SSブログ
洋画レビュー ブログトップ
前の10件 | 次の10件

プレーンズ2/ファイアー&レスキュー(吹替版) [洋画レビュー]

Planes_Fire_&_Rescue_poster.jpg「プレーンズ2/ファイアー&レスキュー」(吹替版)
(監督:ボブス・ガナウェイ)

世界一周レースで優勝しチャンピオンになったダスティ(瑛太)は、その後も連戦連勝。すっかり人気者になった。ある日いつものようにスキッパー(銀河万丈)と練習飛行をしていたダスティはギアが故障してしまう。ドッティ(甲斐田裕子)に、もう今までのようなスピードは出せないのでレースは無理だと言われたダスティは、深夜その言葉を振り払うように全速力で飛ぶが、エンストして空港に不時着。火災を起こしてしまい、それが元で空港のずさんな火災管理が露見して閉鎖に追い込まれてしまう。責任を感じたダスティは、自分が消防団員としての資格を取って空港を再開させるべく、自然保護区を守るレスキュー隊に入隊するのだが・・・・。

一言で言うと、これはメッチャ面白い!(笑)ホントに素晴らしかった。どれくらい面白かったかというと、同じ日に見た「マレフィセント」「オール・ユー・ニード・イズ・キル」よりも断然面白かったくらい(笑)。
これを見ると改めてこういう人助けをする職場の物語が受ける理由がよくわかる。

それは何かと言えば、要は成すべき事(目標=人助け)がハッキリしている、ということである。正しい道、方向性が分かりやすく提示されているという事で、話が整理しやすくなるし、色々なヒネリやサイドストーリーを織り込みやすくなる。まぁそこで製作者のセンスがためされるわけでもあるが。

今回ストーリー的なヒネリはそれほどないが、何と言ってもそれぞれのキャラが立ちまくっているのが素晴らしい!特にオヤジキャラたちがカッコ良過ぎる(笑)。

レスキュー隊という事でチームワークや責任感、そしてもちろん個々の能力が大事になって来る。その辺りがしっかりと描かれていて、ベテラン揃いの先輩たちのスゴさ、頼もしさが最初から描かれていてサイコーに楽しい。

四駆のピックアップ車・ダイナマイト(喜田あゆ美)を始めとしたパラシュート隊の面々もカッコいい(働くクルマはオトコの子の永遠のアイドル♪)し、レスキュー隊リーダーのヘリ・ブレード((金尾哲夫)の我が身を賭した活躍もイイのだが、ワタシ的には最もシブい二人(二台か)サンダーバード2号的なウィンドリフター(山野井仁)とサブリーダーのキャビー(佐藤美一)にシビレタ〜(笑)。

ウィンドリフターの見せ場はやっぱりコンテナ接続シーン。別にチビメカが入っているわけじゃないけど(当たり前笑)、出動する時のメカニックなシーンはどの作品でもカッコいい!
キャビーは出動する時にパラシュート隊を乗せるシーンももちろん印象的。今作ではこちらの方がサンダーバード2号っぽい役割。ただ、一番の見せ場はクライマックスに向けての決断シーンがカッコいい!!!

いやさり気ないシーンなんで、普通に見てると流されちゃうシーンかもしれないけど。寡黙で自分を語らず、派手に活躍するパラシュート隊やリーダーのブレードに挟まれて地味なヤツが、リーダー不在の時に多くの命を救うか否かの決断をしっかりとする、いや出来るところにワタシはシビレましたね(笑)。

という事で、ワタシ的には前作は「面白いけど、やや退屈」といったくらいの評価だったけど、今作は娯楽作としてはもしかして元祖の「カーズ」を超えたかも!と思えるくらいのデキだった。火災現場の全体の状況がよく分からなかったりする問題点もあるけど、そこは画作りの迫力もあってそれほど気にならない。

公開最初の週末成績はパッとしなかったみたいなんだけど、これは大人が見ても楽しめる、良く出来た娯楽作。三部作と決まっていて次作もあるはずなので、是非みんなで観に行ってください!




あー、ヒロインのディッパー(近藤春菜)に全く触れなかったな(笑)。そしてキャビーのトミカが見つけられず…やっぱ地味だわ(笑)。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

パシフィック・リム(吹替版) [洋画レビュー]

Pacific_Rim_FilmPoster.jpeg「パシフィック・リム(吹替版)」
(監督:ギレルモ・デル・トロ)

去年8月の公開時にレビューしそこねてたんで・・・・。

太平洋の深い海底の割れ目から怪獣が出現するようになってから10年以上が経過していた。人類はイェーガーという巨大ロボットを建造して怪獣に対抗していたが、頻度が増すに従って製造が追いつかなくなったために計画を破棄。巨大な壁で都市を覆う防御策を講じていたが、巨大化する怪獣に対して余りにも無力だった。そんな中、イェーガー計画を推す軍司令官スタッカー・ペントコスト(イドリス・エルバ)は、残っているイェーガーを使って怪獣が出現する割れ目自体を破壊する計画を立てるのだが・・・・。

今さらですが、続編の話も出てるみたいなんでレビューしといた方がいいかなー、と(笑)。そして当ブログのドストライク映画だし。

これ、やっぱりいいよね(笑)。巨大怪獣、巨大ロボット、ペアでの操縦、異次元からの侵略など、やっぱジャンルものが好きなんだよな、オレ!って再確認出来る作品。怪獣は一頭一頭デザインが違うし、イェーガーも一体一体デザインが違ってる。最近だと量産品て事にして、製作の立場で言えば3DCGデータが使い回せるし、デザインが似ててもその方が設定上“らしかった”りするので逃げちゃいやすいところを、ヲタクのツボを理解してるギレルモ監督はちゃーんと抑えてくるのがナイス!

イェーガーたちの戦い方や武装も、もうまるで永井豪の描いた『マジンガー軍団』かと思ってしまう程スーパーロボット的!この辺りは演出も相まって燃える!

