レポゼッション・メン(字幕版) [洋画レビュー]
「レポゼッション・メン(字幕版)」
(監督:ミゲル・サポチニク)
『悪くなった臓器はユニオン製の人工臓器に置き換えればよい』・・・・全ての臓器が人工臓器に置き換えられるようになった時代。しかし高額なローン返済が滞った時には、レポ(回収)・メンが人工臓器を回収にやって来る。たとえその回収が、当の本人の死に直結していようとも・・・・そしてその回収行為は、完全に合法なのだ。
優秀なレポ・メンの一人レミー(ジュード・ロウ)は、友人でもある同僚のジェイク(フォレスト・ウィッテカー)と競うように次々と人工臓器を回収し、上司のフランク(リーヴ・シュレイバー)の覚えも上々。しかし妻(カリス・ファン・ハウテン)には血なまぐさい仕事から営業に配置換えしてもらうよう、再三言われていた。
そんなある日、レミーは回収作業中の事故で気を失い、病院のベッドで目覚めると人工心臓を埋め込まれていた。高額なローンを返済するには、妻の反対を押し切ってレポ・メンとして回収を続けなければならない。しかし自らも人工臓器で生かされている彼は、もう以前のように気軽に回収し続ける事は出来なくなっていた・・・・・。
うーん、ちょっとネタバレなしで説明するのは非常に困難な作品だな〜。まずは決してスカッとするような作品ではないので、そういったハリウッド的お気楽アクション路線を期待して観に行ってはいけない作品。ワタシは日比谷のみゆき座へ、たまたま初日に観に行ったのだが、見終わった観客の何人もがガッカリした感じで話していたのだ。ジュード・ロウ主演のアクション映画という事で、一般的な作品と誤解したのだろう。
しかしこれは、その取り上げている内容を読んで分かる通り、かなりのダーク路線。インディペンデント系の作品だと構えて観に行くくらいがちょうど良いと思う。この辺りのイメージと内容のギャップが、米国での大惨敗に繋がっているのかもしれない。
しかしこの作品、駄作ではまったくない。逆にこれは、後からじわじわと人気が出る、カルトな作品の雰囲気がある。然るべき客層が見れば、狂喜するような内容の作品だろう。
血なまぐさいレポシーンの恐ろしさ。麻酔銃で相手を眠らせ、生きたままの肉体にメスを突き立て、ビニール手袋をした手で内蔵の中から人工臓器をえぐり出す。そんなシーンが何度か描かれる。そしてレミーは言う。目を覚ました者は、『まるで寝ながらルンバを踊るように』のたうち回り死んでいく、と。
余りグロくなり過ぎないように配慮されてはいるが、行われている行為と血まみれな姿がちょっと出て来るだけで、ダメな人にはダメだろう。しかもそれを音楽を聴きながら、ややもすれば楽しそうに行っているレミーたち。その描写は直接的なグロさと共に、それを合法たらしめてしまう経済活動の恐ろしさ、そして出兵上がりのレミーたちの心の病、ひいてはそれを成立させている世の中のゆがみを強烈に印象づけている。そしてそれは、決して映画の中だけの話ではない事も・・・・。
レミーと、レミーに助けられたベス(アリシー・ブラガ)の逃亡生活を描く後半からは急速にオリジナリティを減じてしまうのが残念だが、全体的に物悲しいトーンにまとめられており、ラストの衝撃まで一気になだれ込む。その衝撃も多分、ある有名作品のラストを想起する人もかなり多いだろうが、やはり最後の余韻は強烈だ。
ブラックアウトしてクレジット・タイトルが流れ出しても、物語のその後を想像してしまう。万人には薦められないが、だからこそ多くの人に知ってもらいたい・・・・そんな作品なのだった。
原作。書かれたのは映画製作と平行してらしいですが。
ジュード・ロウ出演作で一番好きな作品。レビュー済。
アリシー・ブラガって、この作品の後半に出てきてた人だったんですね。こちらもレビュー済です。
(監督:ミゲル・サポチニク)
『悪くなった臓器はユニオン製の人工臓器に置き換えればよい』・・・・全ての臓器が人工臓器に置き換えられるようになった時代。しかし高額なローン返済が滞った時には、レポ(回収)・メンが人工臓器を回収にやって来る。たとえその回収が、当の本人の死に直結していようとも・・・・そしてその回収行為は、完全に合法なのだ。
優秀なレポ・メンの一人レミー(ジュード・ロウ)は、友人でもある同僚のジェイク(フォレスト・ウィッテカー)と競うように次々と人工臓器を回収し、上司のフランク(リーヴ・シュレイバー)の覚えも上々。しかし妻(カリス・ファン・ハウテン)には血なまぐさい仕事から営業に配置換えしてもらうよう、再三言われていた。
