷を広げるばかりでその辺りの認識が甘い。だから強大な敵との戦いだというのに、クライマックスに何のハラハラ感もないのだ。

人間ドラマもどうも食い足りない。登場人物がやたら多く、それぞれのキャラクターの描写が平板だからか。中盤に起きる悲劇はもっともっと心揺さぶるものに出来ると思うのだが、当該キャラクター(ネタバレになるので名前は伏せますが)の描写が客観的過ぎるためにソーやオーディン(アンソニー・ホプキンス)の悲しみに共感できない。

同様にロキの燃えるような(はずの)復讐心や、ソーとジェーンの間の絆(燃える愛)などもすっかりさっぱりした感じなのが何ともガッカリ。

という事で、アメコミヒーロー映画としては水準かもしれないが、もっともっと面白くできる要素はあったと思うので残念なデキというのが感想。

本作は全世界で前作以上のヒットを飛ばしたらしいし、米評論家にも好評らしいし、思わせぶりに終わったし、当然続編が作られる事と思うが、出来ればもっと映画としての魅力に溢れた作品として作られる事を願います。





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プレーンズ(2D・吹替版) [洋画レビュー]

Planes_FilmPoster.jpeg「プレーンズ(2D・吹替版)」
(監督:クレイ・ホール)

小さな農村で農薬散布を仕事としている飛行機・ダスティ(瑛太)は、スキッパー・レイリー(石田太郎)やドッティ(甲斐田裕子)ら友人の力を借り、夢を実現するべく世界一周レースに出場する。飛行機なのに高所恐怖症のダスティは、果たしてレースでまともに戦えるのか!?

まずはとても面白かった(笑)。「カーズ」「カーズ2」と世界を共有している作品でもあり、作風も同じ方向。楽しく笑って最後はホロリとさせる。

特にダスティは「カーズ」のマックィーンと違って基本的にいいヤツなので、最初からすんなりと感情移入し易い。また敵となるキャラクターも最初からハッキリするので、ストーリーの軸がぶれる事なく進んでいく。そのお陰でスキッパー・レイリーの過去やエル・チュパカブラ(井上芳雄)とサクラ(仲里依紗)のラブストーリーなど、サイドストーリーも生きている。
最初に撒いた伏線をクライマックスでちゃんと回収している辺りも、フンフン、ニヤッ(笑)って感じw

今作は「カーズ」からのスピンアウト作品ではあるが、ピクサー作品ではなく製作に関与もしていない。ディズニートゥーン・スタジオズという、基本的に劇場公開されないで直接ソフト販売されるビデオスルー作品を作るスタジオが製作している。ディズニーの作る3DCG作品というと、キャラクターデザインなどがバタ臭くなりがちという大きな欠点(好みの問題ではあるが)があるのだが、今回は元作品というお手本があるお陰かそんな事もなく、安心して観られる。それも好印象のひとつ。

とは言え、じゃあ諸手を上げて賞賛できるかというとそうではない。やはり「カーズ」などに比べると、映画としての完成度はかなり落ちると言わざるを得ない。何と言うか、全体的にチープな印象なのだ。

ディズニートゥーン・スタジオズ製作の例に漏れず、今作も当初はビデオスルー作品としてスタートした。だからだろうがBudgetもかなり少なく(「カーズ」の半分以下)、そうなると製作期間も短いだろう。

それが最も表れているのがストーリー。上記に書いたようによく言えばわかり易い王道ストーリーだが、逆に言うと深みがない。オリジナリティや練り込まれた感がなく、どこかで見たような既視感を憶えてしまう。

もしかしたら、この辺りはビデオスルーの子供向け作品の特徴なのかもしれない。家庭環境で、飽きやすい子供たちを引きつけて親の代わりに子守りを担うためには、分かりやすい王道ストーリーで、話がさっさと進まないと、商品力ないのかも?

