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エリジウム〈吹替版〉(iTunes Storeレンタル) [洋画レビュー]

Elysium_Poster.jpg「エリジウム(吹替版)」
(監督:ニール・ブロムカンプ)

大気汚染・人口増加で地球全体がスラム化した近未来。一握りの超富裕層は衛星軌道上の宇宙コロニー〈エリジウム〉へと移住。そこは水と緑に溢れ、最新の機材によって重篤な傷病も瞬時に治癒できる楽園であった。地球の貧しい人々、特に地上の旧態依然とした医療では手のつけられない病気を治したいと願う人々は、決死の覚悟でエリジウムへと宇宙ポッドで向かうが、エリジウムの防衛庁長官ジェシカ(ジュディ・フォスター)が統括する防衛システムによって、撃ち落とされるか拘束後即刻地球へと送還されるかという運命が待っていた。
地球に住むマックス(マット・デイモン)は少年時代の悪行から足を洗って工場に勤めていたが、勤め先での事故により多量の放射線に被爆、余命5日を宣告される。何とか生き延びたい彼はエリジウムへと向かう事を決意し、昔の仲間スパイダー(ヴァグネル・モーラ)と取引をする。

昨秋公開時に見逃した今作をやっと見た。うん、まぁまぁ面白かった。監督の前作「第9地区」にはかなり及ばず、だけど。

ニール・ブロムカンプ作品なのでアクション主体の映画とは言え、単純な娯楽作品で済まないのは当然だけど、前作同様、かなり重い作品となっている。何てったって主人公からして余命5日だもん(笑)。カジュアルに楽しむ作品になりようがない。

その重さの主な要因は、前作でも顕著だった『格差差別社会』問題。多分、南アフリカ出身監督としてこの問題を外した作品を作る事は不可能なんだろう。前回差別されていたのは“エビ”ことエイリアンだったわけだが、今回はほとんどの人類が一握りの富める者たちに差別され、満足な医療も受けられないという状況。ダーク過ぎだろ(笑)。

ガジェットも前回ほどじゃないけど悪くない。外骨格スーツはイマイチだけど、何種類か出てくる小型の大気圏=宇宙輸送艇は割とカッチョいい。地球から衛星軌道上のエリジウムまで、追加装備も打上げ施設もなく普通に飛んでいくのにはやや苦笑するが、まぁそういうモノだと言う事で(笑)。要人用はピカピカ、スパイダーたちのはボロボロなど、扱いがちゃんとデザインにも反映されているのも好感。

前作で複雑な主人公を演じたシャールト・コプリーが、今度は狂人まがいの敵役・クルーガーを熱演。そのアクの強さはマックス役のマット・デイモンを食いまくってるほど(笑)。クルーガーが画面に現れるだけで緊迫感が張りつめるくらい。このキャラクターがいなかったら、今作もずいぶんつまらないものになってしまったかも。

そう、この作品はずいぶん穴がある。

主人公・マックスは、余命5日なのに薬飲んだだけでアクションしまくり&外骨格スーツを体に直にボルト止めすると言う暴挙(笑)を除くと、幼なじみとの恋愛や過去の悪ガキぶり、孤児院で育てられていたりと、ややステロタイプな設定。これではクルーガーに対抗するのは、さすがに難しかったかもしれない。
しかも肝心の外骨格スーツが活用されてる感じがしないのが一層微妙。マックスがアクションで活躍するのはスーツのお陰?なのかもしれないが、アクション映画の主人公なんて元々強いのが当たり前という認識が見る側にあるので意味がない。クルマのドアをひん曲げるような描写は少しあったものの、もう少し“強化された感”が欲しかったなぁ。

全地球 対 エリジウムという、かなり壮大な物語のはずなのに、地球の描写が何と言うか、せいぜい街一つくらいしか出てこないのも困りもの。これなら“他の地域は汚染されて住めなくなりました”とか言われた方がまだ納得性があると思う。

ストーリーや演出に関しても、やや荒削りな感が拭えない。その辺り「第9地区」が非常に練り込まれた感じがあったので、ここが最も残念なところかな。ニール・ブロムカンプ監督は、結構時間をかけて練り込んで行く方がいいタイプの監督なのかもしれない。





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コメント 2

エコピーマン

第9地区より 私はおもしろかったですよ
放射線を浴びて瀕死の状態に 外骨格スーツを体に直にボルト止めはさすがに笑いましたが...(´ー`)b 

by エコピーマン (2014-02-21 22:37) 

tomoart

>エコピーマンさん
ワタシには「第9地区」の方が合ってました(^^)「エリジウム」も悪くないですけどねー。
by tomoart (2014-02-28 11:32) 

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