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密林の骨 [小説レビュー]

「密林の骨」(アーロン・エルキンズ)早川推理文庫

友人のジョン・ロウとフィルと共に、アマゾン河のジャングル・クルーズに割り込み参加したスケルトン探偵ことギデオン・オリヴァー。何ともひなびた船に乗り込んだ一行は、クルーズの主催者である民族植物学者のアーデン・スコーフィールドとその一行と顔合わせする。周囲のジャングルに潜む凶悪な土着民族、そしてその周囲は麻薬の密売が横行している一帯でもあった。そして不穏な事件が発生する・・・・。

このブログでも「骨の島」「水底の骨」「骨の城」と、大した期間でもないのに既に4冊目の紹介。一時刊行がストップしていてやきもきしたのだが、それも脱して順調に刊行されているのがウレシい。既に次回作が本国では刊行済らしいので、続刊もそうそうにお願いしますw

さて、「密林の骨」であるが、毎度熱々のおしどり夫妻で、ジュリーと一緒に世界を回っているギデオンだが、今回はむさ苦しく男三人の旅行。しかも船に乗っての閉じ込められた空間での話であるが、意外というか何というか、いつも通り楽しくスラスラ読めてしまうのだった(爆)。というか、割と男友達の旅行ってそれはそれでとっても楽しいし、特にこんなジャングル奥地なんて行くとなったら男同士の方が楽しいに決まっている。そういう雰囲気作りがとてもうまい。いかにも登場人物たちが楽しんでいる様子がよく分かるので、こちらも楽しくなって来るのだ。
このシリーズ、既に今までの紹介の中で、探偵小説としてはずいぶんとライトになってしまっている事は何度も書いてきた。そのお陰と言うか、そういうところに余り期待しなくなって来た為に、愛すべきギデオン・オリヴァーというキャラクターに感情移入して読む旅行小説的なノリで十二分に楽しめてしまうのだったw

まぁ、こうなったら、スケルトン探偵シリーズは続く限りフツーに読んでいくんだろうなぁw


密林の骨 (ハヤカワ・ミステリ文庫 エ 3-9)

密林の骨 (ハヤカワ・ミステリ文庫 エ 3-9)

  • 作者: アーロン・エルキンズ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: 文庫

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黎明の星(上・下) [小説レビュー]

黎明の星.jpg「黎明の星 上・下」(ジェイムズ・P・ホーガン)創元SF文庫

木星から生まれた遊星アテナの接近によって全面がズタズタになってしまった地球から何とか脱出したランデン・キーンとその一行(「揺籃の星」)。それから数年、彼らは土星の衛星エリアに拠点を持つクロニア人たちの独特な習慣にも何とか慣れ、以前から聞き知っていたその価値観に魅了されていた。しかし、地球から脱出してきた大勢の者たちの中には、政治家や軍人など、クロニアの新たな価値観になじめず、地球のやり方をクロニアでも再現すべし、という一団がいた。彼らはクロニア政治に進出したが、大勢を変えるには至らず、フラストレーションを溜めていたのだ・・・・。

「揺籃の星」の続編。前作のレビューに書いた、サイエンス系かポリティカルアクションか、という事で言えば、やはりポリティカルアクションになりました(やっぱり)。彼の作品で言うと、代表作「ジャイアンツ・スター」シリーズの三作目「巨人たちの星」のようなイメージですね。主人公たちが新しい世界に飛び込み、反対勢力に乗っ取られそうになるところを主人公の機転で乗り切って逆襲する、という筋書きはほぼ変わりません。ホーガンだし、ハッピーエンドは約束されているようなもんなので(笑)、安心して読めます。
「巨人たちの星」ではガニメアンたちの超文明の描写、特にバーチャルリアリティをうまく使ったトリックなどが楽しい訳ですが、今作ではそこまでの描写は設定もあって不可能。でもその中でも重力発生装置など目新しいものが出て来てガジェッターも少し楽しめますw エアモビルや探査機の遠隔操作なんかは「ミクロ・パーク」も連想させますね。

