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ペネロピ [洋画レビュー]

「ペネロピ」(監督:マーク・パランスキー)

名家の一人娘でありながら、5代前の祖父のお陰で呪いにかかってしまい、豚の耳と鼻を持って生まれて来たペネロピ。両親はそんな彼女を偽りの葬式までして世間の好奇の目から隠し、外で遊びたがる時期の彼女を家の中に様々な遊具を用意する事で乗り越え、彼女を大切に育てていた。その両親の愛情のお陰で、不遇な環境にも関わらず彼女は素直に(豚の部分以外は)美しく成長した。
呪いは、その姿の彼女を愛してくれる人が現れれば解けると言われていた為、ペネロピが年頃になると母親は躍起になってお見合い話を持って来るが、ペネロピの姿を見た途端に誰もが逃げ出してしまう始末。そんな時、見合い相手を通じて新聞記者に彼女の存在が知られてしまう。その新聞記者・レモンは、偽りの見合い相手をスパイとして彼女の家に送り込むのだが・・・・。

「ペネロピ」は、とってもシアワセになれる作品でした。作品内の主要キャラクターがみんないい人に描かれているので、本当に心が暖まります。

ワタシの大好きな「悪意不在の映画」と言ってもいいでしょう。ほぼ敵役wのエドワードにしても、ペネロピを本当に傷つけるまでに至っていないので、どちらかと言えば狂言回しに近い。もう一人の敵役(?)押し付けがましいお母さんも、娘を愛している故という演出がしっかりされていて悪意があるわけではないし。
そして何よりもペネロピ自身が誰の事も憎んだり恨んだりしないので、観ているこちらが感情の淀みを感じるシーンがないのです。普通ペネロピのような境遇になったら、もう恨みつらみの塊になりそう。事件を起こした曾曾曾お祖父さん(?)を恨み、軟禁している両親を恨み、好奇の目で見る社会を恨む。そんなふうに育ってしまってもおかしくないのに、彼女はとても頭が良くて感情に溺れる事なく、あくまでもチャーミングです。(こんな境遇で、こんなにステキに育つことが出来るか!?という疑問は置いといてw)ただただ25年間家の中だけで育って来たために、引っ込み思案で少しだけ諦めが早いだけ。その彼女が一歩前に踏み出す切っ掛けになったのがマックスだったという訳ですね。

マックスは、彼女に初めてもたらされた外界とのパイプ。外の世界の話を聞いて、もともと好奇心がおう盛な彼女はますます外の世界に触れたくなります。そして彼に拒絶された時、遂に自分は変わらなきゃダメだと決心するわけです。
またペネロピと接した人たちも、それぞれ今の自分を見直していきます。新聞記者のレモンは彼女の前向きに頑張ろうとする姿を見て、自ら彼女をセンセーションに取り上げる事をやめ、マックスはペネロピとの心のふれあいを通じて、自堕落でギャンブル浸りの生活からもう一度立ち直ろうとするのです。
そう、「ペネロピ」では、彼女に引っ張られてみんなが成長していくのです。これがまたいい!最近キャラクターの成長が描けていない映画が続いたのでw作中できちんとキャラクターが成長していく作品の気持ち良さを再確認しました。

この作品には二つの側面があります。一つは上記の一人の女性が本当の自分を見つける自分探しの話。そしてもう一つがロマンティック・コメディーとしてのガール・ミーツ・ボーイな話。

自称ロマコメ好きなオジサンのワタシとしては、ロマコメ的側面もとっても気になるのですが、そちらの筋立ては極めてオーソドックスです。出会って、ちょっと良い雰囲気だけど破局、意に添わぬ相手と・・・むにゅむにゅ(爆)。いや、あんまりネタバレになると良くないかと思って(汗)。

キャラクターは上記以外もみんな生き生きしているのだが、途中で出て来る姉御肌の金髪美人、なんだかリース・ウィザースプーンに似てるなぁ、と思ったら本人だった(爆)。何でこんな端役やってんのかと思ったら、彼女、この作品のプロデューサーだったのね(汗)。その他にもペネロピのお父さんも家族を愛するおいしい役。ホント、キャラクターが誰も彼も好感が持てていいです。

ちなみに、実は「7月24日通りのクリスマス」と割と相似形な作品だという事に気付いた。主人公の女の子は前半引っ込み思案で恋愛恐怖症的なところがあり、でも男の子に会って自我に目覚めて成長していく。
そして「7月24日通りのクリスマス」のナカタニさんと同じように、男にとっては主役のリッチ扮するペネロピに恋する映画(爆)。豚鼻のクリスティーナ・リッチもメチャクチャキュートですよw
(あ、女性にとってはジェームズ・マカヴォイに恋する映画かもw ちょっと不良めいていてシニカル、それでいて率直で時々はにかむ顔も見せるマックス役にピッタリで、男のワタシから見てもカッコよかったです。)


ノベライズ。しかしこの映画、2006年に作られて、しばらくお蔵入りだったみたいですね。先日来日した時のリッチとは別人だったもん(爆)。本当に「ペネロピ」のリッチはキュートです!
ペネロピ (ハヤカワ文庫 NV ケ 6-1)

ペネロピ (ハヤカワ文庫 NV ケ 6-1)

  • 作者: マリリン ケイ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2008/01/08
  • メディア: 文庫


ロマコメの本場・アメリカ製の作品と比べるのは酷かもしれませんが、この作品も少々拙いところはあるけれど、とてもいい作品です。未見の方は是非ご覧ください。
7月24日通りのクリスマス

7月24日通りのクリスマス

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD


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コメント 2

クリス

>意に添わぬ相手と・・・むにゅむにゅ
この表現に、思わずクスッと笑っちゃいました。
たしかに、こういう展開は定番ですよね。でも、おっしゃるとおり、心が温かくなる作品でした。トラバさせて頂きます☆
by クリス (2008-04-27 11:29) 

tomoart

>クリスさん
こんにちは。nice!&コメントありがとうございます。
「ペネロピ」はホントにほんわかあったかい作品で良かったです。ベネロピ家の美術もきれいでしたね。
それにしても改めて自分のレビュー読んだら長いな!ちょっと自分で盛り上がっちゃいましたね〜(汗)。
by tomoart (2008-04-27 13:17) 

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