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スカイ・クロラ [邦画レビュー]

「スカイ・クロラ」(監督:押井守)

見せ物としての戦争が定着している世界。キルドレと呼ばれる、いつまでも子供のままで、殺されるまで死なない人間が、戦争を戦っていた。
キルドレのパイロット、カンナミ・ユーイチが兎離洲基地に配属されて来た。彼はそこで、キルドレの司令官、クサナギ・スイトと出会う。ユーイチが使うように指示された機体の前のパイロットに関して訪ねても、ハッキリと答えないスイト。謎を孕んだまま、物語は動き始める・・・・。

押井守は押井守だった。『娯楽作回帰』を謳った作品ではありますが、『何度もみなければ理解出来ない』作りなのは相変わらず。今回一回観ただけでは完全に理解出来たとはとても言えない作品だった。
だから一回観ただけでは面白くないのか、というと、そんな事はない。ハッキリ言って「イノセンス」や「アヴァロン」に比べたらとても分かり易くて楽しめる作品になっている。登場人物も多めだが、基本はユーイチとスイトの関係性に話の主軸が置かれているので、意外にも分かり易い。エキセントリックなスイトの言動に対して、ユーイチの返す言葉や反応が感情移入を煽ってくれるw

レシプロ機が入り乱れる戦闘シーンも見どころの一つ。近頃のトレンドに漏れず、3DCGで描かれる空中戦はディテールも凝っているし、意外と戦闘場面の状況も理解出来る。押井さんは『宮さん(宮崎駿)の飛翔シーンに勝った』と豪語しているようだがwまぁそれはちょっと比較するものではないという感じだ。
ただ、戦闘シーンが見せ場としては機能しているものの、感情表現とつながっていないのが残念。ストーリーが盛り上がって来たところで戦闘シーンも盛り上がって欲しいのだが、そこまでのリンクは成されていない。それが逆に、戦闘シーンが結構あるのに“静かな映画”という印象を全体に与えているのだと思う。これは計算なのか・・・・?

クライマックスに向けて、ユダガワが戦死、そして補充要員としてアイハラが赴任して来るところで、映画冒頭から提示されている謎のヒントが与えられる。そして観客の頭の中がグルグルしているところにラストシーンが降臨するのだ。この辺りの仕掛けをどう捉えるべきか。その辺りが一番のキモであると同時に、複数回観ないと理解し切れない『押井節』の最たる部分となっている。ワタシも劇場では観れないと思うが、DVDが出たら再見したい。ラストシーンを知ってから、映画を頭から見ると、また違った印象が出て来ると思うのだ。


原作以下、さすがの押井作品、ムックの類いもこれほど出版されているとは・・・・。
スカイ・クロラ (中公文庫)

スカイ・クロラ (中公文庫)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2004/10
  • メディア: 文庫
スカイ・クロラオフィシャルガイド―Material
スカイ・クロラ総設定資料―押井守監督作品
スカイ・クロラ ナビゲーター
押井守ワークス+スカイ・クロラ The Sky Crawlers (別冊宝島 1546 カルチャー&スポーツ)
スカイ・クロラ オフィシャルガイド-Surface

名字も一緒ですが、キャラクターデザインも間違いなくクサナギ・スイトは少佐を念頭にデザインされていると思います。劇中、とんでもなく少佐顔になるシーンがありますんで、観てみてくださいw 眼がクリソツなんだよねぇ。
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  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • メディア: Blu-ray

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コメント 2

はんと

クサナギの苗字は原作者が攻殻機動隊の影響を受けて名づけたとかって何かで読みましたよ
by はんと (2008-08-13 05:18) 

tomoart

>ゆきたこさん
初めまして。nice!ありがとうございます。ゆきたこさんはご覧になられたんでしょうか。感想もお待ちしておりますw

>はんとさん
初めまして。コメントありがとうございます。
原作でもクサナギなんですか?(爆)どうなんだろうと思ってましたw 情報ありがとうございます。巡り巡ってリンクしてる訳ですね。面白いですね〜。
by tomoart (2008-08-13 08:58) 

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