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20世紀少年 第2章 最後の希望 [邦画レビュー]

20centuryboy2「20世紀少年 第2章 最後の希望」(監督:堤幸彦)

血の大晦日から15年。カンナ(平愛梨)は高校生になっていた。社会では『ともだち』率いる友愛党が日本の実権を掌握し、血の大晦日はケンヂ(唐沢寿明)たちが起こしたものとされ、ともだちはその被害を最小限に留めた英雄として世界各国からも尊敬される人物になっていた。しかし、それで尚ともだちは『よげんの書』を超える『しんよげんの書』に書かれた人類滅亡へのシナリオを実行していた。あらゆる妨害を力で一掃しつつ。そして・・・・。

いや〜、結構詰め込み過ぎでストーリーを追い辛いというレビューも読んでいたので心配だったんだけど、原作を知らないワタシでも充分話はわかったし、そこそこ面白かった。色んなしわ寄せが出るかと思ったけど、意外にも普通に観られる。
数々の人間模様を複合的に織り成し、全体ストーリーを浮き彫りにするという手法で出来ている今作。根幹にいるのは当然カンナだ。後半は海ほたる刑務所を脱走して来たオッチョ(豊川悦司)に見せ場を持って行かれちゃうが、全般的にバイト先、高校、ともだちランド、仙台の病院、そしてともだちのパレードへ、とシチュエーションもストーリーもカンナの行動力に引っ張られていく。様々なことが起こり、時代も1970年前後、2000年、そして2015年と3つの時代を行き来しているのだが、それでも全体の組み立てがスッキリしてる感じがするのは、カンナの章がちゃんと回っているからでしょう。
全体的には本当に前作よりも逆に面白かったくらいで、それはキャラクター紹介が不要になって、ともだちが一体誰なのか、という謎解き(&打倒ともだち)にストーリーの方向性が絞られたからかもしれない。

とは言え、当然ながら不満はあるw
一つは前作から続く設定上の不満で、ともだちがなぜこれほどの支持を受けられるのかのバックボーンが全くわからないこと。今作ではまぁ、血の大晦日事件のヒーローという事で成り立たせてる訳だが、人類滅亡を唱え、顔を隠してる人間がどんなに頑張っても大した支持を得られるはずがない、という事は感覚的にすぐ分かってしまう事なので、理由付けになっていない。それにも増して取り巻きの面々は、全ての事を知っていてともだちに付いていっている。この理由は輪をかけて分からない。全員が破滅主義者なんだろうか・・・。ここらは前作同様『お約束』って事で納得するしかないのかな?

もう一つ、こちらは演出上の不満なのだが、カンナが魅力的に見えない。というか、どうも魅力的に見せようとする努力が足りないような気がしたのだ。
観客は、基本的に前作を観ている訳だが、そうなると当然の事ながら前作に出ていたキャラクターには愛着を感じている。いわゆるケンヂ一派の面々を肯定している状態だ。翻ってカンナは、物語上は前作から出てる訳だが、観てる方からすると完全に新キャラで、今作を観る段階での印象はプラスマイナスゼロ。そんな中、カンナはユキジ(やヨシツネ)と追突を繰り返す。これでは観客に喧嘩を売ってるようなものだ。いきなりマイナスイメージからの出発になってしまう。お陰で根幹に位置するストーリーが、特に序盤しっくり来ない感じがする。もしかしたらマフィアの抗争を仲裁するシーンでカンナを観客に理解させ、好印象を持ってもらおうという意図があったのかもしれないが、ワタシにはあのカンナが全く魅力的には見えなかった。中盤以降、ケンヂや母のキリコ(黒木瞳)との関係性が繰り返し出て来る事でカンナへの違和感も緩和されていく訳だが、平愛梨の演技は若干上滑りの感はぬぐえず、“素”のカンナが見えないので、ワタシ自身はどうしても本気でカンナに感情移入出来なかった。

ただ、それでも全体的に楽しめちゃったのは、終盤オッチョが出て来て感情の受け皿になってくれて見終わった時に感じる不満が最小限に抑えられている事と、なんと言っても小泉響子(木南晴夏)の存在!カンナに振り回されるだけの役だが、唯一フツーの人として存在している事、そしてカンナと逆に“素”な感じが良く出ている事で、非常に楽しいキャラだった。今作での木南晴夏の過剰な演技は、作品によっては嫌みだったり浮いたりしただろうが、今作ではムードメーカー的にとてもしっくりしていた。この辺りは「トリック」的な堤監督の演出だったのかもしれない。


前作。
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レビューはこちら

堤監督の中では一番ハマったシリーズでした。
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木南晴夏って、結構前から芸能人やってる人なのねw
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