ホーガンは人間の理性が社会を支配するユートピア思想の持ち主で、今までも事ある毎に描写している。前出の「ジャイアンツ・スター」シリーズのガニメアンたちの世界もそうだが、あからさまに出したのは「断絶の航海」だろう。地球からの特殊な移民によって組み立てられたケイロン人社会は、同じホモ・サピエンスの作った社会とは思えない程に先鋭化された社会だった。今作のクロニア人社会もほぼ同様の主旨を持った社会・価値観を有している。つまり『自分が働いた分だけ人からもらう。働かずに与えてもらうのは恥ずかしい事だ。だから人は働かずにはいられないし、働いて社会に貢献する事が人間にとって一番の喜びである。だから貨幣も要らない。余分な物を持ちたいと思う感覚が分からない』という社会だ。
みんなが率先して働き、それを一番の喜びとする、という性善説丸出しのユートピア思想に共感出来るかどうかも、この作品に乗れるかどうかの分かれ目かなぁ。ワタシは共感出来る程他人を信用していないので(汗)、ちょっと反乱側の肩を持ちたくなっちゃった(爆)。まぁ、ちゃんと悪役的描写がありますから、物語としては主人公側に感情移入出来るようになってますけどねw

まぁ、ホーガンファンが楽しめる作品となっており、これをいの一番に読み始める作品ではないかもしれないですねぇ・・・・。


黎明の星 上 (創元SF文庫 ホ 1-25)

黎明の星 上 (創元SF文庫 ホ 1-25)

  • 作者: ジェイムズ P.ホーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2008/05/29
  • メディア: 文庫

黎明の星 下 (創元SF文庫 ホ 1-26)

前作
揺籃の星 上 (創元SF文庫)

揺籃の星 上 (創元SF文庫)

  • 作者: ジェイムズ・P・ホーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2004/07/25
  • メディア: 文庫

揺籃の星 下 (創元SF文庫)

ジャイアンツ・スターシリーズ。「巨人たちの星」は三作目。読むなら是非「星を継ぐもの」からどうぞ。
巨人たちの星 (創元SF文庫 (663-3))

巨人たちの星 (創元SF文庫 (663-3))

  • 作者: ジェイムズ・P・ホーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1983/01
  • メディア: 文庫

星を継ぐもの (創元SF文庫)
ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫)

こちらは単独作品です。
断絶への航海 (ハヤカワ文庫SF)

断絶への航海 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: ジェイムズ・P. ホーガン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2005/02
  • メディア: 文庫

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ハリー・ポッターと死の秘宝 [小説レビュー]

harrypotter7.jpg「ハリー・ポッターと死の秘宝」(J・K・ローリング)

ハリーはヴォルデモートに狙われている為に、叔父一家と別れを告げて不死鳥の騎士団が用意した隠れ家へと向かった。危険を回避する為に影武者を何人も用意し、撹乱作戦に出、多大なる犠牲を払ったが、何とかハリーは無事に隠れ家=ウィーズリー家に到着した。そこでハリーの誕生祝いやルーピンとトンクスの結婚式などで、ひと時ハレの雰囲気を楽しむハリーとロン、ハーマイオニー。しかし彼ら三人には、誰にも言えないダンプルドアの遺言たる使命があり、出発は間近に迫っていたのだった・・・・。

遂に終わった。既に単独の本としてどうか、と言った話はいいんじゃないでしょうか。隠れ家へ向かうアクションシーンからスタートし、ちょっと平和な中での落ち着いた話しがあって、その後はもう色々な事が起こりましてぇ、いろんなところに行きましてぇ、いろんな人に会いまして・・・・とにかく忙しい。(でもよく考えてみればハリポタは大概はそんな物語の作り方ですやねw)今回は特に、物語を終わらせる為の謎解きが多く、ロールプレイングゲームのような様相を呈している。

そして相変わらずウザキャラのハリーと、そして今回、上巻ではハリー以上のウザさを全開にするのがロン!諸処の事情があってそうなる訳ですが、まぁその辺りはネタバレになるんで詳しくは言えません。是非最終巻をコレクションに入れて、ご自分でご堪能ください(爆)。

