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恋愛戯曲 〜私と恋におちてください。〜 [邦画レビュー]

T0009023p.jpg「恋愛戯曲 〜私と恋におちてください。〜」(監督:鴻上尚史)

大御所脚本家・谷山真由美(深田恭子)は全盛期を過ぎたと見られている上に遅筆で有名。ピュアハート化粧品の記念スペシャルドラマの脚本を依頼された彼女は、今回も締切を過ぎて一向に脚本が上がらず、制作・営業・編成など、テレビ局の各部門をやきもきさせていた。
いよいよ後数日の間に上がらなかったら穴が空く、というギリギリの時期に、彼女の元にやってきた新任プロデューサー・向井正也(椎名桔平)。エース級のプロデューサーからいきなりこの役割を引き継いだ彼は、昨日までビデオテープの整理をするだけの裏方だった。制作局は脚本を諦め、尻尾切り要員として首切り前程に送り込まれたと周りの誰もが見ていた。落ちぶれた脚本家と冴えない新任プロデューサー二人は、周囲の冷笑を跳ね返して素晴らしい脚本を仕上げる事が出来るのだろうか・・・・。

という事で予告通り、何とか終映前に観に行ってきた。出来映えは・・・・中の中って感じかなぁ(汗)。

鴻上尚史監督の長編映画第三作という事になる訳だが、第一作の「ジュリエット・ゲーム」から比べたらずいぶんと映画になったなぁ、という印象w ただそれが単純な褒め言葉には残念ながらならない。唐突な演劇的演出やキャッチーさを追い過ぎた演出がなくなった代わりになんだか急におとなしくなっちゃった。鴻上尚史も歳取ったなぁ、なんて感じが(爆)。ちなみに彼も52歳だそうで。て事は「ジュリエット・ゲーム」の時は31歳とかだったのか!そりゃ確かに勢いが違って当然かw

題材も、前2作と異なり自らが作り出した舞台劇が原作。舞台劇の映画化って結構難しい。ストーリーのアウトラインを追って行っちゃうと、だいたい話の展開する場所が固定されて映画としたら極端に広がりのない作品になりがちだし、それこそ舞台劇特有の演出に引っ張られる部分もある。舞台劇から脱却して、映画作品としての質を向上出来るかが重要だ。

しかし、今作はややそこに意識が行き過ぎたのではないだろうか。元が舞台劇だという感じはかなり薄らいでいるものの、逆にではどこが今作の魅力なのか、という部分への意識までも薄くなっているように感じる。だから何となく平板な印象を受けるのだ。

もう一つの問題は、物語を語る視点が第三者的な事。ラブコメなんてのは思いっきり感情移入して観るのが楽しいのだ。男は向井に、女は真由美に感情移入して映画を満喫したいのだ。ところがどうも今作は、その辺りを演出で煽ってくれない。カメラワークもやや引き気味に見える。ここは思いっきりアップとかを多用して内面の感情を描いて欲しかった。基本的な登場人物が少ないのだから、もっとキャラクターを深堀りして欲しいのだ。お陰で二人が接近していく過程がやっぱり弱い。特に振り回されっ放しの向井が、どこで真由美に惹き付けられるのかが今イチ分からない。同情のきっかけなら分かるが・・・・。この辺りは、やっぱりもうちょっと描き込んで欲しかったところだ。

それにしても鴻上尚史って人は、かなりのロマンチストだねw 恋愛に関しては非常にサラリとした肌合いと言うか、ドロドロしたものはほとんど感じない。これは「ジュリエット・ゲーム」の頃から一緒。年齢を重ねてもこういうトコロはやっぱり変わらないんだなぁ。その肌合いが合う人には、やっぱり一種の魅力があるんだよね。

劇中劇、劇中劇中劇と言う形で重層的に語られる物語は、今ならデキの悪い「インセプション」のモノマネみたいに思われてしまうかもしれず損してしまっているが、これの舞台劇は2001年が初演らしいので、当然たまたま。その辺りは差し引いて観てあげないといけないだろう。

まぁ、毎度の事ながらかなり辛口な話に終始してしまったが、ライトなラブコメとしては、まぁ、普通に楽しめる。まだ上映館はあるみたいだし、気になる人は劇場で観てもいい。また映像ソフト化なった時に見てもそれほど損にはならない作品かな。鴻上作品のファンなら劇場で観とくべきだけどね(笑)。


しまった、今作がヒットすれば、以前の作品もBlu-rayやDVDで発売するかもしれないのに!みんなぜひ観に行ってくださ〜い(木亥火暴)。
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青空に一番近い場所 [VHS]

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み〜ちゃん

あっ、今日は映画の日でしたね!
ラブコメはやっぱり感情移入して観たいですよね♪
by み〜ちゃん (2010-11-01 21:53) 

tomoart

>み〜ちゃんさん
コメントありがとうございます。映画の日でしたね〜。仕事じゃ無理ですけどね(笑)。最近封印気味のラブコメ好きオヤジとしては、もう一歩感情移入出来なかったのが残念でした。勢いで「青空に一番近い場所」を鑑賞したので、近々レビューしたいと思います。
by tomoart (2010-11-02 01:37) 

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