ヒットマン [洋画レビュー]
「ヒットマン」
(監督:ザヴィエ・ジャン)
組織に所属している暗殺者(ティモシー・オリファント)。絶対的な腕を持っている彼の次回の仕事はロシア大統領の暗殺だった。またも完璧に成功させた彼の元に、あり得ないはずの目撃者情報が入る。然るべき所に通報される前に暗殺せよとの命令で目撃者に接触した彼だったが、指定された相手の娼婦は、彼にとっての彼女と同様、彼女にとっても彼は間違いなく初対面だった。何かがおかしくなっている事を感じて彼女を殺さずに戻ったホテルで、更に驚嘆すべき情報がもたらされる。確実に頭を射貫いたはずのロシア大統領が、生きて演説していると言うのだ・・・・。
なかなか面白いが、ちょっと穴が多いなぁ。穴と言うのは、ワタシが情報を知らないだけかもしれないけど・・・・。
いいのはキャラクターが魅力的な事と映像のグレイッシュな美しさ。あたかも硬派な007といった風情の主役のキャラクターは、硬派さが徹底されていてユーモラスでさえある(褒め言葉)。逆にナイスバディを惜し気もなく魅せまくる娼婦役のオリガ・キュリレンコとのキャラクター上のメリハリの付け方は見事な程で、ちゃんと最後までキャラクター設定を使い切っているところも好感が持てる。
また追いかける側のインターポール捜査官のマイク&ジェンキンズとロシア秘密警察のユーリのキャラクターの描き分けも若干ステレオタイプ感はあるもののそれなりに感情移入を誘う。割とちゃんと描かれているマイクはもちろん、ユーリも決して冷酷な敵という描き方ではなく、少ないながらも奥行きを感じさせている。
ヨーロピアンなグレイッシュ映像は、フランス人監督がヨーロッパを舞台に撮ってるんだから当然かもしれない。米国を舞台にした映画とは一線を画し、出て来る建物も味のある素晴らしい外観を魅せてくれる。寂しげな全体の印象も、このグレイッシュトーンに裏打ちされて物悲しい味になっている。
そしてこれまた007同様の殺し屋としてのプロの徹し方も見事。前半のホテルを舞台にした脱出劇の仕込みのハマり具合などはとても面白い。そしていつもかっちりしたダークスーツでビシッと決めているのも剃り上げたスキンヘッドと似合っててカッチョイイ。もちろん薄々のドレスを幾着も着こなすヒロイン・ニカの色っぽさも魅力の一つだ。
しかし、ストーリーや設定の話となると、途端に説明不足だ。これは想像だが、この作品は完全に原作ゲームのファンに向けられた作品なのではないか。
一つは肝心の“組織”がよく見えない。主人公を追いつめた組織の刺客たちが、お互いも銃を向け合っていた意味が分からないのは組織の事を知らないからなのか?主人公が組織に対してもともと持っていた感情などがよく分からない事も、観客が組織をどう捉えたらいいか悩ませる一因だろう。組織を抜け出した主人公にとって、ロシア大統領一派よりも本当の敵は組織のはず。その辺りがうやむやになってしまうのが納得できない大きな要因。
もう一つはニカに対する主人公の心の動きがよく分からない事。ここの描き方が不十分なので主人公が頑張る動機付があやふやになってしまった。この辺りがもっとエモーショナルに見えれば、印象は全く違ったのではないか。
もう一つ付け加えるなら、予告編で非常に印象的だったBGM、シューベルトの「アヴェ・マリア」が、オープニングタイトルバックに使われたきりで以降出て来ないのもちょっと残念。出来ればクライマックスで使って欲しかったなぁ。
日本では知名度が高くないゲームが原作の映画という事で、残念ながらちょいと中途半端な印象だった。
ゲームはちゃんとは今売ってないみたい。映画タイアップでもう少し出物が見つかるかと思いましたが・・・・。
本当はその「アヴェ・マリア」の入ったサントラとかが見つかると良かったんですが、なんか見つからないのでYouTubeでしばしご鑑賞下さいw
Christina Englandという方が歌ってるらしい。
(監督:ザヴィエ・ジャン)