何にしてもBudgetが低い=製作期間が短いはずなので、脚本を練り込む時間も大してなかったのだろう。まぁ下手な練り込みならしない方がマシという事もあるが・・・(笑)。

本当は枝葉だと思われたサイドストーリーがもっと本スジに絡んでくるとか、伏線の生かし方にもうひと捻りあるとかすると、もう一歩いい作品になったと思う。

まぁ尺も92分と短め(「カーズ」は116分)な割には消化不良な気がしないのは、物語を複雑化していないからなのかな。「カーズ」より更に対象年齢は低めという事なんだろうなぁ。そういう意味では良く出来てるし、オトナでもそこそこ楽しめるバランスの良さはスゴい事なのかもしれない(笑)。

三部作となる事が決まっていて、2作目の予告編も公開されているので、バランスの良さは残しつつ、もっと映画としての完成度を上げていってくれるとウレシいですね。









Blu-ray発売です。

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G.I.ジョー バック2リベンジ 完全制覇ロングバージョン(iTunes Storeレンタル) [洋画レビュー]

G.I._Joe_Retaliation.jpg「G.I.ジョー バック2リベンジ〈完全制覇ロングバージョン〉」
(監督:ジョン・チュウ)

前作で悪の結社コブラを壊滅に追い込んだと思われたG.I.ジョーだったが、米国大統領(ジョナサン・プライス)はコブラ一味のザルタン(アーノルド・ヴォスルー)が変装の末に入れ替わっていた。ザルタンはその地位を利用してG.I.ジョーチームを罠にはめ、壊滅させる。隊長のデューク(チャニング・テイタム)は殉職。ロードブロック(ドウェイン・ジョンソン)ら生き残った数人は復讐のため、そして世界を守るために強大な敵に対して無謀とも思える戦いを挑む。

続編が右往左往しているのを当ブログでもお伝えしてたのに、結局劇場で見逃してしまったんで空き時間を利用してiTunesレンタルして視聴。こ、これは続編なのか!?(笑)

大統領が悪玉に入れ替わっているっていう前作のラストの落とし前という意味では確かにちゃんとついたんで続編なんだけど、逆に言うとそれ以外はことごとく続編になってない。

前作ではオモチャが原作の映画らしくガジェット満載の華やかな未来的イメージだったハイテクな世界観が一気に後退して、ほとんど現代と変わらない雰囲気になってしまった事。
前作では国家にとらわれない組織だったG.I.ジョーチームが、今作ではせいぜい米軍海兵隊の特殊部隊みたいな位置付けになってしまっている事。
ワタシが前作で気に入っていたキャラクターのシエナ・ミラー演じるアナが出てこない事は事前情報で分かっていたが、前作ラストで思わせぶりに終わっていたアナとデュークの物語を、序盤のデュークの死によってあっけなく終わらせてしまった事。

これらは前作では肝だったはずで、それを全て変えてしまうなんて考えられない。

これは、明らかに監督の問題だろう。Wikiの当該ページに監督のコメントが若干載っているが、それを見るまでもなく、前作のような物語を紡いで行く能力がジョン・チュウ監督にはなかったのだと思う。
ワタシはある程度Budgetの問題なのかと思っていたが、確かに前作よりは低くなっているとは言え、今作も1億3,500万ドルの予算がつぎ込まれている。
上記の問題を全て予算の都合に出来る程の低予算映画ではない。

多分この監督はSF的なものはニガテで、アクション映画を撮りたかっただけなのだろう。Budgetがいっぱい付いて、アクションを撮れるという事を期待してオファーを受けたのではないか。だから主役は肉体派のドウェイン・ジョンソンで、憧れのブルース・ウィリスにも出演して貰えた。監督はさぞ喜んだ事だろう(笑)

確かに単独のアクション映画だと思えば割と見れる(笑)。ストーリーはメチャクチャだしゴリ押しだらけだけど、アクション場面とアクション場面を繋いでいるだけだから(笑)あんまりこだわらなければこれで良いような感じだ。

それにしてもよくこんな内容にOKが出たな。これではもうこの続編は作れないだろう。やるならこの2作目をなかった事にして(笑)1作目の続編を作り直すしかなさそうな気がする。とにかくジョン・チュウ監督には前作に対する敬意が全く感じられなかった。それが一番残念だった。