そんなある日、レミーは回収作業中の事故で気を失い、病院のベッドで目覚めると人工心臓を埋め込まれていた。高額なローンを返済するには、妻の反対を押し切ってレポ・メンとして回収を続けなければならない。しかし自らも人工臓器で生かされている彼は、もう以前のように気軽に回収し続ける事は出来なくなっていた・・・・・。
うーん、ちょっとネタバレなしで説明するのは非常に困難な作品だな〜。まずは決してスカッとするような作品ではないので、そういったハリウッド的お気楽アクション路線を期待して観に行ってはいけない作品。ワタシは日比谷のみゆき座へ、たまたま初日に観に行ったのだが、見終わった観客の何人もがガッカリした感じで話していたのだ。ジュード・ロウ主演のアクション映画という事で、一般的な作品と誤解したのだろう。
しかしこれは、その取り上げている内容を読んで分かる通り、かなりのダーク路線。インディペンデント系の作品だと構えて観に行くくらいがちょうど良いと思う。この辺りのイメージと内容のギャップが、米国での大惨敗に繋がっているのかもしれない。
しかしこの作品、駄作ではまったくない。逆にこれは、後からじわじわと人気が出る、カルトな作品の雰囲気がある。然るべき客層が見れば、狂喜するような内容の作品だろう。
血なまぐさいレポシーンの恐ろしさ。麻酔銃で相手を眠らせ、生きたままの肉体にメスを突き立て、ビニール手袋をした手で内蔵の中から人工臓器をえぐり出す。そんなシーンが何度か描かれる。そしてレミーは言う。目を覚ました者は、『まるで寝ながらルンバを踊るように』のたうち回り死んでいく、と。
余りグロくなり過ぎないように配慮されてはいるが、行われている行為と血まみれな姿がちょっと出て来るだけで、ダメな人にはダメだろう。しかもそれを音楽を聴きながら、ややもすれば楽しそうに行っているレミーたち。その描写は直接的なグロさと共に、それを合法たらしめてしまう経済活動の恐ろしさ、そして出兵上がりのレミーたちの心の病、ひいてはそれを成立させている世の中のゆがみを強烈に印象づけている。そしてそれは、決して映画の中だけの話ではない事も・・・・。
レミーと、レミーに助けられたベス(アリシー・ブラガ)の逃亡生活を描く後半からは急速にオリジナリティを減じてしまうのが残念だが、全体的に物悲しいトーンにまとめられており、ラストの衝撃まで一気になだれ込む。その衝撃も多分、ある有名作品のラストを想起する人もかなり多いだろうが、やはり最後の余韻は強烈だ。
ブラックアウトしてクレジット・タイトルが流れ出しても、物語のその後を想像してしまう。万人には薦められないが、だからこそ多くの人に知ってもらいたい・・・・そんな作品なのだった。
原作。書かれたのは映画製作と平行してらしいですが。
ジュード・ロウ出演作で一番好きな作品。レビュー済。
アリシー・ブラガって、この作品の後半に出てきてた人だったんですね。こちらもレビュー済です。
>いっぷくさん
>DSilberlingさん
nice!ありがとうございます。「レポゼッション・メン」、なかなか興味深い作品でした。ある意味、同好の士と語り合う材料にしたいw感じです、、、。
by tomoart (2010-07-06 20:54)
こんばんは。
やはり私は、グロはだめですね。ギャングものはけっこう大丈夫なんですが……。デザイン的にはすぐれたところもあったのに、ストーリーと映像が魅力がなかったので、ヒットしないのもうなずけます。
でもヒットするだけがいいともいえないですよね。色々な作品があってこその映画界だと思います。
by coco030705 (2010-07-08 19:41)
>マンチ軍団さん
nice!ありがとうございます。
>coco030705さん
nice!&コメントありがとうございます。のっけからグロ系で迫って来るからwダメな人にはキツいですねw ワタシもダメな方ですが、これはギリギリかな・・・・。後半にもう一つ、光る物があれば、本当のカルト映画になったんじゃないかと思うと、いささか残念です。
by tomoart (2010-07-09 02:22)
>inunekoさん
nice!ありがとうございます。見たんですね。思ったよりは面白かったですよねw 今さらだから書いちゃうと、思い出す“有名作品”は「未来世紀ブラジル」ですね(笑)。
by tomoart (2011-05-30 09:29)