それにしても本当に終わったんだなぁ、という感慨にふけらせてくれるのが最終章『十九年後』。(タイトルを言うだけで微妙にネタバレな感じですが、まぁ上巻の目次にも書いてありますから・・・・趣向はつまるところ、映画「ジュブナイル」のラストと似たようなもんですか笑)この章を読み、最後の『完』の文字を見ると、長かったハリーとの冒険が本当に終わったんだなぁ、と思います。これがこういう長編ならではの醍醐味ですよね。

「指輪物語」も長かったけど、あれは完結していて終わりが見えている中で読んでいたから、そんなに感じなかったのですが、「ハリポタ」は同時代の中で追い掛けて来ましたからね。

他の人の感想は全く読んでないので、世間的に終わり方をどう思っているのか分かりませんが、ワタシ的には納得と言うか、ストンと素直に胸に落ちて来た終わり方でした。(ネタバレにならないように書くのは難しいなぁ〜。)
これで、例えば続きを書かれても、ちょっと困るかもなぁ。

映画も楽しみにしている人は、どこで前後に分けるのかを予想してみるのも楽しいかもしれませんw ワタシの予想では上巻P550の2行目で終わる!という山場持ち越しプランとか、下巻第21章までの『死の秘宝』というキーワードが出て終わるプランとかが面白いかなぁと思ってます。単純に上下巻で切れる可能性も充分ありますがwそれじゃつまらんからね(爆)。


もう一度、一巻から通しで読みたいなぁ。
「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)

「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)

  • 作者: J. K. ローリング
  • 出版社/メーカー: 静山社
  • 発売日: 2008/07/23
  • メディア: 単行本

比較に出すのもどうかと思いますがwこちらの“○年後”は蛇足の極地でしたが、「ハリポタ7」の最終章はなかなか沁みる感じで良かったですよ(笑)。
ジュブナイル

ジュブナイル

  • 出版社/メーカー: 小学館
  • メディア: DVD

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揺籃の星(上・下) [小説レビュー]

揺籃の星.jpg「揺籃の星 上・下」(ジェイムズ・P・ホーガン)

数十年前にユートピア思想の実現に向けて地球を離れ、土星星域に暮らすクロニア人は地球へ使節団を送り、硬直化している地球の科学界を相手に真実を追求する大切さを説く。同調する科学者もいたが、既得権益にしがみ付く主流派たちの策略により押しつぶされてゆく。
一方、木星から飛び出した彗星『アテナ』は、当初は宇宙の見せ物的に捉えられていたが、予想以上に地球に接近する事が判明するに連れ、波紋が広がりだす。
真実を求めて科学の将来を憂い、クロニア人たちに同調していたキーンは、クロニア人からの情報によって、アテナが地球に未曾有の大災害を与える事を知るのだった・・・・。

何度か書いたが、続編「黎明の星」の発売に合わせ、すっかり内容を忘れていたので多少斜めながらw再読した。
久しぶりに読んでみたら、さわりは覚えているもののディテールは完全に忘れていて、展開が読めなかったので再読ながら本当に楽しめた(爆)。上巻の中盤くらいまでは結構ストレスのたまる展開で斜め率が高かったのだがw後半から下巻まではパニック小説として面白くて、読んでる方も勢いが出てきて一気に読み切ってしまった。(お陰でハリポタ7の読書が遅れているのだが・・・。)

今作は、それこそ『きみは生き延びる事が出来るか?』という内容で、下巻途中からは完全にカタストロフ状態の中を必死の行軍を行い、地球を脱出するまでを描く。続巻があるのだから主人公が生き延びる事はほぼ見えているのだが、それ以外のキャラクターたちの中で誰が生き延びるのかは分からないまま、端からバッタバッタと死んでいくのがスゴい。ホーガンの小説の中でも、これだけ死体が出てきた作品はさすがに初めてだろう。割と生な死体に関する描写もあるし、ダメな人はダメかもしれん。

ここから始めてどう続巻に話がつながっていくのか。同様のパニック小説風に進むのはなさそう(これ以上の派手な脱出劇は不可能だろうから)なので、ホーガンお得意のサイエンス系に行くのか、それとも一時傾注した政治風味になるのか、「黎明の星」を続けて読みますんで、またレビューしたいと思います。


揺籃の星 上 (創元SF文庫)

揺籃の星 上 (創元SF文庫)