怪獣のデザインはやっぱり欧米風味が入ってて、ちょっと日本人のイメージからは違うけど、それはそれでカッチョいい。

とは言えどこが違うのか気になってつらつら考えるに、まぁ着ぐるみじゃないってのが大きいけど(笑)あとは目玉の大きさとかかな。日本の怪獣って、悪役でもどこかに愛嬌があるというか。そういうのをデザイン面で払拭したのが「ガメラ2 レギオン襲来」「ガメラ3 邪神覚醒」のレギオンやイリスだったわけだけど。

日本の怪獣は、天災の象徴というか、ある種、神に近い存在。だから悪さをしてても、どこか愛情の対象になり得る様子を持っていたと思う。しかし欧米だと八百万神という発想はないから、どちらかと言うと印象が悪魔に振られていく。そうすると怖いもの、畏怖すべき存在という描写になる。そこが日本とハリウッドの怪獣の捉え方の違いに現れているんじゃなかろうか。

なんて考察をカマしつつ(笑)話を映画に戻すけど、実はこんなにナイスな作品なのに、見終わったあとにちょっとモヤモヤしてしまった。それは何故か。

既に公開から間もなく一年という時期なのでネタバレを恐れず書くけど、多分、ジプシー・デンジャーが最後破壊されてしまうからじゃないだろうか。

上記で怪獣の捉え方の日欧比較をしたけれど、同じくロボットに関して言うと、従来から欧米は“操縦するロボット”というのは広く受け入れられず、ロボットと言えば自立歩行タイプが主だった。欧米でアトムが広く受け入れられ、スーパーロボットがヲタクの範疇に留まったのは、そういうバックボーンがあったからだ。つまり自分ではない他のもの、と言う訳。

しかるに日本ではどうか。マジンガーZに代表される、主人公が操縦するスーパーロボットは他人ではない。これはまさに自分自身だ。自分がロボットという“超能力”を発揮して巨大な敵を倒す、まさに男の子が理想とする『強い自分』の象徴なのである。ロボット=自分自身なのだから、ロボットが跡形もなく破壊されては、いくら主人公が助かってもハッピーエンドにならないのである。

という事で、今作のラストでジプシー・デンジャーが破壊されてしまった事で、昔のヲタク(笑)であるワタシとしては何となくモヤモヤしてしまったのである。

あ、あと一つ言いたいのは、やっぱりマコ役の菊地凛子だろう(笑)。えーと、こういう作品でヒロインやるには、ちょっと薹が立ち過ぎている(汗)。この辺りのフィーリングは、欧米人にはわかんないのかなぁ。欧米じゃ、菊地凛子もプリティーガールなんだろうなぁ。日本人に欧米人の年齢がよく分からないのと同じで。





nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

X-MEN:フューチャー&パスト(2D・字幕版) [洋画レビュー]

X-Men_Days_of_Future_Past_poster.jpg「X-MEN: フューチャー&パスト(2D・字幕版)」
(監督:ブライアン・シンガー)

人類は壊滅的な被害を受けていた。ミュータント殲滅のための人類の兵器・センチネルは、ミュータントの遺伝子をもつ非ミュータントまで抹殺し始めたため、ほとんどの人類が対象となってしまったのだ。センチネルの戦闘能力の高さは人類はもちろん、あらゆるミュータントも対抗出来ず、全滅は時間の問題だった。あらゆる人類最大の危機に再び手を組んだプロフェッサーX(パトリック・スチュワート)らX-MENとマグニートー(イアン・マッケラン)たちブラザーフッドは、センチネル開発前の過去に介入する事で現状を打開しようと考える。

想像できた事だけど、今作はメチャクチャ複雑なストーリーだ。キャラクターはいっぱい出るし(まぁ時系列の問題で間引きして考えなきゃいけないが)、米国の歴史的背景も絡んでくるし、前作「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」含め全ての「X-MEN」シリーズの映画(「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」「ウルヴァリン: SAMURAI」含め)と繋がってるし、もちろんタイムパラドックスの問題も絡む。のほほんと見ていると訳分からなくなる可能性が大きい。まさかと思うけど、今作で初めて「X-MEN」の映画を見るなんてのは無謀と言っておこう(笑)。

その複雑な物語を131分の中に凝縮し、少なくともワタシのようなバカでも(笑)ある程度理解できるように作られている事はホントにスゴいの一言で、ブライアン・シンガーの職人的手腕が遺憾なく発揮されている。

ただ語るべき物語が複雑過ぎる事で、折角ブライアン・シンガーの「X映画」復帰作なのに、今回はちょっとドラマ部分が今イチ。それなりにエモーショナルなシーンはちりばめられているものの、演出力と演技力で引っ張っているだけなのでやはり弱い。そのせいかキャラクターが死んでしまうシーンが多いにも関わらず、全体的に平板な印象を受けてしまう。

まぁ仕方ないんでしょうね。この辺りはオールスター総出演映画として、割り引いて見てあげなきゃいけないところかな。Wikiには『ローグ出演シーンは大量に撮影されたのに編集でバッサリカットされた』などと書いてある(アンナ・バキンかわいそう…)ので、これでも随分と頑張って縮めた結果なんでしょうから。

て事で、一つ目の見所はやっぱりキャラクター。プロフェッサーXことチャールズ役のパトリック・スチュワートとジェームズ・マカヴォイ、マグニートーことエリック役のイアン・マッケランとマイケル・ファスベンダー、ウルヴァリンのヒュー・ジャックマン、ミスティークのジェニファー・ローレンス、ビーストのニコラス・ホルト、キティ・プライドのエレン・ペイジ辺りは出演時間も長くてそれなりの役だが、ハル・ベリー(ストーム)は捨て駒的扱いだし、ファムケ・ヤンセン(ジーン・グレイ)、ジェームズ・マースデン(サイクロップス)、はてはケルシー・グラマー(未来のビースト)などに至っては、初期三部作を見てきたファンには感涙もののキャラがホンのチョイ出演(汗)。ある意味ゼイタクな作品である。

