スパイダーウィックの謎 [洋画レビュー]
「スパイダーウィックの謎」(監督:マーク・ウォーターズ)
母と姉(サラ・ボルジャー)と共にニューヨークから、草木生い茂る中に建つ母の実家で現在空家のスパイダーウィック家に越して来た双子のジャレッドとサイモン(フレディ・ハイモア二役)。外見はそっくりな二人だったが、大人しく思慮深いサイモンに対してジャレッドは問題児。離婚する父に好意を抱いている事も手伝って母とは反発し合い、姉とサイモンからは何かトラブルがあれば自動的にジャレッドのせいにされてしまう始末。今回も引っ越し早々にトラブルになり壁が崩落。ジャレッドのせいに決めつけられ、一人で掃除をするハメになってしまう。しかし、その途中でジャレッドは屋根裏の秘密部屋を発見。そこで一冊の封印された本を発見する。そこには警告として“決して読んではいけない”とメモが付いていた・・・・。
先日の記事中で『現在公開中の注目作の中で一番の期待作』とお伝えしたのだが・・・・うーむ、思っていたよりも低調なデキだった。残念。どうもストーリー的に詰め込み過ぎの感がアリアリで、消化不良に陥っている気がした。
ワタシは原作は読んでいないが、原作の児童書「スパイダーウィック家の謎」は5冊で一つの物語らしく、今作は映画一本で児童書とは言え本5冊分の内容を盛り込んでいる。ネットで原作の粗筋を見る限りだいぶ端折ってはいるらしいが、それでもモリモリになってしまったのは致し方ないところか。(ワタシは当初、シリーズの一冊目の内容を映画化するのかと思ってた。)
消化不良感の最も大きなものは、主人公・ジャレッドの描写不足。原作粗筋には言及されてないので映画オリジナルの設定かもしれないが、映画ではどうやらジャレッドは物語の始まる前から相当のいたずらっ子で問題児、それが一連の冒険を経てしっかりとした少年に成長するという話を根幹に設定しているようだ。
ところが冒頭の引っ越し〜最初の一晩の出来事はどう見てもジャレッドは家庭内いじめられっ子で、母にも姉にも弟(?)にも言われたい放題といった風情だ。本当は観客にはジャレッドがウザキャラとして認識されなければいけないんだと思うんだけど、ハッキリ言って姉のマロリーや母のヘレンがウザキャラになっちゃってて、ジャレッドは初めから同情の対象になってしまっている。これではジャレッドの成長は描けないだろう。本当はもっともっと、事件前のイタズラぶり、周りを顧みないような我が儘ぶりを描かなければならなかったのだと思う。それが詰め込みの中で肝心な部分が抜け落ちてしまったのだろう。
消化不良を感じるもう一つのポイントは、息抜きのなさ。とにかく映画全体で1日程度の時間しか流れないので、その中でやる事がいっぱいになっている。お姉ちゃんもお母さんもあっという間にジャレッドを見直しちゃうし、感情の流れが急過ぎて描き切れていないのもある。
本当は作中の時間の流れとしては少なくとも数日は欲しかった。妖精が見えるようになって、最初はいい妖精たちと友達になったり、問題が起きても些細な事だったりで、ゆったりと妖精たちの描写を楽しむようなタイミングがあれば、後半のサスペンスやアクションも盛り上がっただろうし、登場人物たちの感情の流れも自然に描けたのではないか。
妖精たちが出て来てから(それも割と早めに登場する)の作品のテンションが余りにも一定過ぎて、途中気持ちがダレてしまい、ダレたままにクライマックスに突入してしまう感じ。一定で行くなら相当の覚悟を持って高いテンションで観客を引っ張って行くしかないのだが、そういう作品じゃないだろうしね・・・・。
ティペットらしい妖精たちの描写とか、ILMの堅実な仕事ぶりで妖精たちのシーンはそれなりに楽しい(特に風の精とかが面白かった)ので、期待しないで観に行けばwそこそこ楽しめる作品だとは思うんですけどね。ところどころで涙腺も緩ませてくれるし。特にルシンダ叔母さんの絡みは本当に素晴らしい。この辺りをもう少し膨らませるだけでも作品全体の印象が良くなったと思うんだよなぁ・・・。フレディ・ハイモアが頑張った一人二役の妙味とか、役柄で損しちゃったサラ・ボルジャーもそこそこかわいかったし、今回は悪役を頑張ってたニック・ノルティとか・・・・返すがえすも残念です(汗)。
児童書なので、ちょっと普通の大人が買って読むのは難しいかなぁ。図書館とかで借りるといいのかもしれませんが。
スパイダーウィック家の謎 2 魔法の石をさがせ
スパイダーウィック家の謎〈3〉エルフとの約束
スパイダーウィック家の謎〈4〉ドワーフと鉄の森
スパイダーウィック家の謎〈5〉オーガーの宮殿へ
映画版のムックらしいのですが、内容が全然わかりません・・・・。劇場とかで売ってるヤツなのかなぁ。
こっちは時々本屋で見かけますね。もう少しいろんな妖精が出て来たらこういうの買っても面白いのになぁ。