組織に所属している暗殺者(ティモシー・オリファント)。絶対的な腕を持っている彼の次回の仕事はロシア大統領の暗殺だった。またも完璧に成功させた彼の元に、あり得ないはずの目撃者情報が入る。然るべき所に通報される前に暗殺せよとの命令で目撃者に接触した彼だったが、指定された相手の娼婦は、彼にとっての彼女と同様、彼女にとっても彼は間違いなく初対面だった。何かがおかしくなっている事を感じて彼女を殺さずに戻ったホテルで、更に驚嘆すべき情報がもたらされる。確実に頭を射貫いたはずのロシア大統領が、生きて演説していると言うのだ・・・・。
なかなか面白いが、ちょっと穴が多いなぁ。穴と言うのは、ワタシが情報を知らないだけかもしれないけど・・・・。
いいのはキャラクターが魅力的な事と映像のグレイッシュな美しさ。あたかも硬派な007といった風情の主役のキャラクターは、硬派さが徹底されていてユーモラスでさえある(褒め言葉)。逆にナイスバディを惜し気もなく魅せまくる娼婦役のオリガ・キュリレンコとのキャラクター上のメリハリの付け方は見事な程で、ちゃんと最後までキャラクター設定を使い切っているところも好感が持てる。
また追いかける側のインターポール捜査官のマイク&ジェンキンズとロシア秘密警察のユーリのキャラクターの描き分けも若干ステレオタイプ感はあるもののそれなりに感情移入を誘う。割とちゃんと描かれているマイクはもちろん、ユーリも決して冷酷な敵という描き方ではなく、少ないながらも奥行きを感じさせている。
ヨーロピアンなグレイッシュ映像は、フランス人監督がヨーロッパを舞台に撮ってるんだから当然かもしれない。米国を舞台にした映画とは一線を画し、出て来る建物も味のある素晴らしい外観を魅せてくれる。寂しげな全体の印象も、このグレイッシュトーンに裏打ちされて物悲しい味になっている。
そしてこれまた007同様の殺し屋としてのプロの徹し方も見事。前半のホテルを舞台にした脱出劇の仕込みのハマり具合などはとても面白い。そしていつもかっちりしたダークスーツでビシッと決めているのも剃り上げたスキンヘッドと似合っててカッチョイイ。もちろん薄々のドレスを幾着も着こなすヒロイン・ニカの色っぽさも魅力の一つだ。
しかし、ストーリーや設定の話となると、途端に説明不足だ。これは想像だが、この作品は完全に原作ゲームのファンに向けられた作品なのではないか。
一つは肝心の“組織”がよく見えない。主人公を追いつめた組織の刺客たちが、お互いも銃を向け合っていた意味が分からないのは組織の事を知らないからなのか?主人公が組織に対してもともと持っていた感情などがよく分からない事も、観客が組織をどう捉えたらいいか悩ませる一因だろう。組織を抜け出した主人公にとって、ロシア大統領一派よりも本当の敵は組織のはず。その辺りがうやむやになってしまうのが納得できない大きな要因。
もう一つはニカに対する主人公の心の動きがよく分からない事。ここの描き方が不十分なので主人公が頑張る動機付があやふやになってしまった。この辺りがもっとエモーショナルに見えれば、印象は全く違ったのではないか。
もう一つ付け加えるなら、予告編で非常に印象的だったBGM、シューベルトの「アヴェ・マリア」が、オープニングタイトルバックに使われたきりで以降出て来ないのもちょっと残念。出来ればクライマックスで使って欲しかったなぁ。
日本では知名度が高くないゲームが原作の映画という事で、残念ながらちょいと中途半端な印象だった。
ゲームはちゃんとは今売ってないみたい。映画タイアップでもう少し出物が見つかるかと思いましたが・・・・。
ヒットマン : サイレントアサシン【CEROレーティング「Z」】
- 出版社/メーカー: アイドス・インタラクティブ
- メディア: Video Game
本当はその「アヴェ・マリア」の入ったサントラとかが見つかると良かったんですが、なんか見つからないのでYouTubeでしばしご鑑賞下さいw
Christina Englandという方が歌ってるらしい。
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