ゲゲゲの鬼太郎　千年呪い歌：moromoro

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ゲゲゲの鬼太郎　千年呪い歌　[邦画レビュー] [編集]

「ゲゲゲの鬼太郎　千年呪い歌」（監督：本木克英）

夜、“かごめ歌”を聞くと魂を盗られるという事態が発生。鬼太郎（ウエンツ瑛士）達がパトロールしているところに、またも悲鳴が。比良本楓（北乃きい）という少女がかごめ歌を聞き、襲われたのだった。翌日、左手に鱗が出て来た楓は、ねずみ男に導かれて鬼太郎達に相談に行く。どうやら1千年ほど前によく似た妖怪がいたようなのだが・・・・。

うーん、どうもパッとしないなぁ。確かに一作目のような大きな破綻は今回はなかったように思う。そういう意味では鑑賞しようという人を止める必要はなくなったかな（爆）。でも積極的にお薦めするには至らないんだなぁ。

全体的に練り込み不足。完成度が低いのが原因ではないだろうか。物語の運び方、登場人物間のドラマ性などに荒っぽい、『取り敢えず配置しました感』が強い。あたかもプロット段階から撮影を始めてしまったかのような。
例えば、楓は高校でブラスバンド部員でトランペットを担当している。しかし、その設定は99％生きていない（最後に笛状のものを吹くシーンはチョビっとある）。唐突に部の先輩（？）に『譜面通りに吹いてるだけじゃダメ／性格が出るんだよね』とか注意されているシーンもその後に繋がってるとは言い難い。いや、どちらも伏線として考えている事は何となくは分かるんだけど、消化出来てないから落とし所がハッキリせず、スッキリとしたオチになってないのだ。これなら普通の高校生活の描写で充分だったのでは？
同様に楓のストーリー上での扱いも酷い。特に前半。鬼太郎に相談に行った頃からずいぶんな時間、一言も話さない。ところがその後の言動、行動は感情の触れ幅が大き過ぎてまるでパラノイアだ。基本的にこの娘の家庭がどんななのかも全然出て来ない。いや、全然出て来ないならそれでもいいのだが、家の外観が出て来ておばあちゃんがいるっていう設定は出て来て、でもどうやらおばあちゃんは死んでるらしい、ってのも何となく見えるのだが、肝心の親兄弟の話はまるでない。少なくとも鬼太郎達と共に一晩か二晩は過ごしてるはずなので、女子高生が無断外泊してそれでいいの！？って感じ。この辺りは前作ではやたら出て来てたのに・・・・。
あと、『人間は醜い』的なよくある説教臭さがクライマックスにだいぶナマな形で出てしまっていて、それもちょっとマイナスだなぁ。今どきこんな分かり易い説教をセリフでポンポン言わせたら、普通の観客は引くと思うぞ。

かように突っ込みどころが満載な今作だが、ただ冒頭に書いたように前作よりも全体的にマトモになってるのは確か。それは風呂敷を広げ過ぎなかったところが良かったのだろう。まず人間界の話はほとんどない。人間を代表して楓が登場するのみで、他の人間は冒頭以降、完全に切り離されている。また、話の根幹も一本道で、細かい枝葉が余りないのも良い。登場人物達が別々の場所へ散っての探索などで目先が散るので、話はストレートで正解だったと思う。欲を言えばもう少し抑揚がついてる方がいいけど・・・。

もう一つ言っておく必要があるのは、井上真央より北乃きいの方がかわいく撮れてた事（汗）。顔つきは地味だけど思ったより頑張ってた（爆）。それでもやっぱり前作同様、猫娘（田中麗奈）が一番か（木亥火暴）。

ノベライズ。レビュー見る限り、これ読んでから映画を観た方が納得性があるかもしれませんね。