  • 作者: ジェイムズ・P・ホーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2004/07/25
  • メディア: 文庫
揺籃の星 下 (創元SF文庫)

黎明の星 上 (創元SF文庫 ホ 1-25)

黎明の星 上 (創元SF文庫 ホ 1-25)

  • 作者: ジェイムズ P.ホーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2008/05/29
  • メディア: 文庫
黎明の星 下 (創元SF文庫 ホ 1-26)

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骨の城 [小説レビュー]

「骨の城」(アーロン・エルキンズ)

スケルトン探偵シリーズ。今度の舞台はイギリス・シリー諸島。妻の参加する研究会にお伴で来ていたギデオンは、参加者の一人に誘われて、彼女が館主を勤める博物館に持ち込まれた幾つかの骨のかけらを鑑定することになった。一般の人たちが拾い、持ち込まれたそれらは、ほとんどの骨が動物だったり古い時代の人骨だったりしたが、一つだけ、ほんの数年前に亡くなった人骨が混じっていた。しかもその骨はノコギリで切断した痕が残っていた。つまり何者かに殺害された可能性が高かったのだ。ギデオンはマイク巡査部長と共に捜査に乗り出した。

前作「水底の骨」のレビューでは“骨抜きになったスケルトン探偵”と言ったが、今作では結構頑張ってました。二つの殺人に関して骨を鑑定し、しっかりとスケルトン探偵している。お陰で非常に『探偵小説』っぽい。今作でも実はギデオンが犯人にたどり着くのと同時にマイクもたどり着き、逮捕する訳だが、この辺り、ダブルで回答を提供していると考えればよく出来てる。
だいたいこのシリーズ、地球上様々な土地に行って紀行文の雰囲気を持ってる上に、毎度読み易くてベースは面白い。今回は久々に探偵としての活躍もあって、充実感があった。これくらいの水準をいつも越えてくれれば嬉しいんだけどw


骨の城 (ハヤカワ・ミステリ文庫 エ 3-8)

骨の城 (ハヤカワ・ミステリ文庫 エ 3-8)

  • 作者: アーロン・エルキンズ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2008/03
  • メディア: 文庫

よく夜中にCMやっていて、目の付けどころが似てるなぁ、と思った作品。何となく腑に落ちないが・・・。
BONES ―骨は語る― vol.1

BONES ―骨は語る― vol.1

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD

BONES ―骨は語る― DVDコレクターズBOX1 (初回生産限定版)
BONES ―骨は語る― DVDコレクターズBOX2 (初回生産限定版)

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J・P・ホーガンの続編が4年ぶりに発売。 [小説レビュー]

トンデモ科学を根拠とした問題作w「揺籃の星」発売から早4年。あとがき(解説)で既に触れられていた三部作の中編が、やっと発売です。
いや、既に「揺籃の星」の内容を忘れ切ってますよ(汗)。もう一度読み返さなきゃいけないなぁ。
それにしても前作。アマゾンの書評を見ても書かれている通り、トンデモ理論の雄(笑)ヴェリコフスキーの理論を正当化するかの如く描かれる終末論に対して、最も痛烈に批判しているのが恐ろしい事にその本自体の解説。その解説を書いた金子隆一氏の余りにも感情的な批判文には、創元はこの本を売る気がないのか!?と真剣に思いましたよ(爆)。
解説の内容なんて、まぁ普通の大人にはどうでもいい話なわけですが、とにかく金子氏が自ら批判している宗教プロパガンダの如く、自らも現代科学への帰依が宗教的と言っていいような書き連ね方は失笑を禁じ得なかったというのが実感。ワタシ自身は科学者でもなんでもないので、嘘を本物らしく語られたからと言って小説の科学を鵜呑みにするような事もないですし、逆に全てを疑ってかかる事もない。読んでる間だけ気持ち良く騙してくれればいいというスタンスでいれば、この本もなに不自由なく楽しめて、知らない事は幸せな事よ、と思いましたw
さて、今度の解説では誰が何を書くんだろうかね。キリスト教原理主義者がヴェリコフスキーの主張を全肯定したような解説だったら、それはそれで面白いけど(爆)皮肉効き過ぎでワタシには笑えません(木亥火暴)。