二つ目の見所はやっぱアクションシーンでしょう。ここはなかなかの見ものです。ミュータントたちの能力を余すところなく描き、それに完全に対抗するセンチネルを描く。この未来側の悲しい戦闘がスゴい。

でも一番チャーミングで楽しかったのは、過去側のマグニートーを脱獄させる時の超高速で動くクイックシルバー(エヴァン・ピーターズ)の活躍!牢獄の厚いガラスを超振動を起こして破壊したり、むち打ちを防ぐためにマグニートーの頭に手を当てたりするのは序の口で、警官に囲まれた時の大活躍はそのユーモア混じりな事もあってケッサクです(笑)。ここは是非注目して見てもらいたいですね!

エンドクレジット後の映像、あれはどうも、製作が既に確定している次回作「X-MEN:アポカリプス」に繋がる映像らしいです。原作ファンにはすぐにピンと来る類いのものらしいですが、ワタシにはちょっと難しかったです(笑)。詳しく知りたい方は、検索して調査してみてくださいね。





nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

スター・ウォーズ エピソードVI/ジェダイの帰還 特別篇(Blu-ray) [洋画レビュー]

ReturnOfTheJediPoster1983.jpg「スター・ウォーズ エピソードVI/ジェダイの帰還 特別篇」
(監督:リチャード・マーカンド)

帝国軍は第2デススターを完成させようとしていた。完成すれば反乱軍にとっては壊滅の危機だ。それを阻止するため、そして友人のために、ルークとレイアは惑星タトウィーンのジャバ・ザ・ハットの元を訪れ、ハン・ソロを取り戻そうとする。一方デススターにはダースベイダーが、続いてシス・マスターである皇帝が到着する。果たして反乱軍はデススターを破壊し、逆転勝利を収める事が出来るのだろうか・・・・

旧三部作、そして現時点ではスター・ウォーズ・サーガ最終作の「ジェダイの帰還」である。新三部作が作られる前は、どちらかと言うと“駄作”的位置付けだったかと思う(笑)。それでもまぁ、歴史的シリーズの完結篇という事で、それなりに愛されてきたと思うが。

ワタシも今回レビューを書くに当たり久しぶりに見直してみたが、確かにちょっとつまらない(笑)。ストーリーがメイン一本で脇道も伏線もないために単調なのだ。唯一の脇道と言えば、あのイウォークなので(笑)尚更ガックリしてしまうというわけ。前作の充実は一体なんだったのか・・・・。

問題の一つは、今作では基本的に主役の三人が一緒に行動しているので変化を付けにくいという事があるだろう。終盤ルークは別行動になるが、ほとんど傍観者的立場に終始してしまうので、変化をつけるところまで効いていない。

もう一つはドラマ的味付けが全くない事。人間ドラマに対しては、はなからSWに大した期待などしていないわけだが(笑)それにしてもミッションミッションの連続で緩急が全くないためにキャラクターの内面がほとんど描かれていない。本当なら冗長な惑星エンドアでの話を半分くらいにして、タトウィーンとエンドアの間にドラマ中心のエピソードがちょっと入っているだけで、映画全体の印象が全然違ったと思うのだが。

そんな一本調子の話が、前作とは全く違うジョージ・ルーカス的ノーテンキさに彩られているので、尚更バカっぽく感じてしまうのだろう。アクションシーンにも全く緊迫感が感じられないし、強大で統率の取れているはずの帝国軍は間抜け過ぎる(笑)。そしてイウォークの存在がそれを更に補強している。

イウォークの存在自体に関してワタシはそんなに否定しないが、少なくともクライマックスの戦闘であそこまで活躍させる必要はなかったはずだ。ハン率いる反乱軍の、反撃の切っ掛けを作る程度に抑えられていれば、サブストーリーとして十分機能したはず・・・・まぁ問題部分のディテールの話をし始めたら切りがないわけだけど。

という事で今作の最大の問題がクライマックスにやってくる。主役であるルークは父親であるダースベイダーに救いを求め、最後は父親の決死の行動によって帝国は崩壊する・・・・っておい!(笑)。ここが最大のガックリポイントである。

普通エンタテインメント性の高い物語ではこんな場合、主役が偉大な父を乗り越えて自ら問題を解決してこそハッピーエンドとなるのだ。これでは父はやっぱり偉大だった、子供は親のお陰で命拾い、という、何とも情けない物語になってしまっている。本来ならやはりここは絶体絶命のピンチを父親の助力で乗り越え、最後はヒーローたる主役本人が敵役に引導を渡す形でなければならない。それが出来ていないので、見終わった時にスカッとしないのだ。

今となっては全6部作(現在)通しての真の主役はダースベイダーであり、“帰還”した“ジェダイ”がアナキン・スカイウォーカーだったという事が分かっているので、この展開も理解できないわけではないが、それでも最後は息子が父親を超えてこそ、父親は安心して死を受け入れられるのではないだろうか。ホントこの部分が一番残念です。

特別篇/改訂版としての破壊ポイントは、みんなが書いているようにこの「ジェダイの帰還」が一番ひどい(笑)。最後に霊体として現れるアナキンが、公開当時のセバスチャン・ショウから新三部作でアナキンを演じたヘイデン・クリステンセンへと変わってしまっているのは、全く持って理解出来ない改悪。早急に戻してもらいたい・・・・てもう無理なのかなぁ。他のところはまぁ諦めてもいいかと思うけど。

J・J・エイブラムス監督のエピソードVII公開まであと1年半。この「ジェダイの帰還」の印象が好転するような物語が紡がれるのか否か。何にしても絶対観に行くわけで、是非期待に応える内容になっていて欲しいと思います。


