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キック・アス(字幕版) [洋画レビュー]

Kick-Ass_film_poster.jpg「キック・アス(字幕版)」(監督:マシュー・ヴォーン)

デイヴ(アーロン・ジョンソン)は、頭の中が女の子とセックスとアメコミのスーパーヒーローでいっぱいの普通のオタク高校生。学校では気になる女の子ケイティ(リンジー・フォンセカ)に笑われ、帰り道では友人(クラーク・デューク、エバン・ピーターズ)たちとおとなしくカツアゲされ、帰ればネットでエロイ画像や妄想でオナニーをしまくる毎日。そんな彼にちょっとだけ他の人と違う部分があるとすれば、表には出せないそれなりの正義感を持っている、って事だ。
ある日、彼はついに自分の疑問を実行し、ネットでコスチュームを購入する。自分の部屋でそれを着て、気分だけはスーパーヒーローになり切った彼は、自警団として犯罪に立ち向かおうとする。しかし最初の活動で彼はアッサリとナイフで刺された上、通りかかった車に轢かれて重傷を負ってしまうのだった・・・・。

いや、スゲー面白かった!笑えるし、おっかないし、切ないし、ちょい感動もする、スゴい青春ムービーだ!こんなにアクションもあって、悪に立ち向かう正統な話だとは思わなかった。お陰で盛り上がりもあるし、見終わった後味もスッキリ。この年末にいいモノ見せてもらったなぁ(笑)。

まずはイタいオタク生活の描写が笑える。アメコミを少しでも知ってれば、その辺りの単語もちりばめられてていい感じ。極端にマイナーな作品は取り上げず、有名どころに絞っているのがやや弱いが、一般性という面では正解だろうね。

オナニーの話なんかは真面目な女の子ならやや赤面ものかもしれないが、男の子ならニヤリとせずにはいられないw ゲイ話も盛り上がるw デイヴの事故後、父親のする心配なんかもケラケラしてしまった。米国ではそれ位ゲイが身近な話なんだろうなぁ。

面白いシーン同様にデイヴの恋模様も等身大に描かれるが、キック・アスの活動と恋に揺れ動く様なんかは共感必至。恋愛シーンはコンパクトだし、相手の女の子のキャラクター描写もほとんどないが、デイヴ本人にスポットを当てて内面までしっかり描いているので不満に感じる事はない。“カワイイ女子高生”というステロタイプな設定だけで充分満足だ。リンジー・フォンセカも思ったよりカワイイしwクライマックス近くの泣きのシーンでは思わず胸が熱くなる。ヒーローなり切り映画というより、青春サクセスストーリーとしてよく出来ている。

一方マフィア描写はかなりハードだ。血なまぐさい話が横行し、別の意味で痛いシーンがかなりある。しかしこれがあるからこそ敵としてハッキリするし、物語がスッキリ進むので、この辺りはアクション映画としては外せないところだろうね。ここをおちゃらけ過ぎると、対立構図が崩れてしまうし、実際そういう映画も多い。今作はしっかり押さえていて正解だ。

そしてこのアンモラルと言われている映画で一番の問題であるビッグダディ(ニコラス・ケイジ)とヒットガール(クロエ・グレース・モレッツ)の親子描写(と予告編でも出ていた11歳の女の子のバイオレンスシーン)。これはかなりおっかない。この辺りをどう捉えるかでこの映画を楽しめるかどうかが決まるだろう。常軌を逸した二人の親子関係など、ダメな人には全くダメだと思う。

ワタシは常識人なのでw当然ながら全く容認出来ない話だ。それは間違いない。でも映画作品として観た時にこの設定はとても利いてるし、異常なキャラクター設定が突き抜けているだけに現実味がなくて、映画を観ている間だけはアリだと思えた。これは常識をわきまえた人間としては、空想の世界だという割り切りが出来る範囲の話だと思う。

確かに子供に悪影響を与える可能性がある、とは言えるかもしれないが、これだけ浮世離れした話に影響を受けるとしたら元々の子供の教育がなってないと思うけどねw ただ好き嫌いがある話なのは間違いないので、子供を使った悪い冗談が生理的に嫌いな人は絶対に観に行ってはいけないとだけは言っておきます。

ワタシ的にはそっちよりw見終わった後に『あの累々とした死体の山の犯人探しはどうなっちゃったんだろうなぁ・・・』ってのが気になった(笑)アクション映画ではいつも気になる(大概物語のヒーローは大量殺人者でもあるので)事ではあるのだが、今作ではデイヴの世界が余りにも普通の生活と地続きに思えたので、余計に気になった次第。

かような問題はあるのだが、本当に面白いので出来るだけ多くの人に観てもらいたい!これから順に全国で公開されるという事なので、興味があって上の注意書きに当てはまらない人は是非劇場に足を運んでくださいね。

しかし何かパンフレットにも“続編あります”って書いてあったんだけど、本当かねぇ・・・・。ワタシ的には「ウォッチメン」同様、続編の必要は感じない話だったけどなぁ。


原作。映画が良かったのでこっちも気になって来たw
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「キック・アス」でさえ日本公開されたので、こっちの映画も是非観たいです!どっかお願い!
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言い換えれば、青春版「ウォッチメン」とも言えるかもねw ハードさは全然違うけど。
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レビューはこちら

監督前作。こちらも恋愛ものとして見れば面白かったけど、毒は全然なかったなぁ(笑)。HD-DVDはあるけどBlu-rayは未だにないの!?
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レビューはこちら。原作もレビューしてますw

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coco030705

こんにちは。
おもしろそうな映画ですね!でも「子供を使った悪い冗談」というところが、
ちょっとひっかかるかも……。観た後がスッキリするとのことなので、みてもいいのかもしれませんね。
私も毒のない映画よりも毒のある映画のほうが好きです。
by coco030705 (2010-12-30 11:06) 

tomoart

>coco030705さん
nice!&コメントありがとうございます。うーん、coco030705さんのお気に召すかどうかは微妙だなぁ・・・・。『子供を使った悪い冗談』の一端を書きますと、“父親が拳銃で11歳の娘を撃つ”というシーンが出て来ます。もちろん防弾チョッキを着てるんですが、それがスポ根ものの鍛えるシーンの置き換えなんですよ。それを軽口で冗談みたいに描いてるわけです。そういう雰囲気がこの親子のシーンには横溢していて、それを分かって面白がれるかどうか、が分かれ目ですかねぇ。子供は嬉々としてるけど、結局児童虐待だと思っちゃったらもうダメだと思いますね。
by tomoart (2010-12-31 03:38) 

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