黎明の星 上

黎明の星 上

  • 作者: ジェイムズ・P ホーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2008/05/29
  • メディア: 文庫

黎明の星 下

黎明の星 下

  • 作者: ジェイムズ・P ホーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2008/05/29
  • メディア: 文庫


前作。解説だけでも立ち読みすると、(買うなという勢いの内容が)前代未聞なのがよく分かるでしょう。まぁある意味一読の価値はあるかもねw
揺籃の星 上 (創元SF文庫)

揺籃の星 上 (創元SF文庫)

  • 作者: ジェイムズ・P・ホーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2004/07/25
  • メディア: 文庫

揺籃の星 下 (創元SF文庫)

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バンガローの事件 [小説レビュー]

the_bungalow_mystery「バンガローの事件」(キャロリン・キーン) ※創元推理文庫

ナンシーは友人のヘレンと遊びに来ていた湖畔でローラという少女と出会う。ローラは唯一の身寄りの母を亡くし、母の指定した後見人とこれから会うのだと言う。しかし現れた後見人は一癖も二癖もありそうな怪しい夫婦だった。
一方、ナンシーの父である弁護士カーソン・ドルー氏は、有価証券の横領事件と格闘していた。ナンシーも捜査に協力する事になるのだが・・・・。

少女探偵ナンシー・ドルーシリーズ第3弾。相変わらずサラサラ読めて爽やかに終わるライトノベルだ。言ってみればご都合主義の塊のような作品でw探しているものはすぐに見つかるわ、あっちの事件とこっちの事件は思った通りリンクするわ、ヤバそうな怪我はあっという間に治るわでやりたい放題w お陰でチャッチャカ話が進んで全くストレスフリーです。ワタシのように疲れが溜まってる人にはちょうど良いかも(爆)。
今回はやっと同年代の男の子が出てきて、ちょっぴりロマンスも・・・と思わせて全くないのもお行儀のよろしいこのシリーズならでは(笑)。この辺り、ホントにティーンエイジャーには受けないかもなぁ。どちらかと言うとこんな天真爛漫な古き良きアメリカに憧れを抱き、常識と慎みと活発さを併せ持ったナンシー・ドルーに好感を抱き、感情移入してキャラ目線で楽しむ為には、40代50代くらいの人の方が楽しめるような気がします。


バンガローの事件―ナンシー・ドルー・ミステリ〈3〉 (創元推理文庫)

バンガローの事件―ナンシー・ドルー・ミステリ〈3〉 (創元推理文庫)

  • 作者: キャロリン キーン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2008/04
  • メディア: 文庫

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ライラの冒険 琥珀の望遠鏡(上・下) [小説レビュー]

「ライラの冒険 琥珀の望遠鏡(上・下)」(フィリップ・プルマン) 新潮文庫

メアリー博士は異世界で異形の知的生物と出会い、友情を結ぶ。一方ウィルは、コールター夫人にさらわれたライラを助けるため、アスリエル卿を支持する二人の天使を使って捜索を進める。そしてあと一歩で助けられるというさなか、信じられないことが起こる。“神秘の短剣”が折れて粉々になってしまったのだ・・・・。

いやー、何と言うか、衝撃的な結末だった・・・・。
原作「ライラの冒険」シリーズは、映画に見られるようなファミリー向けのジュブナイルでは全くなく、ウィルとライラという小学生〜中学生の年代の子供を主軸にしているにもかかわらず滅茶苦茶ハードな物語であった。これを児童文学などと呼んでいいのだろうか。ワタシだったら子供に読ませるのはちょっと躊躇してしまうだろうなぁ。

前作と今作では、作品自体のボリュームも全く違うので(今作の方が圧倒的にページが多い)安易に比較出来ないが、「黄金の羅針盤」で単純に架空ではあるが一つの世界観から始まった物語が、「神秘の短剣」で現代英国を含めたパラレルワールドを行き来する話となり、登場する世界もキャラクターも膨大にふくれあがった。そして今作では余りにも肥大化した物語の収束を図るため、上巻の中盤くらいまでは非常に読み辛い。
「神秘の短剣」はウィルという私としても感情移入し易い男の子キャラが主役に座った事もあり、スラスラと読めてしまったのだが、今作冒頭ではウィルの章、コールター夫人&ライラの章、ミュレファとメアリーの章、アスリエル卿の章、そして教権機関の章と、様々な切り口で物語が同時進行して行くために、前作ですっかり感情移入して一番気になっているウィルとライラのその後の話がなかなか進まず、歯がゆい中で読んでいるので物語に乗り切れなかったのだ。
しかし下巻序盤辺りでグッと収束してきてからは一気に行った!結局下巻のラスト1/3は昨日ベッドに入ってから一気に読んでしまった。お陰で今日は2時間半睡眠で会社で寝そうになった・・・・。