母と姉(サラ・ボルジャー)と共にニューヨークから、草木生い茂る中に建つ母の実家で現在空家のスパイダーウィック家に越して来た双子のジャレッドとサイモン(フレディ・ハイモア二役)。外見はそっくりな二人だったが、大人しく思慮深いサイモンに対してジャレッドは問題児。離婚する父に好意を抱いている事も手伝って母とは反発し合い、姉とサイモンからは何かトラブルがあれば自動的にジャレッドのせいにされてしまう始末。今回も引っ越し早々にトラブルになり壁が崩落。ジャレッドのせいに決めつけられ、一人で掃除をするハメになってしまう。しかし、その途中でジャレッドは屋根裏の秘密部屋を発見。そこで一冊の封印された本を発見する。そこには警告として“決して読んではいけない”とメモが付いていた・・・・。
先日の記事中で『現在公開中の注目作の中で一番の期待作』とお伝えしたのだが・・・・うーむ、思っていたよりも低調なデキだった。残念。どうもストーリー的に詰め込み過ぎの感がアリアリで、消化不良に陥っている気がした。
ワタシは原作は読んでいないが、原作の児童書「スパイダーウィック家の謎」は5冊で一つの物語らしく、今作は映画一本で児童書とは言え本5冊分の内容を盛り込んでいる。ネットで原作の粗筋を見る限りだいぶ端折ってはいるらしいが、それでもモリモリになってしまったのは致し方ないところか。(ワタシは当初、シリーズの一冊目の内容を映画化するのかと思ってた。)
消化不良感の最も大きなものは、主人公・ジャレッドの描写不足。原作粗筋には言及されてないので映画オリジナルの設定かもしれないが、映画ではどうやらジャレッドは物語の始まる前から相当のいたずらっ子で問題児、それが一連の冒険を経てしっかりとした少年に成長するという話を根幹に設定しているようだ。
ところが冒頭の引っ越し〜最初の一晩の出来事はどう見てもジャレッドは家庭内いじめられっ子で、母にも姉にも弟(?)にも言われたい放題といった風情だ。本当は観客にはジャレッドがウザキャラとして認識されなければいけないんだと思うんだけど、ハッキリ言って姉のマロリーや母のヘレンがウザキャラになっちゃってて、ジャレッドは初めから同情の対象になってしまっている。これではジャレッドの成長は描けないだろう。本当はもっともっと、事件前のイタズラぶり、周りを顧みないような我が儘ぶりを描かなければならなかったのだと思う。それが詰め込みの中で肝心な部分が抜け落ちてしまったのだろう。
消化不良を感じるもう一つのポイントは、息抜きのなさ。とにかく映画全体で1日程度の時間しか流れないので、その中でやる事がいっぱいになっている。お姉ちゃんもお母さんもあっという間にジャレッドを見直しちゃうし、感情の流れが急過ぎて描き切れていないのもある。
本当は作中の時間の流れとしては少なくとも数日は欲しかった。妖精が見えるようになって、最初はいい妖精たちと友達になったり、問題が起きても些細な事だったりで、ゆったりと妖精たちの描写を楽しむようなタイミングがあれば、後半のサスペンスやアクションも盛り上がっただろうし、登場人物たちの感情の流れも自然に描けたのではないか。
妖精たちが出て来てから(それも割と早めに登場する)の作品のテンションが余りにも一定過ぎて、途中気持ちがダレてしまい、ダレたままにクライマックスに突入してしまう感じ。一定で行くなら相当の覚悟を持って高いテンションで観客を引っ張って行くしかないのだが、そういう作品じゃないだろうしね・・・・。
ティペットらしい妖精たちの描写とか、ILMの堅実な仕事ぶりで妖精たちのシーンはそれなりに楽しい(特に風の精とかが面白かった)ので、期待しないで観に行けばwそこそこ楽しめる作品だとは思うんですけどね。ところどころで涙腺も緩ませてくれるし。特にルシンダ叔母さんの絡みは本当に素晴らしい。この辺りをもう少し膨らませるだけでも作品全体の印象が良くなったと思うんだよなぁ・・・。フレディ・ハイモアが頑張った一人二役の妙味とか、役柄で損しちゃったサラ・ボルジャーもそこそこかわいかったし、今回は悪役を頑張ってたニック・ノルティとか・・・・返すがえすも残念です(汗)。
児童書なので、ちょっと普通の大人が買って読むのは難しいかなぁ。図書館とかで借りるといいのかもしれませんが。
スパイダーウィック家の謎 2 魔法の石をさがせ
スパイダーウィック家の謎〈3〉エルフとの約束
スパイダーウィック家の謎〈4〉ドワーフと鉄の森
スパイダーウィック家の謎〈5〉オーガーの宮殿へ
映画版のムックらしいのですが、内容が全然わかりません・・・・。劇場とかで売ってるヤツなのかなぁ。
こっちは時々本屋で見かけますね。もう少しいろんな妖精が出て来たらこういうの買っても面白いのになぁ。
コメント 0