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ゼロ・グラビティ(3D・字幕版) [洋画レビュー]

Gravity_Poster.jpg宇宙に浮かぶスペースシャトル。その周囲で艦外作業をしているライアン(サンドラ・ブロック)やマット(ジョージ・クルーニー)たち。普段のルーティンワークであったはずの作業はしかし、ロシアの人工衛星爆破から始まった事故の巻き添えを食い、多くの死者を出す惨事で中断。ライアンも宇宙空間に放り出されてしまう・・・・

世の中的にはかなり評判がいいらしい今作。SFに分類される作品には珍しく(笑)アカデミー賞作品賞にもノミネートされている事からも評判の良さがわかる。

ただ、ワタシ的にはそれほど面白くなかったような・・・・(笑)。ストーリーを語る従来の映画作品として考えると、やや冗長で退屈じゃなかろうか(爆)。

確かに宇宙から見た地球や宇宙空間の精緻な描写など映像の美しさ、そして宇宙の無重力下での俳優たちの自然な行動は目を見張るものがある。そして、それを3D映像として見せる事で、一層の臨場感を与えている部分は特筆すべきものがある。

ただ、それだけではテーマパークのアトラクションじゃなかろうか。映画館で“アトラクション3D”と銘打って登場したのは「怪盗グルーの月泥棒 3D(2010年)」(未見)だったか。本作の精緻さはモノ凄いが、アトラクション的要素という意味では似た位置付けなのかもしれない。

折角これだけ精緻な宇宙空間の描写を手にしたのだから、「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」や「トゥモロー・ワールド」を撮ったアルフォンソ・キュアロン監督ならもっと出来たんじゃないか、面白いストーリーを描けたんじゃないかと思ってしまう。ゼイタクかなぁ・・・・。

本作のストーリーは、助けの来ない宇宙空間から、いかにして地球にたどり着くかという一点。言ってしまえば「猿の惑星」あるいは「600万ドルの男(ちょっと違うか)」のプロローグ部分を一本の映画にしたようなもの。余程の仕掛けがなければ(なかったわけだけど)冗長になるのは当然と言えるかも。

悪口ばかり書いてしまったが、見ればよく出来ているし、上記のように体験型のアトラクションだと思って見れば、一層楽しめると思う。




Blu-ray発売です。その他関連商品も紹介を。






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トータル・リコール(字幕版) [洋画レビュー]

TotalRecall2012Poster.jpg「トータル・リコール(字幕版)」
(監督:レン・ワイズマン)

フィリップ・K・ディックの短編「追憶売ります」の再映画化であり、アーノルド・シュワルツェネッガー主演ポール・バーホーベン監督作品「トータル・リコール(1990年)」のリメイク作品。

化学兵器を使用した大戦により、人が生存できるエリアが富裕なヨーロッパ地区(UFB)と貧困に喘ぐオーストラリア地区(コロニー)のみになっている未来。UFBとコロニーの間は、地球を貫通するチューブ型エレベーター「フォール」によって繋がり、貧しいコロニーの人々は毎日UFBへ向かい、労働者として少ない賃金で働かされていた。
コロニーに住みUFBの工場で働いているクエイド(コリン・ファレル)は、警察官でもある妻ローリー(ケイト・ベッキンセール)と貧乏ながら幸せな結婚生活を送っていたが、たびたび見る悪夢に悩まされていた。夢の中で彼は謎の女(ジェシカ・ビール)と共に警察に追われ、女を逃がす代わりに自分は捕まってしまうのだ。日々の工場労働の疲れと悪夢に嫌気がさしたクエイドは、リコール社を訪れる。そこではどんな記憶も思いのままに作り出し、あたかも自分が体験したように感じる過去を植え付けられるのだ。悪夢との関連性から『スパイ』になりたいとリクエストしたクエイドだったが、記憶操作の前に警官隊が突入してくるのだった・・・・。