「ライラの冒険」を語るとき、必ず付いて来るのが“反キリスト教”といった宗教的レッテル。確かにそういった描写は山のように出てきて物語に奥行きを与えている。無宗教のワタシがそう思うのだから、キリスト教圏である西欧での過剰な反応にもうなずけると言うものだ。しかし、それは物語の主題ではない。それらは大仰過ぎるきらいはあるが、物語を華々しく彩るバックボーンに過ぎない。・・・・で主題を言っちゃうと結末に直結しちゃってネタバレになるので言えない(木亥火暴)。でもも〜〜〜ワタシなんかキュンキュンしちゃって切なくなっちゃって、昨日読み終わってから呆然と疲れ切って(寝てないから当然だが)倒れるように寝てしまったし、今日もどうも心にしこりが残ってう〜〜〜〜って感じなんですよ〜〜〜(汗)。はぁ〜〜〜・・・・・。(以下略)


ワタシは結局、「黄金の羅針盤」を読み始めてから一ヶ月で読み終わりました。てか「神秘の短剣」からなら、今作を探し回ったタイムラグいれても10日間でしたね。(「短剣」も「望遠鏡」も下巻は1日だったです汗。)あー、面白いと本て簡単に読み終わっちゃうよねぇ・・・・。一抹の寂しさ&切なさが止まらない。不覚(爆)。
琥珀の望遠鏡〈上〉—ライラの冒険III

琥珀の望遠鏡〈上〉—ライラの冒険III

  • 作者: フィリップ プルマン
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/06
  • メディア: 文庫

琥珀の望遠鏡〈下〉—ライラの冒険III

琥珀の望遠鏡〈下〉—ライラの冒険III

  • 作者: フィリップ プルマン
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/06
  • メディア: 文庫


読む時は必ず全巻買って一気に読めるようにしておくべきだとワタシは思いますね(キッパリ)。早いとこ重版してください、新潮社さん。
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冒険小説ランキング・・・懐かしいw [小説レビュー]

これは懐かしい。ワタシの読んでいた本も幾つか入ってますよ。
goo ランキング
子どものころに胸をときめかせた冒険小説ランキング

一覧を引用しますと・・・・
1)トム・ソーヤーの冒険 マーク・トウェイン
2)十五少年漂流記 ジュール・ヴェルヌ
3)ロビンソン・クルーソー ダニエル・デフォー
4)宝島 ロバート・ルイス・スティーヴンソン
5)海底二万リーグ/海底二万里/海底二万マイル ジュール・ヴェルヌ
6)ドリトル先生 ヒュー・ロフティング
7)八十日間世界一周 ジュール・ヴェルヌ
8)ニルスのふしぎな旅 セルマ・ラーゲルレーヴ
9)長くつ下のピッピ アストリッド・リンドグレーン
10)タイム・マシン H・G・ウェルズ
11)ハックルベリー・フィンの冒険 マーク・トウェイン
12)失われた世界 コナン・ドイル
13)コロボックル物語 佐藤さとる
14)はてしない物語 ミヒャエル・エンデ
15)ジャングル・ブック ラドヤード・キップリング
16)ナルニア国ものがたり C.S.ルイス
17)指輪物語 J・R・R・トールキン
18)火星のプリンセス エドガー・ライス・バローズ
19-1)キャプテン・フューチャーの冒険 エドモンド・ハミルトン
19-2)ゲド戦記 アーシュラ・K・ル=グウィン

2、8、9、12、19-1辺りが小学生くらいでのワタシの愛読書でした。コロポックルも読んでたかな〜。佐藤さとるで一番強烈に残ってるのは、「赤んぼ大将」シリーズの方ですね。あのムササビ式の滑空出来る赤ちゃんスーツが羨ましかったですw その他で小さい頃ワタシが夢中だったのは、「真田十勇士」や「里見八犬伝」、そして「明智小五郎と少年探偵団」などの和物や、「ムーミン」「エーミールと探偵たち」辺りでしょうか。「ムーミン」がランキングに入って来ないのは、冒険小説と言い難いからかなぁ?