〈スター・ウォーズ関連のレビュー記事一覧〉
スター・ウォーズ エピソードIV/新たなる希望 特別篇(Blu-ray)
スター・ウォーズ エピソードV/帝国の逆襲 特別篇(Blu-ray)
スター・ウォーズ エピソードVI/ジェダイの帰還 特別篇(Blu-ray)※当記事
スター・ウォーズ/最後のジェダイ(2D・字幕版)
スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2D・字幕版)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

スター・ウォーズ エピソードV/帝国の逆襲 特別篇(Blu-ray) [洋画レビュー]

帝逆パンフ1.jpg「スター・ウォーズ エピソードV/帝国の逆襲 特別篇」(監督:アーヴィン・カーシュナー)

デススターを破壊された帝国軍は反乱軍を追う手を更に強めていた。氷の惑星ホスに基地を設けた反乱軍だったが、それも程なく帝国軍に露見し、決死の覚悟で各個脱出を図る。レイアやハン、チューバッカたちの搭乗したミレニアムファルコンも脱出するものの、ハイパードライブ故障により窮地に陥る。一方XウイングのルークはR2-D2と共に、オビ=ワンの意に沿い惑星ダゴバへと向かう。そこでジェダイ騎士の師、ヨーダに師事するのだ。方やミレニアムファルコンは危機を脱し、ハンの悪友ランド・カルリジアンを頼って雲の惑星ベスピンへと向かうが、その後ろをバウンティハンターのボバ・フェットが密かに追跡している事は知る由もなかった・・・・。

という事で、「スター・ウォーズ」の中では非常に評判の高い「帝国の逆襲」である。うむ、確かに今の目で見直してみると、シリーズの他の作品が基本的に“ノーテンキ”なのに比べ、非常に劇的で憂いを帯びたトーンで作られており、大人の作品に仕上がっているように思う。

これはもちろん語るべきストーリーによるところが大きいのだろうが、一方ジョージ・ルーカスのテイストが“ノーテンキ”なのだとも言えそうだ(笑)。製作順で言うと2作目となる今作では巨匠アーヴィン・カーシュナーを迎え、若きジョージ・ルーカスは巨匠を抑えられず、自分の意図と反するテイストの作品が作られたと(笑)。第3作となる「ジェダイの帰還」は同年代(やや年上だが)で実績も余りないリチャード・マーカンドを監督に据え、多分ルーカスの思う事を実践出来たんじゃなかろうか。まぁ想像ですが。

いずれにしろ、この「帝国の逆襲」は「スター・ウォーズ」サーガの中で異彩を放つ作品となっていることは間違いない。そういう作品が一番評価が高いと言うのは皮肉でもあるが。

相変らずのガジェット三昧は魅力満載。ファンの多い帝国謹製AT-ATスノーウォーカー、対抗する反乱軍のスノースピーダー、宇宙ではスターデストロイヤーを凌駕するスターエグゼキューターやボバのスレイブ1、反乱軍の雑多なスペースシップが大挙して登場している。この時のデザインはどれもそんなに悪くないのに、なんで新三部作はダサかったのかね・・・・w

キャラクターでも今だに人気の高いボバ・フェットや、「ジェダイの帰還」でも活躍するランドなどが初登場。引き続き出演のレギュラーたちも、アーヴィン・カーシュナーの的確な演技指導で、見違えるような深みのあるキャラクターになっている。

日本人としては、今作公開時のインターナショナルポスターのイラストが生頼範義氏なのも忘れられない。このイラストは、シリーズ他作品のどのイラストと比べても最も優れていると思うが、これは日本人としての贔屓目だけではないと思う。

そんな「帝国の逆襲」だが、前回の「新たなる希望」レビューで書いた通り、ワタシの好みとしては1作目に劣る。それは何故だろうと色々と考えながら見ていたのだが・・・・

一つ目はまぁ、完結しないストーリーだろう。前作はシリーズ化されるか未知数だったし、物語的には完結していないものの、作劇上はしっかりと結末を描いたものになっていた。次作「ジェダイの帰還」では三部作の完結篇として大団円が描かれた。そういう意味ではやはり“繋ぎ”の作品である今作は前後の作品と比べ、一本の作品として見るとエンディングが中途半端になってしまっているのは致し方ないところだろう。

もう一つ今回見直していて気付いたのは、呆れるほど主役のルークが活躍しない事だ。ホスではワンパに襲われてソロに助けられ、ダゴバではヨーダからさんざん未熟者扱いされ、ベスピンではヴェイダーに腕を切り落とされレイアとソロに救われる。ワタシのように主役に感情移入して見る人間としては、今回のルークはダメダメ過ぎて到底“ヒーロー”とは呼べず、フラストレーションばかりがたまる展開となっている。だからきっと映画自体にも満足出来なかったのだろう。

まぁそれも中間の作品として、タイトル通り“帝国の逆襲”を描いたものだったのだから当たり前ではあるが・・・・。

それと特別篇という部分で言うと、今作は一番問題が少ない。全体感を説明する遠景ショットが所々に挟まっているのが目立つ程度だ。あまり意識せずに見られる気がする。

なんだかんだ言っても、多分今作の完成度の高さがなければ旧三部作の評価は今とはまた随分違ったものになっていただろう。素晴らしい作品を作ったアーヴィン・カーシュナーに感謝である。


〈スター・ウォーズ関連のレビュー記事一覧〉
スター・ウォーズ エピソードIV/新たなる希望 特別篇(Blu-ray)
スター・ウォーズ エピソードV/帝国の逆襲 特別篇(Blu-ray)※当記事
スター・ウォーズ エピソードVI/ジェダイの帰還 特別篇(Blu-ray)
スター・ウォーズ/最後のジェダイ(2D・字幕版)
スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2D・字幕版)


