月に囚われた男

「月に囚われた男」（監督：ダンカン・ジョーンズ）

化石エネルギーがますます枯渇した近未来。人類は月のクリーンな燃料で不足を解消していた。その事業でトップを走る企業・ルナ産業の月面基地に勤務するのはサム・ベル（サム・ロックウェル）ただ一人。彼は3年という長い契約期間を人工知能のガーティ（声：ケヴィン・スペイシー）と共に乗り切り、いよいよあと2週間で地球に帰還出来る事になっていた。しかしサムは最近、基地内にはいないはずの他の人影が見えたり、精神的に不安定になって来ていた。サムは無事に、愛する妻・テス（ドミニク・マケリゴット）と娘・イヴの待つ地球に帰る事が出来るのだろうか・・・・・。

まずはとても面白い！だだっ広い“月”という密室で進む孤独なサスペンス劇で、これはなんと言っても脚本の勝利か。物語がどこに向かうのか分からないので、サムの行く末にドキドキw　途中からは急激に流れが変わり、衝撃の事実へと至って行く。まぁ、カンの良い人だと途中ですぐ気付くかもしれないけど。とは言え気付いてもちゃんと面白いので大丈夫ですよ。ただネタバレなしでレビューするとなると、難しい作品だけど（汗）。

5百万ドルという製作費にも関わらず、美術やVFXも意外な程にしっかりしている。基地の中のセットなどは使い廻しているのだろうが広さをちゃんと感じるし、外シーンでのミニチェアワーク（多分CGじゃないと思うが）も、画像を荒らしたりしてごまかしている部分もあると思うが、出来は十二分だ。

ワタシは特にムーンバギーのデザインにやられたw　巨大な6輪（片面3輪）が並ぶ様は、「サンダーバード」世代にはたまらないデザインではないだろうか。これがまた大活躍なのでガジェッター的にも結構ウレシいのだw

監督・脚本のダンカン・ジョーンズはデヴィッド・ボウイの息子という事で話題だそうだが、作品的には余り関係ないね（爆）。今作は「サイレント・ランニング」や「惑星ソラリス」と肌合いが似ていて、そしてそれがある意味、観客へのミスディレクションにもなっている。意識してるかどうかは分からないけど。

出来れば予備知識なしで（公式サイトも見ずに・・・公式サイトでもある部分でかなりハッキリとネタバレしてる）観に行って欲しい作品。SFが好きな人なら、きっと気に入ってくれると思う。

ジョーンズ監督のSFに対する姿勢は素晴らしいと思うので、次回作も楽しみにしたい。

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タグ：ダンカン・ジョーンズ 月に囚われた男

コメント 2

こんにちは。
監督がデヴィッド・ボウイの息子というだけで、興味がわきますね。
この作品は、公開当時ちょっと気になったんですが、下手すると
まったく無機質でおもしろくないものを見せられるんじゃないかと
思って、行きませんでした。
tomoartさんのレビューを読んで、DVDでみなくちゃと思っています。

by coco030705 (2010-06-29 10:34) 

＞coco030705さん
nice!&コメントありがとうございます。ほとんど一人芝居（・・・）なのに、最後は本当に心揺さぶられる作品です。是非ご覧くださいねw　本当は劇場で入り込んで観て欲しいところですが・・・・。（残念ながら関西では上映は終了しているようですね。）
by tomoart (2010-06-30 03:22)