一番読んだのは、2番の「十五少年漂流記」か「長くつ下のピッピ」シリーズですかね。「十五少年」は自分も仲間になったつもりでワクワクしながら何度も読み返しましたし、「ピッピ」はぜひ友達になって一緒に遊びたいと思っていましたw

どれも久しぶりに読み返したくなるタイトルですねぇ〜〜。



十五少年漂流記 (創元SF文庫)

十五少年漂流記 (創元SF文庫)

  • 作者: ジュール ヴェルヌ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1993/08
  • メディア: 文庫

長くつ下のピッピ

長くつ下のピッピ

  • 作者: アストリッド・リンドグレーン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

ピッピ船にのる (岩波少年文庫 (015))
ピッピ南の島へ (岩波少年文庫)

佐藤さとるファンタジー童話集〈4〉赤んぼ大将 (1976年) (講談社文庫)

佐藤さとるファンタジー童話集〈4〉赤んぼ大将 (1976年) (講談社文庫)

  • 作者: 佐藤 暁
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1976/12
  • メディア: 文庫

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ライラの冒険 神秘の短剣(上・下) [小説レビュー]

「ライラの冒険 神秘の短剣(上・下)」(フィリップ・プルマン) 新潮文庫

イギリスに住む少年・ウィルは、精神的にバランスを失っている母を助けるため、そして彼が生まれてすぐに行方不明になった探検家の父を捜すため、偶然見つけた平行世界に身を隠しつつ探索を開始する。その傍らには平行世界で出会った、また別の世界から来たと言う少女・ライラがいた。彼らはそれぞれの求める真実を見つけるべく奮闘する。
一方ライラの世界では、気球乗りのリー・スコーズビーがライラを救うべく、死んだと見なされていたグラマン教授を捜し、魔女のセラフィナ・ペカーラはキーとなる存在、ライラを見つけるべく旅立つのだった・・・・。

もともと「ライラの冒険 黄金の羅針盤」(小説版レビューはこちら)からしてファンタジーの枕詞の『夢と冒険』の夢の部分は余り多い方ではなかったが、今作では物語はいよいよダークに転がって行く。フィリップ・プルマンの筆先は容赦なくウィルとライラを権謀渦巻く大人の世界の試練に晒し、物語終盤には主要人物の幾人かが壮絶な最期を迎える。
「帝国の逆襲」の例を持ち出すまでもなく、大河ドラマの中盤というのはそこだけ取るとダークトーンの話が多い。これは当然一旦落としておいてクライマックスに向けた上昇曲線を描いて行かなければならないためだが、この「神秘の短剣」は想像以上に救いのない話だった・・・・。冒頭ウィルの境遇を見るだけでいかにも悲惨だがw悲惨さはどんどんエスカレートして行き、最後は愕然とするような断ち切り方で終了する。うえぇ!そんなとこで終わるか!?(爆)

と言う事で、今作を読む時は絶対に「琥珀の望遠鏡」を買って用意しておき、遺憾なくチェーンリーディング出来るようにしておく事をお薦めする。ワタシはこれから買わないといけないんだけど(汗)。最近どこの書店行っても「ライラ」の文庫本が置いてないんだよねぇ。再版されてないのか?新潮さん頼みますよ!



神秘の短剣〈上〉—ライラの冒険II

神秘の短剣〈上〉—ライラの冒険II

  • 作者: フィリップ プルマン
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/01
  • メディア: 文庫

神秘の短剣 (下) ライラの冒険II

神秘の短剣 (下) ライラの冒険II

  • 作者: フィリップ プルマン
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/01
  • メディア: 文庫

琥珀の望遠鏡〈上〉—ライラの冒険III
琥珀の望遠鏡〈下〉—ライラの冒険III


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