「アンダーワールド」や「ダイ・ハード4.0」のレン・ワイズマン監督という事で、それなりに期待していたのだが、あんまし良くなかったなぁ・・・・。

全体的な印象としては、何とも小粒。こちらがどうしてもバーホーベン版の印象があって観ているからかもしれないが。ビジュアル完成度や実際のBudgetなどは別として、やはり1990年版は“アクション超大作”だったと思う。しかし、今作はそれに比べるとスケールダウンした感じだ。極端に言ってしまうとテレビドラマのパイロット版に近いかもしれない。

丁寧に作られているし、安っぽくも感じない。ガジェットもいろいろ出てきて楽しませてくれる。でもどこもかしこも突き抜け感がないんだよなぁ。ちょっと良く出来てる優等生って感じ。前作が突き抜けまくってるだけにねぇ(笑)。

バーホーベン版がなければ、もしかしたらもっと面白く感じたかもしれない。逆に言えば前作と違った魅力をどう表現できるか、という事が未消化だったのではないか。同じアクション映画という土俵に乗らず、SF映画的アプローチをしていればまた違う展開もあったんじゃないだろうか。

記憶の書き換えという固有の魅力を使い切れていないのも残念。前作の方がもっとそういう事での混乱を(まだ)上手く使っていたように思う。今作では、結局主人公の“思い込み”の範疇を出ずに終わってしまった。

ビジュアル面では、UFBとコロニーの描き分けが上手くいっていない。よくある描写ではあるが、富裕層の世界と貧困層の世界をきっちり描き分ける事が、こういう二極対立の話では重要だと思うのだ。その辺りが全く出来ていない。「TIME/タイム」くらいの描き分けはして欲しかったところだ。これは多分、UFBの街中を舞台にしたシーンがほとんどない事が影響しているんだろう。

良かったのは、相変わらずケイト・ベッキンセールは美人だったw事、そして前作の同役(シャロン・ストーン)は割と早めに退場してしまったと思ったが、今作では最後まで頑張ってくれるのが救い(笑)。ジェシカ・ビールも頑張ってるけど、ややモッサリしてるのがなぁ(汗)。ヒロインより敵役の女性の方が美しいのは前作を踏襲してる(爆)。

なんだろうなぁ、レン・ワイズマンはアクション映画は撮れてもSF映画はダメなのかなぁ。



トータル・リコール (ディック短篇傑作選)

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スノーホワイト(吹替版) [洋画レビュー]

Snow_White_and_the_Huntsman_Poster.jpg「スノーホワイト(吹替版)」
(監督:ルパート・サンダース)

また微妙な時期のレビューになっちゃってスイマセン(汗)。

ある王国。立派な国王マグナス(ノア・ハントリー)と美しい王妃エレノア(リバティー・ロス)の間にかわいい王女が生まれた。雪のように白い肌、血のように赤い唇、黒檀のように黒い髪をもつ彼女はスノーホワイトと呼ばれた。彼女は両親の暖かい愛情の中ですくすくと育っていたが、彼女が10歳のある日、病気がちだった王妃は帰らぬ人となってしまう。王妃を愛していた王は非常に悲しみ、隣国との戦いに癒しを求めた。その戦いの中で王は美しい女と出会い、新たな妃として城に迎え入れる。最初はスノーホワイトにも優しく接していたその女・ラヴェンナ(シャーリーズ・セロン)はしかし、実は残酷な魔女だったのだ・・・・。

うん、いい感じの作品でした。ビジュアルは「ロード・オブ・ザ・リング」フィーリングで、ストーリーはアクション満載のダーク白雪姫、と言ってしまえばおしまいか(笑)。

原題ではタイトルにも入っている『ハンツマン(猟師)』=物語のキーマンとなるエリック(クリス・ヘムズワース)の活躍がこの物語のキモ。美しき王女ながら幽閉されていて薄汚いwスノーホワイトとのペアも、まぁありがちだが悪くない。それこそ「ロード・オブ・ザ・リング」じゃないが、二人が反発しながらのロードムービー的な逃避行によって物語は進行して行く。