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

スター・ウォーズ エピソードIV/新たなる希望 特別篇(Blu-ray) [洋画レビュー]

StarWarsMoviePoster1977.jpg「スター・ウォーズ エピソードIV/新たなる希望 特別篇(Blu-ray)」
(監督:ジョージ・ルーカス)

遂に!ついにレビュー書きました。今さら×10倍くらいの「スター・ウォーズ」です!!!(笑)

帝国の圧政に苦しんでいた銀河の中で、反乱軍の苦戦は続いていた。そして圧倒的な破壊力を持つ帝国軍の新兵器デス・スターが完成。しかし反乱軍スパイがその設計データを入手し、データはレイア姫の手に託された。果たして設計データは反乱軍本部に届き、デス・スターの弱点を突き止める事はできるのだろうか・・・・。

5月4日スター・ウォーズの日という事で、やっぱり見たくなってしまったので視聴。いや素直な反応だ(笑)。

「スター・ウォーズ」6作品の中で、みんなそれぞれ好きな作品があると思うが(新三部作と言う人はあまり多くないかもしれないがw)、ワタシはやはりこの最初の作品が一番好きだ。当時の狂乱ぶりを受けて、劇場に今は亡き父親に連れられて観に行った時、ワタシはまだ小学生だったが、今まで見た事もない映像に衝撃を受けた。

ドラマチックな展開、一本の映画としての完成度などから言えば、SW作品では確かに「帝国の逆襲」が素晴らしいかもしれない。それでもやはり「New Hope」と付かない「スター・ウォーズ」というただ一本の映画であった時に見たファースト・インパクトはワタシの中でぬぐい去る事が出来ないのだ。


まずもって一番の魅力はガジェットだろう(笑)。Xウイングファイターやミレニアムファルコン、Yウイングにスターデストロイヤー、タイファイターなど、スペースシップは言うに及ばず、R2-D2とC-3POのロボットコンビ、ライトセーバーやスピーダーなど、たびたび商品化されてきた事はご存知の通り。様々なエイリアンたちそれぞれにもファンがいるし、まぁ画面に出て来た全てのものにファンがいると言っても過言ではない。

ワタシもXウイングとミレニアムファルコンはやっぱりファインモールドのプラモ、買いましたもん(笑)。特にXウイングは、公開当時タカラから発売されていたプラモも、ずいぶん後になってからヤフオクで再販版を入手。商品が少なかったミレニアムファルコンは、バルサ材を削って作ろうとした事もあった(笑)。


大まかなストーリーも、実のところ今見ても悪くない。辺境の地に住む若者が師によって聖戦のど真ん中へと導かれ、仲間の助けと覚醒した自らの能力によってヒーローになる。典型的なサクセスストーリーだがその表現もあって当時は斬新だったし、今でもエンタテインメントとしては捻り過ぎず素直に見ていられる素晴らしいストーリーだ。


キャラクターの配置もいい。ただ今の視点で映画として見た時に一番に感じる事。それは人間そして人間ドラマが描けてないという事だ。まぁジョージ・ルーカスだからね(汗)。この作品の中で主人公ルークは育ての父母、師、そして(特別編では)旧友を失うわけだが、一瞬の悲しみの後、あっけらかんと忘れてしまう。レイアも(この段階では)実の親兄弟や肉親、そして故郷の星そのものを失ってしまうが、反応はルークと大同小異だ。

この辺りをどう取るか。多分劇場鑑賞当時のワタシは全く気にならなかったと思う。小学生だし(笑)。この映像表現でお腹いっぱい大満足だった。冒険活劇、スペースオペラとしては当時なら許容範囲と言えるかもしれない。あんまり暗くなるキャラクターは不似合いだしエンタテインメントをスポイルしかねない。

とは言えやっぱり今見ると人情として、もう少し何かが欲しくなるのは事実。多分それは、キャラクターの成長ではないだろうか。上記のように過酷な経験をしたのだから、物語のオープニングよりエンディングの時の方が成長したキャラクターにならなければオカシイと思うのだが、この作品ではそれが見られない。そこがこのエピソードIVの一番残念なところだ。

人間キャラとして最も人気が出たハン・ソロは、出て来た最初から大人だし、成長不要の完成されたキャラクターのために今作の中で最も違和感なく描写されている一人だ。逆に言うとそれに対してルークとレイアが魅力的に見えなかったのは、上記のような問題点があったからだとも言える。


そして一応触れておくと、今回視聴したのは例の「特別編」。まぁ上映版は既になかなか目に出来ない状況だが・・・・。

特別編で追加された映像は、やはり一目で分かる。違和感があるからだ。そして、演出自体の質が違っている。元の映画はほとんどのシーンでカメラは据え置きか首振りのパン撮影くらいで、平行移動するドリー撮影の印象もほとんどない。これは当時の撮影に制約が多かった(合成も多かっただろうし、低予算で機材も不足していただろう)からかもしれないが、そのお陰でどっしり落ち着いた画作りがされていて、こういう内容なのに地に脚がついた印象を与えていた。

ところが追加された映像は、カメラ自体を動かして撮影(CGだけどw)している。お陰でCGの明るめの色味も含め、非常に軽い印象。フワフワした、地に脚のつかない印象だ。CGなだけに、データの中ではカメラの移動も自由自在。それが楽しくてジョージ・ルーカスはやり過ぎたんじゃないだろうか。これはもしかしたら(見直してみないとわからないが)新三部作にも繋がる、シリーズ近作の致命的な悪印象のひとつの原因かもしれない。


まぁ、今となっては今作はイベントムービー。あまり細かい事を言わず、次々出てくるキャラクターやメカニックを愛でてオーバー2時間見るのが正しいと言うものだろう。ただディズニーが権利を握った現在、ルーカスの改悪(特にエピソードVI)を訂正してくれたりすると・・・・まぁ、もうないだろうな(笑)。


