96時間

「96時間」（監督；ピエール・モレル）

カリフォルニア在住の元CIA工作員のブライアン・ミルズ（リーアム・ニーソン）は、富豪（ザンダー・バークレー）と再婚した元妻（ファムケ・ヤンセン）の元で暮らすひとり娘、17歳になったばかりのキム（マギー・グレイス）と年に数回逢う事を唯一の楽しみとしていた。
ある日、キムから急に呼び出されたブライアンは、今度友人（ケイティ・キャシディ）と二人でパリへ旅行したいので、許可証にサインして欲しいと頼まれる。最初は難色を示したブライアンだったが、断った時のキムの激しい態度と元妻の忠告（『今の子は縛り付けては逃げるだけよ。自由にしてあげなきゃ』）によって、渋々ながら認める。しかし楽しく始まったティーンの二人旅は、ブライアンの心配通り、人身売買組織による誘拐という最悪の事態で中断されてしまうのだ。愛する娘を救うため、直ちにパリに飛んだブライアンは、自らの持つ元CIA工作員のスキルとネットワークを最大限に使い、人身売買組織を追い詰めていくのだった・・・・。

いやいや、乱暴な映画だ（笑）。とても子供には見せられないがwハリウッドの大バジェットアクション映画とはまた違った、胸のすく楽しさのある作品。

とにかくブライアンのスーパーな活躍が気持ちいい。やり方を万事知り尽くしているプロの仕事はそれだけで楽しいのだ。誘拐直前の娘から電話を通じて最大限の情報を得るやり方や、現場に着いてから、その場の現況と電話から聞こえた音を頼りに起こった事を脳内で再構築し、手がかりをたぐり寄せる方法、元妻の再婚相手である富豪やパリ警察の上層部である知人を最大限に使うやり口など、観ていて『うわ〜、やるやるw』と、観ているこちらの気分をどんどん高揚させてくる。

ストーリーというか、仕掛けもばっちりで、娘を溺愛している父親、その娘はバカな友人との比較でそれなりに常識を持っている事が描かれる事で、主人公側が正義だと観客にしっかり伝わる。その上で戦う相手は人身売買組織という明らかに悪、しかも非道なやり口をこれでもかと見せつける事で、観客の感情がブライアンに殺人の免罪符を与えざるを得なくしている。
それにしてもブライアンはとにかく障害になるヤツには容赦がないw　マーシャルアーツでも銃でもナイフでも、殺すとなったら一気に殺す。パリ警察の知人宅に押し掛け、子供たちを寝かしつけた途端に知人の妻の肩を撃ち抜き、出し渋る情報を聞き出す。もちろんその知人も殴り倒す。とにかく中途半端はナシ、娘を助ける為に最短距離を進む。ご丁寧にタイムリミットまで設定しているのでブライアンは前へ前へと全く立ち止まらない。この辺りのスピード感は素晴らしい。それでも若干の緩急もあるが、印象としては誘拐からの60分は急急といった印象だ。そのリズム感によって、大バジェット的な目先の変え方をしなくても充分に観ている間、作品に釘付けにさせてしまうのだ。

当然ご都合主義なシーンがたくさん出てくるが、それをギャグに貶めずに踏みとどまっているのは前述したブライアンのプロさ加減のがしっかり描かれているからだ。そしてその説得力にはリーアム・ニーソンがやっているという事も非常に大きいファクターだと思う。これがいかにもアクション俳優という配役だったら、この作品はたんなるチープなB級作品だったかもしれない。序盤のしょぼくれて友人たちと飲んで昔を懐かしんでいる抜け殻のような姿もちゃんと似合っているwリーアム・ニーソンだからこそ、ブライアンというキャラクターが生きていたのだと思う。

一つちょっとどうかと思ったのはタイトル（汗）。「96時間」というタイムリミットは、映画としてはスピード感に直結しているので機能しているけれど、実際に96時間だからどうだ、というシーンはほとんどない。それはもちろん邦題だけの問題で、原題自体は「TAKEN（連れ去り）」というシンプルなもの。時間をモチーフにしたタイトルと言うのはサスペンスを想像させるので、その意味ではいいのかもしれないけれど。

この作品、バッタバッタと人が殺されるので観る人を選ぶ部分はあるが、ちゃんと分かって観られる人には非常に面白いサスペンス・アクション作品だ。その手が好きな人にはwおススメです。