クリス・ヘムズワースは「マイティ・ソー」でも観たし、間もなく「アベンジャーズ」でも観るはずだけどw最近人気?(ソー役だから当然か) シュワルツェネッガーやスタローンを継ぐ筋肉系アクションスターになれるかな?役者としてはまだ味が出るまでには至っていない気がするが・・・吹替版だとその辺りのニュアンスが分からないのはちょっと残念。まぁシュワもスタローンもアクション以外は難があったし(笑)関係ないと割り切ってしまう事も出来るけどね。

主役スノーホワイト役のクリステン・スチュワートは「トワイライト」シリーズですっかり売れっ子になった訳だが、ワタシはあんまり好きな顔じゃなかったなぁ(爆)。アゴ過ぎ(笑)。確かに独特の雰囲気を持ってるけど。ちょっと顔つきがキツすぎるのかなぁ。目つきが鋭すぎるというか。

そう言えば間もなく公開になるターセム・シン監督作「白雪姫と鏡の女王(原題:Mirror Mirror)」(9月14日日本公開予定)との競作状況も早く確認したいもんです(爆)。

まぁさすがにやや小粒感は拭えないけど、一般受けしやすそうなストーリーと、イギリス人監督らしいグレイッシュな映像で充分に楽しませてくれる作品でした。どうやらこれを一作目にした三部作構想もあるらしいので、続編も楽しみにしたいですね。



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アメイジング・スパイダーマン(2D・吹替版) [洋画レビュー]

The_Amazing_Spider-Man_theatrical_poster.jpeg「アメイジング・スパイダーマン(2D・吹替版)」
(監督:マーク・ウェブ)

大ヒットしたサム・ライミ監督三部作からリブートした新生スパイディ映画第一弾。サム・ライミ版との大きな違いはピーターが高校生という事(サム・ライミ版では大学生)。スパイダーマン誕生からそのままの時間軸で最初の活躍が描写されている。そのせいか、全体的に話の運びはスムーズで、尚かつ細かく描写されている印象だ。

科学者のパーカー夫妻の子供ピーターは伯父夫婦(マーティン・シーン/サリー・フィールド)に預けられて育った。両親に捨てられたのではないか、という悩みを持ち続け、高校3年生になったパーカー(アンドリュー・ガーフィールド)はある日、父の残したバッグを見つける。その中の資料からコナーズ博士(リス・エヴァンス)と父との繋がりを発見したパーカーは、両親の真実を求めるあまりコナーズ博士のラボがあるオズコープ社へと潜入、そこで実験に使われていた蜘蛛に噛まれてしまう。

全体的な印象はイッツ・スパイダーマン(笑)。ヒーロー映画ではあるものの、やはり青春映画の側面が強い印象。スパイディの“強さ”としては、劇中で怪我もするし前シリーズと比較してもかなり弱いんじゃないかなぁ。その辺りは青春してる事と合わせて、よりスパイダーマンを人間臭く描こうという意識の現れかな。

ダークな味付けがされるという話もあったけど、極端な振られ方はしていない感じがする。ただ前シリーズ一作目では少し感じられたユーモアがほとんどないし、ヒロインのグウェン(エマ・ストーン)との楽しいひと時もかなり少ないので、明るい雰囲気の印象に残る場面があんまりない。

なので、映画を観て受ける印象は結構真面目な青春映画。ワタシの好みとしてはもっと明るい方が趣味なんだけど・・・・まぁ好みの問題かもしれないけど。

アンドリュー・ガーフィールドはトビー・マグワイヤに比べて悩み顔が似合ってる(笑)。パーカーの笑顔のシーンはかなり少なかったよなぁ・・・・。トビーのパーカーはちょっと不思議くんチックな雰囲気もあったけど、今回のパーカーは地に足の着いた役どころで、より現実感を持っている。