〈スター・ウォーズ関連のレビュー記事一覧〉
スター・ウォーズ エピソードIV/新たなる希望 特別篇(Blu-ray)※当記事
スター・ウォーズ エピソードV/帝国の逆襲 特別篇(Blu-ray)
スター・ウォーズ エピソードVI/ジェダイの帰還 特別篇(Blu-ray)
スター・ウォーズ/最後のジェダイ(2D・字幕版)
スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2D・字幕版)


nice!(2)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

アメイジング・スパイダーマン2(2D・字幕版) [洋画レビュー]

The_Amazing_Spiderman_2_poster.jpg「アメイジング・スパイダーマン2(2D・字幕版)」
(監督:マーク・ウェブ)

今日もスパイダーマンとしてニューヨークの人々を守るピーター(アンドリュー・ガーフィールド)も、いよいよハイスクールの卒業式を迎える。総代スピーチは・・・なんとグウェン(エマ・ストーン)!素晴らしい卒業式だったが、その夜、グウェンの父親(デニス・リアリー)と交わした約束に取り付かれていたピーターはグウェンとの仲を終わらせる事に。
一方、オズコープ社では社長であるノーマン・オズボーンが病死、その息子でピーターの同級生ハリー・オズボーン(デイン・デハーン)が社長に就任する。しかしそのオズコープ社の発電装置で事故が起こり、従業員マックス(ジェイミー・フォックス)が電気人間エレクトロへと変容。ニューヨークはパニックに包まれる。


前作も高評価を得、今作の前評判も上場なマーク・ウェブ版スパイディ第2弾。確かに面白かった!「スパイダーマン」シリーズは、いったい何が受けているのか。その答えをまざまざと見せつけられるような作品だ。その答えは、一言で言えば『人間ドラマ』だ(笑)。余りにもそのまんまなのだが・・・・。

まぁちょっとアメコミ知ってる人には言わずもがななのだが、スパイディはある意味最も観客一人一人に近い存在だ。10数年、普通に(というよりちょっとひ弱に)育って来た少年が蜘蛛に噛まれたところから急にヒーローになってしまう。しかも孤独に戦うまちなかのヒーローだ(別名“親愛なる隣人”と呼ばれる由縁だ)。

例えば同じマーヴェルなら、先日最新作をレビューした「キャプテン・アメリカ」は生い立ちもあってS.H.I.E.L.D.で仲間と共に戦う。「ファンタスティック・フォー」も研究者仲間のヒーローユニット。「アイアンマン」は大富豪だし、「マイティ・ソー」に至っては神様だ。DC系なら「スーパーマン」は異星人だし、「バットマン」は大富豪、「ワンダーウーマン」はアマゾネスだ。ヒーロー物語を語るには、それなりのバックボーンが必要なのだ。

それらに比べるとスパイディは本当に孤独な戦いだ。巨大な陰謀にたった一人で立ちふさがり、時にユーモア溢れる軽口を叩いては自分を鼓舞する(この辺り前作より増えた印象で、暗くなり過ぎないことに貢献している)。だからこそ見ている我々はその他のヒーローたちに比べて深く感情移入し、だからこそ応援してその活躍に喝采するのだろう。

今回のピーターは、実は輪をかけて孤独な立場だ。同居しているメイおばさん(サリー・フィールド)には心配させないようにスパイダーマンである事は黙っているし、正体を知り理解してくれているグウェンとは別れるし、友人のハリーとは・・・・だし(汗)。

その一方でスパイディは、ピーターも思わぬ程に街の人気者へとなっていく。この落差が一層ピーターの立場を悲しいものに感じさせる。だからか、原作ファンには有名な反スパイディ編集長J.J.はメールでしか登場しない(笑)。スパイダーマンを非常に社会で肯定された存在として描いている。

しかしアンドリュー・ガーフィールドは上手い。ちょっと照れてはにかむような笑顔から、非常な悲しみに暮れる表情など、様々な人に翻弄され葛藤が続くピーターをしっかりと演じている。エマ・ストーンもややアイドルちっくながら(笑)アンドリューの演技をちゃんと受けていて好感。

ただメイ役のサリー・フィールドはなんとなくパッとしなかったなぁ。彼女が心に残る演技を披露していたら、スゴい映画になったと思うんだけど・・・・これは彼女の問題か、監督の問題か。監督かなぁ・・・自分が感情移入出来ないキャラクターの演出が弱いのかも、と想像。ピーターとの間にもう少しウィットに富んだ会話があって、ポイントポイントに胸を打つセリフがあれば良かったのになぁ。

とにかくスケール感アップ、アクションも大盛りに、ドラマもグッと深堀りされて、どこを取っても前作比でレベルアップしている。ワタシの好みの作風でないのは間違いないので、わざわざ再見するかというと微妙だけど、それでも見ている間は十二分に楽しむ事が出来た。お薦めです。




そう言えばワタシ、1作目でスパイディの正体がグウェンにバレてないと、ずーっと誤解してました(汗)。先日前作のテレビ放送を見て思い出しました・・・・恥ずかしい( ;´Д`)

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(吹替版) [洋画レビュー]

Captain_America_The_Winter_Soldier.jpg「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(吹替版)」
(監督:アンソニー&ジョー・ルッソ)

S.H.I.E.L.D.の貨物船がシージャックされた。急行して犯人たちをあっさりと片付けるキャップ(クリス・エヴァンス)たちだったが、この事件には裏があった。それを調べようと動き出したニック・フューリー(サミュエル・L.ジャクソン)は、直後に偽装警官たちに襲われる。そしてそこに一人の兵士(セバスチャン・スタン)が現れる。“ウィンター・ソルジャー”と呼ばれる彼は、数々の仕事を成し遂げてきた生粋の暗殺者。ついにフューリーもその餌食になってしまう。悲しみに暮れるキャップやブラックウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)だったが、そこに新たな陰謀が立ちふさがるのだった・・・・。

