スターダスト [小説レビュー]
「スターダスト」(ニール・ゲイマン) 角川文庫
ヴィクトリア朝のイギリスにウォール村という・・・・(以下映画で紹介した粗筋に準ずる爆)
映画「スターダスト」原作本。映画が思いの外、気に入ったのでw話題のニール・ゲイマンと言う事もあって読んでみた。訳者あとがきを読むと、今作のニール・ゲイマン度は高くないようで、ニール・ゲイマン自体の評価はこれ一作では出来なそうだ。
さて、この作品を読むと、当然ながら映画版とは粗筋的にはあまり変わらないものの、ディテール及びラストに向けてはだいぶ違う展開になっている。お陰で映画を観たワタシも充分に展開を楽しむ事が出来た。ただ、内容はあまり濃くはない。映画に輪をかけてライトな感じがする。性的な表現が若干出て来る事を除けば、ジュヴナイルとしても通用する。
人物は小説の方が書き込みが増えている分、奥行きを感じさせるし、映画では端折られてしまったキャラクターがいたり人間関係も複雑化しているのだが、小説というジャンルで考えると、映画同様表層的な描写で終始しており、感情描写などは非常に希薄。これは全体的にも言えるのだが、何だか脚本チックだ。訳文にも責任があるかもしれないが。
映画の事は「ロマンティック・ファンタジー」で主役二人のラブ・ストーリーだと評したわけだが、小説版に関してはラブ・ストーリー部分は若干後退した感がある。キャラクターも多いので、主役のトリストランを中心とした冒険ものの色合いが映画よりも強い。
クライマックスに関しては、小説は文章で表現する時の盛り上がりを、映画は映画的な盛り上がりを(当然)考えて変えて来てると思う。これはまずまず正解だと思う。鑑賞順が違うので言い方が変かもしれないが、映画のクライマックスを文章化するだけでは今イチだとは感じていたので、小説版のラストは文章表現の物語としては納得性のあるものだった。また、最後の後日談も映画とは異なっており、違う意味で余韻を残す。
それにしてもライトノヴェル。ちょっとした合間に読んでいただけなのに、2日で読み終わってしまった・・・。実質3時間くらいだろうか・・・。これを読んでから映画を観るよりも、映画を観てから小説を読んだ方が楽しめると思います。つまり映画を気に入った人の為の小説、といった感じがしました。おかしな表現だけどねw
手軽に読むには最適かな。薄い上に10章に分かれていて、読み切りやすいです。
ニール・ゲイマンが脚本を担当した映画です。今の今まで知らんかった・・・(爆)。でもちょっと面白そう。
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