ヒロイン役のエマ・ストーンは割とカワイかったですよ(爆)。キルスティン・ダンストのヒロインはややクセがあったのでw一般的に単純にかわいくていいんじゃないでしょうかね。しっかり者な感じが終盤の行動につながっていてキャラクターとしても立ってるかな。ただグウェンは原作では○○でしまうので・・・・(汗)、気の早い心配ながら今シリーズの先行きを思うとそれも暗い気持ちに。クライマックスで彼女のお父さん(デニス・リアリー)に投げかけられる言葉が伏線ぽくてヤな感じ(笑)。

ワタシとしては、つまらなくはなかったけど諸手を上げて賛成できないスパイディ映画、って感じですね。続編制作が既に決まってるので、「アイアンマン」ほどじゃなくていいからwもう少し雰囲気明るくして欲しい。クリス・ノーラン版「バットマン」シリーズが大ヒットしたからといって、みんながみんなダークにしなくていいのにね。「アベンジャーズ」の超大ヒットで全体的に方向性が変わって行くと嬉しいんだけど。



スパイディのビルの間を飛び回るシーンのCGは前シリーズよりずいぶん自然だった気がします。って言っても今回はあんまりそういうシーンなかったな(笑)。
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前シリーズは二作目だけレビュー済み。微妙だなぁ(汗)。

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メリダとおそろしの森(3D・吹替版) [洋画レビュー]

Brave_Teaser_Poster.jpg「メリダとおそろしの森(3D・吹替版)」
(監督:マーク・アンドリュース/ブレンダ・チャップマン)

ピクサー初のフェアリーテールを題材とした作品にして、初の女性主人公の作品。

10世紀のスコットランド。ある国を統治するファーガス王とエリノア王妃の間には四人の子がいた。王女メリダとそしてまだ子供盛りの三つ子の王子たちだ。特にメリダは活発で弓矢が大好き。年頃だというのに王妃の厳しい躾に反発し、自由な時間があれば愛馬アンガスに跨がって森で弓矢の腕を磨くのだった。
そんなメリダにもいよいよお見合いの時期が来る。国内の有力貴族3人が、自分の息子こそ王女の婿にと連れて来たのだ。結婚相手選びを迫る王妃に対し、束縛される事を恐れるメリダは森で出会った魔女に願い事をする。「母の事を変えて欲しい」と・・・・

うーん、想像していた通り、あんまりパッとしない地味な作品だったな・・・・。

ある程度工夫はしてるが、やっぱり従来のおもちゃ箱をひっくり返したような楽しいビジュアルとは一線を画している。スコットランドの昔話を題材に持ってきた段階で決まっていた事ではあるが、森と海と石積みの城では工夫も限られて当然か。

弾けたキャラクターが存在しないのも地味な印象に拍車をかけている。「カーズ」のメーター、「ファインディング・ニモ」のドリー、「モンスターズ・インク」のサリーのような、いわゆる“ギャグ担当”は今作では三つ子たちだと思うのだが、話の根幹に全く関与しないので効いていないのだ。

今作はメリダの成長物語でもあるのだが、その辺りもちょっとなぁ。成長する姿は描かれてはいるものの、ポイントの描き方が弱いので今イチ見えづらい。しかも最初に描かれるメリダの問題点と、成長したメリダの姿に、どうもズレがある気がしてワタシ的には余り感心できなかった。そこが乗れなかった一番の要因かもなぁ・・・・。

大島優子の吹き替えは、達者とは言えないけど思ったよりは違和感なかったのは良かったけど、ピクサー作品はこちらの観る意識も自然と良いものを期待してしまう事もあり、今作はちょっと残念な印象でした。あ、恒例のショートフィルムW同時上映「月と少年」「ニセものバズがやって来た」は楽しかったな〜(笑)。



キャラクターがキャラクターだけに、今回はオモチャ展開も弱いね〜。フィギュアも売れそうもないし、ぬいぐるみにも出来ないし・・・・。
メリダとおそろしの森 王家フィギュア ストラップ 5種 王女全5種 1 メリダ 2 アンガス 3 エリノア女王 4 フ

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メリダとおそろしの森 メリダ ドール ディズニー

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