北米週末興収3週連続トップと快進撃を続けている今作、先週末についに日本公開されたので、「ロボコップ」や「キック・アス2」の二の舞三の舞にならないようにさっそく見てきたw

これは確かに面白い!上映時間136分丸々アクションモリモリなのに権謀術数吹き荒れまくりで、目も頭も結構使う(笑)。ちょっと固有名詞を聞きそびれると話について行けないところがあるので、これから観る人は途中で集中を切らさないように。プロデューサーのケヴィン・フェイグが“ポリティカル・アクション映画”と言っていたのがよく分かる。

コミックの「ウィンター・ソルジャー」も読んだが、映画ではストーリーのアウトライン自体が相当違う。ウィンター・ソルジャーというキャラクターのベースは同じだけど、コミックではロシア過激派の手先となっていたのに対し、今作では前作「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」でも敵役だった“ヒドラ”の手先として出てくる。そして彼は今作ではキャップのアクション相手として派手な活躍をするが、物語上はほぼ狂言回し(笑)。

陰謀やら謎解きやら様々な仕掛けがうまく効いていて、ストーリー自体が観客を力強くグイグイ引っ張って行く。それが今作の一番の面白さ。冒頭の貨物船救出作戦も、普通ならキャラクター紹介のシーンとして単なるアクションの見せ場で終わるところが今作では後々ストーリーの根幹に関わってくる。伏線という程ではないが、ちりばめられた仕掛けが繋ぎ合わさっていくのを見るのは、プロの仕事らしくてやっぱり気持ちがいい。そして観ていて単純に楽しい。

アクションシーンも満載でこの点でも楽しませてくれる。キャップは特殊能力がないヒーロー(というか、そういう意味では今回の映画には特殊能力のあるキャラクターは基本的に出て来ないが)の上、飛び道具も持っていないので等身大の肉弾戦中心になるのだが、クルマや立体交差する道路を使ったり、クライマックスでは例のヘリキャリアを使ったりで、立体的なアクションを見せていて飽きさせない。何よりファルコンが飛び回っているのがイイ(またか笑)。

ちなみにキャップ唯一の武器である盾だが、今作では劇中で全く説明がないので知らない人に言っておくと、あれは特殊合金ヴィブラニウムで出来ていて、とにかく硬くて全く壊れないという設定になっている。多分米国人にとっては、その事は常識過ぎて説明不要なんだろう。

しかしさすがにポリティカルとアクションでモリモリになったお陰か、この作品、人間ドラマがやや弱い・・・・これは致し方のないところかな。出来ればもう少しアクションを減らしても、キャップの現代社会への不適応に悩む姿を描いて欲しかったが。コミック版の10分の1くらいしか悩まないもんなぁ(笑)。





nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

ラッシュ/プライドと友情(字幕版) [洋画レビュー]

Rush_UK_poster.jpeg「ラッシュ/プライドと友情(字幕版)」
(監督:ロン・ハワード)

自由奔放な生活を送り、天性の才だけで勝利する英国人ドライバー、ジェームス・ハント(クリス・ヘムズワース)。ち密な計算と工学への精通、そして勤勉さで対抗するオーストリア人のニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)。フォーミュラレースの下位カテゴリーからライバル同士だった二人はついにF1へと上り詰める。しかし当時のF1は『事故で年に2人は死者を出す』と恐れられる難しい大会だった。そして1976年第11戦ドイツグランプリ。大雨の中で強行されたレースで、ラウダは大事故に遭ってしまう。

非常に評判のいい今作。当ブログ的ではないのだが、元々割とF1のテレビ中継は見ている(と言っても中嶋悟氏以降だが)ので興味はそれなりにあった上に友人が誘ってくれたので、久しぶりに日劇で“映画の日”に観て来た。

まずはとにかく面白い。実話がベースではあるのだが、そういう事と関係なくちゃんと映画として面白く作られているのが素晴らしい。

実話ベースだと、なるべく実話に沿ったものにすると得てして散漫なものになったり、もしくは「マリと子犬の物語」のように大幅に改定して映画的脚色を行わざるを得ないものになったりする。しかし今作では実名が使われ、当の本人のニキ・ラウダも内容が正しいと認めているらしい。

さすが「アポロ13」「ビューティフル・マインド」「シンデレラマン」など、数々の伝記映画を監督して来たロン・ハワード。まぁ以前の作品では映画的改変が問題になったりもしていたけど(笑)。逆に言えば、改変が不要なほどに実話がドラマチックだったとも言えるかな。

ストーリーは当然、F1界を舞台に展開するわけだが、抜きつ抜かれつして結果勝利はどちら!?みたいなレースシーンはほとんど出てこないので、そう言ったスポ根的エンタテインメントを期待して観てはいけない。

ほとんどのレースはイメージ画像と二人のリザルトのみで処理される。最後1976年のチャンピオンシップの行方はある程度描写されるが、これとてハントが3位に入るかどうか、しかも順位があやふやでレースが終わるという盛り上がらない展開(笑)。在りし日のF1目当てなら、盛り上がれるのはタイレル(ティレルじゃないw)6輪に代表される過去の個性的なマシンたちが映像の端々を通り過ぎる程度になるだろう。サイドメニューとしては楽しいが、それはメインディッシュじゃない。

メインディッシュは、ハントとラウダという、全く相反する個性を持ったF1ドライバーの、男と男のプライドを掛けたぶつかり合いだ。

長身でハンサム、明るく奔放な性格で公の場でもタバコを離さず、気に入った女とはすぐにセックス、レース前後でも平気で夜にはパーティでしこたま酒をあおるジェームス・ハント。外面は豪快な彼だが、実はレース前には極度のストレスから嘔吐し、インタビュー中も全く落ち着いていられない。F1のシートを失いかけるとひどく落ち込み、そのせいもあって離婚する事になる妻のスージー(オリヴィア・ワイルド)には未練タラタラ。でもそう言った内面を人に見せる事は全くなく、精一杯虚勢を張る姿は、ある種清々しくさえある。

