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青空に一番近い場所 [邦画レビュー]

7b7631e29fa0cc3134829110.L._AA300_.jpg「青空に一番近い場所」(監督:鴻上尚史)

サラリーマンの北川(吉岡秀隆)は、営業成績を水増しする為にサラ金に手を出し、返済不可能な借金を抱えていた。取立てに追われる毎日から避けるように会社の屋上に上がった北川は、そこで不思議な雰囲気の掃除のおばあちゃん(真屋順子)と秘書課の花菜子(長谷川真弓)に出会う。二人に誘われるままに“だるまさんがころんだ”や缶蹴りをして遊んだ北川は、久しぶりに浮世の辛さを忘れて楽しい時間を過ごした。いつしか北川は屋上に入り浸るようになるのだが・・・・。

「恋愛戯曲」でイマイチ盛り上がれなかったので、鴻上イズムを確認すべく、久しぶりに今作を鑑賞。ヤフオクでビデオテープを入手してから初めてまともに見たw つまり劇場鑑賞(1994年)以来ということだ。

しかし、これは楽しい!面白い!スゴイ画質(悪い意味で)なのがとっても残念だが、物語が面白いので見入ってしまう。この面白さはなんなんだろうか。

ひとつは魅力的なキャラクター描写や人間関係にあるかもしれない。北川は営業成績の為に借金を重ねるダメな奴だが、会社の激しいノルマ指導を見ればさもありなんと思わせるし、病気の父親を心配させまいとする心優しい面も見せる事で、基本的にはいいヤツだと分かるようになっている。課長(石井愃一)のモーレツぶりも怖い反面、ちょっと面白いw(特に取り立て屋に対する態度の変化とかw)山口もなかなかいいキャラクターだ。こういうフツーの人が追い込まれてしまう、という身につまされる役柄を若いw三浦友和が生き生きと演じていて楽しい。おばあちゃんや花菜子はちょっと浮世離れしたところがほんわか伝わって来るのがイイ。

二つ目は全体のトーンがユーモアに包まれている事。自殺者が出る程のノルマを課せられる厳しい会社、大きな借金に汲々となる主人公など、屋上以外の現実はかなりの惨状を呈している訳だが、それらの描写も深刻になり過ぎる事なく、どことなくユーモラスな切り口で語られていく。お陰で観ているこちらも心情的に苦しくなる事なく物語が追っていける訳だ。これは全体を通してみる時にとても重要な事だ。

今作での鴻上尚史監督は、まだやや演劇的な演出が時として顔を出す。冒頭の高校生の北川が自殺しようとして校舎の屋上の柵を乗り越えようとするシーンなどは余りにもやり過ぎでやや興醒め。そういった部分は「恋愛戯曲」の方が良かったかもしれない。でもやり過ぎではあるが描きたい事は分かるし、北川の気持ちも伝わって来るので、作品トータルとしてはギリギリ許せる。

それ以外でも「恋愛戯曲」と比較するとよく分かるが、結構アップのシーンが多かったり、気持ちの伝わるシーンが多い。そこがやはり「恋愛戯曲」が乗れなくて「青空〜」が面白く感じる一番の違いだろう。北川が花菜子に惹かれていく過程などとても良く描かれていて、長谷川真弓はやや目の位置が寄り過ぎてて顔つきがワタシ的に趣味じゃない(爆)なんて思ってる序盤から、北川に感情移入して観てるうちにどんどんカワイく見えてきてw終わった時には恋しそうになってしまった(木亥火暴)。

その辺りの描写の何割かでも「恋愛戯曲」に生かされていれば、もっとそちらも好きになる事が出来たと思うんだよなぁ。

何はともあれ、やっぱり「青空に一番近い場所」はとっても面白い作品だった。1995年発売のビデオテープでしか出てないし、レンタルで置いている所も少ないと思うけど、もしも見つけたらぜひ借りて見てみて欲しい。心の中があったかくなって、肩の力を抜いて明日からまた頑張れそうな作品ですよ。


久しぶりに「ジュリエット・ゲーム」も見たくなってきたなぁ。今作より更に演出はこなれてないし、ユーモアも足りないけど、バカみたいに勢いがあって、ハジケまくっている作品です。
ジュリエット・ゲーム [VHS]

ジュリエット・ゲーム [VHS]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: VHS
青空に一番近い場所 [VHS]

青空に一番近い場所 [VHS]

  • 出版社/メーカー: 東宝ビデオ
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tomoart

>み〜ちゃんさん
nice!ありがとうございます。速攻ですねw 嬉しいですm(_ _)m ご存知ですか、この作品・・・・。ぜひご覧くださいませ〜♪
by tomoart (2010-11-06 04:24) 

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