リーアム・ニーソンの出演作って、思ったより見てるなぁ。「ネル」なんて劇場で観て忘れてたし（汗）。「ラブ・アクチュアリー」なんて出てたっけ!?パッチワーク映画はやっぱりエピソード全部を覚えてられないからダメだな（爆）。

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レビューはこちら。

〈追記〉ソフト情報

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タグ：96時間 ピエール・モレル

コメント 8

ここなら見られますよ。どうぞご覧を。
http://www.neteiga.com/index.php/movie/index/id/211
by まい (2009-09-02 16:31) 

はじめまして♪
この『96時間』　観ようかみまいか、とても迷っていた映画なのですが、
このレビューを読んだら観てもいいかも！(￣ ￣)ｂﾞｳﾝ!!
という気分にさせられました。
けっこうスピード感があって、面白いんだ！ということが
文章から出ていて、楽しく読ませてもらいました。

映画のほうも観にいってみますねっ。
by まなてぃ (2009-09-02 19:50) 

＞まいさん
こんばんは。コメントありがとうございます。
ちょっと寄ってみましたが、非常に怪しげなサイトだったんでオミットさせていただきます。すいません。

ついでに不正コピーなどへのワタシのポリシーもお読みください。
http://tomoart.blog.so-net.ne.jp/2007-03-14-1
もしかしてユリコさんと同じ方ですか？

＞miopapaさん
こんばんは。nice!ありがとうございます。
miopapaさんはご覧になられたんでしょうか・・・感想などございましたら、またお寄せください。

＞まなてぃさん
初めまして。nice!＆コメントありがとうございます。
ありがとうございます。ワタシの拙い文章でそう言っていただけるとホントに嬉しいですw　多少クセがありますが、娯楽作が好きな方なら必ず楽しめると思いますよ。
ご覧になったらまた感想などお聞かせください。
by tomoart (2009-09-03 04:08) 

はじめまして。
私も先日、観てきたので、お邪魔しました。
面白かったです！
リーアム・ニーソンにすっかり舞い上がってしまったので
早速『ラブ・アクチュアリー』のDVDを友人から借りました♪
by クローヴ (2009-09-06 20:10) 

＞クローブさん
初めまして。nice!&コメントありがとうございます。
面白かったですよねw ワタシはハリウッド製の大バジェットアクション大作も大好きですが、こういう低予算でも楽しめるのもイイですよねw 「ラブ・アクチュアリー」はワタシも見たんですけど、どこにリーアム・ニーソンが出てたかとんと記憶にないんですが・・・（爆）。ちょっと癖のある映画なのですが、クローブさんの好みに合うといいですね。
またぜひおいでください。
by tomoart (2009-09-07 08:19) 

こんにちは、再び、まなてぃです。
昨日、やっと『96時間』観てまいりましたよん（＾＾）ｖ

いやはや、楽しかったです。
主人公が敵と戦っているときのハラハラ感“ｏ(*￣o￣)ｏ”ドキドキ♪と

彼が敵を仕留めたあとくる　
ブライアン！よくやったぁああああぁああ！||| ＼(￣▽￣;)／ |||ﾜｰｲ?
悪人めぇえ！ざﾏｧみろおおおおおおおおお！、(￣▽￣)V ｦｲｦｲ　

という己の感情をですね、
映画とともに隙間なく味わい堪能させてもらいました。

上映時間が約1時間30分だったのも
ダレなくてよかったのではないでしょうか。
いやぁ・・面白かった。
こちらのブログのおかげでスクリーンで味わえました。
満足です、ありがとうございましたぁ。（＾＾）

また遊びにきますね。よろしくです。（＾＾）/
by まなてぃ (2009-09-17 17:41) 

＞まなてぃさん
こんばんは。コメントありがとうございます。
ご覧になったんですね。楽しまれたようで良かったですw　まなてぃさんのブログも拝見しましたよ。
そう、1時間半という時間は、やっぱり映画に一番合ってると思います。長さを感じさせない長い映画も楽しいですが、コンパクトにした方が良さそうな作品も多いですし・・・。
また是非、いらっしゃってくださいませm(_ _)m
by tomoart (2009-09-17 22:59) 

＞エコピーマンさん
nice!ありがとうございます。エコピーマンさんもご覧になったですか？こういう拾い物みたいな作品に出会うとホント嬉しくなっちゃいますw
by tomoart (2010-01-13 21:22)