片やニキ・ラウダはコンピュータとあだ名されたように、レースで勝つためにすべき事をストイックに突き詰めていく。酒もタバコもせず、女には奥手。しかし、ことレースとなると、チームに対してもスポンサーに対しても強気になる。大やけどを負い、顔に生々しい傷跡が残るにも関わらず1ヵ月あまりでレースに復帰する強靭な精神力。人間性などどこへという生き様に見える彼だがしかし、仲間に囲まれる人気者のハントを見る目には嫉妬が浮かび、愛する女性・マルレーヌ(アレクサンドラ・マリア・ララ)を得てチャンピオンシップを手放すことになる。

映画では片方に寄ることなく双方を均等に描くことで、さながら観客(特に男性)にとってのリトマス試験紙の様相を呈している。
『きみは、どっちになりたい?』というわけだ。

多分、ほとんどの男性はこの二人のキャラクターの間のどこかにポジショニングされるのでは?そしてどちらを目指したいかによって感情移入先が決まり、それによって今作から受ける印象も変わって来るのではないかと思う。

一つ言えるのは、どちらも他人に見せている顔と、内面の本当の姿は違うという事。そして安易に内面を見せることをとても嫌って虚勢を張っているという事だ。直接的に描かれるハントはもちろん、端々で間接的に描かれるラウダとてしかり。これほどに傑出した二人すらそうなのだから、男っていうのはつくづく虚勢張りなのだなぁ、と思い知らされる(笑)。

しかし、それこそが“男の美学”なのである・・・・。





nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

LOOPER/ルーパー〈吹替版〉(iTunes Storeレンタル) [洋画レビュー]

Looper_poster.jpg「LOOPER/ルーパー(吹替版)」
(監督:ライアン・ジョンソン)

現在=2044年、タイムマシンはまだ開発されていなかった・・・が、30年後には開発されていた。しかし過去を改変してしまう危険があるために使用は禁止されていた。そのタイムマシンを未来のマフィアが悪用。消したい相手を現在に送り、それを殺し屋“ルーパー”が撃ち殺す、というシステムを作り上げた。
ジョー(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)もそんなルーパーの一人。度々未来から指定の場所に飛ばされてくる人間を撃ち殺し、死体を処分する事で膨大な利益を得ていた。ところがある日、送られてくるはずの相手が指定時間に送られてこない。しかもやや遅れて送られてきた相手(ブルース・ウィリス)はいつものように縛られていない、覆面もしていない状態。その目を見てジョーは理解する。コイツは30年後のオレだ、と・・・・。

劇場公開から一年経って、やっと鑑賞(笑)。むー、どうなんだろう・・・・。世間的な評判は上々なようですが。

雰囲気はいい感じ。ジョーのモノローグではじまり、モノローグで大体終わるので、基本的にこの映画はジョー主観の映画と言っていいだろう。そのため作品の雰囲気が、ジョーというキャラクター造形とリンクしている。ジョーは殺し屋でドラッグ中毒。そして自分自身のやっている事、自分の周りのどうしようもないヤツらに対して相当シニカルだ。

映画全体から感じる雰囲気も、ジョーの性格を反映してアイロニカルなトーンでまとめられている。グレイッシュな画作り、踏み込み過ぎない引き中心のフレーミング、役者たちの抑えた演技などによって、物語の中では相当荒っぽい事をやっているにも関わらず静かな印象の作品に仕上がっている。

物語もジョーの心情の変化を描いている。ドラッグに溺れ、人を殺す事に何のためらいもなく、保身のために友人すら売る人物から、未来の自分や農場に住むサラとシドの親子(エミリー・ブラント、ピアース・ガニォン)との出会いによって、最後は自分のすべき事を知って実行する男へと変貌を遂げる。

ただ、ワタシがどうもこの作品に乗れないのは、多分この重要な部分、サラやシドとジョーとの関係の変化が上手く描けていないからだと思う。自分勝手なジョーが、サラとシドとの触れ合いによって徐々に変化していったはずなのだが、そこがスポッと抜けている。この二人を自分より大事に思うようになる、その転換点がハッキリしないから、終盤のジョーの行動に説得力もなければ共感も出来ないのだ。

お陰でそれ以外の細かい点が気になってしまう。中心街と農場との地理的な関係だとか、タイムパラドックスだとかに関してだ。

特にタイムパラドックスは、タイムマシン/タイムトラベルもの全てのアキレス腱でもあり、これを完全に抑え込むには平行宇宙を導入して、改変された歴史はどこか別の宇宙に影響を与えている、という事にするしかない。ま、そうなるとあんまり時間ものをやる意味がなくなってくるけど(笑)。

今作では、過去に起こった事はそのまま未来に反映されるというストレートなもの。そうなると問題なのは、本当は『過去が改変された事を、未来では知りようがない』という事。だから例えば序盤の、現代で組織がジョーの友人に行う惨い拷問などは、本当は30年後の自分には30年前の拷問であり、それが改変された過去であるとは認識できないはずなのだ。

まぁ、こういう事は言ってもしょうがない事なんだけど。「サウンド・オブ・サンダー」みたいに諦めてスペクタクルな見せ方にしちゃうトンデモ映画もあったしなぁ。

超能力者の存在、ホバービークルなども劇中で上手く使ったとは言い難く、ワタシ的には残念ながら世間の評判とは裏腹にイマイチな映画という印象だった。




タイムトラベルもの各種。「時をかける少女」はレビュー済。「サウンド・オブ・サンダー」は、まとめ記事にて触れています。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画
前の10件 | 次の10件 洋画レビュー ブログトップ
1ヶ月無料のU-NEXT

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。