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自虐の詩 [邦画レビュー]

「自虐の詩」(監督:堤幸彦)

小さい頃に母に捨てられ、中学時代には父親は愛人に貢ぐ為に銀行強盗して服役、同級生には同情・嘲笑を超えて忌避され、悲惨な生活から逃れようと上京すればいつの間にか売春婦と、幼い頃から不幸の上に不幸を重ねて来た幸恵。
無職でギャンブル好き、暴力沙汰を起こしては警察に厄介になり、気にくわない事があればちゃぶ台をひっくり返す、寡黙な元ヤクザのイサオ。
内縁の夫婦である二人の生活は、毎日がギリギリ。いつかは幸せにと願う幸恵だが、たとえ小さな幸せを感じても決して長続きはしない。
そんな二人の生活に、周りの人間はいつも冷や冷や。幸恵に好意を持ち、悶々とした日々を送る大衆食堂のマスターは、特別ボーナスと称しては勤める幸恵に給料を渡し、大家のおばちゃんは何かに付け幸恵を気遣う。誰もがダメ人間のイサオと別れるように幸恵を説得するものの、今の生活を守るのに必死の幸恵には届かない。
そんなある日、二人の仲を左右せざるを得ない“事件”が起こる・・・・。

いや、面白かったなぁ。
観る前の心配は、“イタい”映画だったらどうしようか、だった。ベッタベタな展開や恥ずかしい話、チープなテレビドラマのような心のすれ違いなどが詰め込まれてたら観ていられないなー、と思っていたのだが、杞憂だったようだ。
前半はキャラクターの説明+普段の生活をギャグを交えて活写。その中で徐々に様々な事柄が起こって来て、触れ幅が最大になったところで幸恵に○○が。(これ以上はネタバレになっちゃうんで・・・。)
そこからは、冒頭から合間合間に繰り返された過去のシーンという伏線の回収作業となる。でまぁ、そこからは感動シーンの連続で、劇場でワタシの周りに座ってた人たちも結構すすり泣きしてました。今回は奥さんと観に行ったのですが、奥さんもウルウルだったとの事。ワタシも二粒こぼしました(爆)。

ナカタニさんは、何故かとても若く見えた(笑)。今回はほとんどスッピンに近かったとの事だが、それが逆に良かったのか。付けボクロやそばかすも崩しにならず、とてもかわいかったです(爆)。ワタシ的にはちょっとおトク感を感じたくらい(どんなだ)。演技も肩の力が抜けた感じで楽しんでる雰囲気を感じたし、美人役をやってるよりも魅力的でした。
ちなみに相手役の阿部ちゃんは・・・・寺島進に見えたのはワタシだけ?(爆)目を剥いた時なんかの印象がそっくりだった気が。

残念なのは、相変わらず堤監督の下手なクロージング。どうしても冗長になってしまう。観ている側から言えば、思いっきり気持ちが盛り上がったらクールダウンもそこそこにチャッチャと終わらせてもらって気持ち良く帰りたい訳なんだが、そういうコトが出来ないんだなぁ、堤幸彦という人は。確かに熊本さんについての回収作業が出来てないってのはわかってたけど、挟み込む場所が間違ってるんじゃないかね。最後の最後の幸恵のモノローグも、余りにも説明口調なのがこちらを冷静にさせてしまった。熱い想いを抱えて帰りたかったんだけど・・・・。

とは言え、全体的にはとても満足出来るデキでした。これだから堤幸彦監督は売れっ子なんだなぁ、と再確認。ちょっとだけ見直した(木亥火暴)。



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コメント 2

ken

映画はともかく、「伏線の回収作業」というワードにnice!
堤カントクってクロージングが下手なんですね。
知らなかった。
僕は、大人になった熊本さんに爆笑しましたけど。
反則ワザだもんねえ。
by ken (2007-11-12 13:42) 

tomoart

>kenさん
こんばんは。nice!&コメントありがとうございます。(そんなところで琴線に触れるとは・・・恐縮です汗)
ワタシの数少ない堤さんの作品鑑賞の傾向を見ると、どうも締めが“キュッ”と行かないんですよ。どうしてもダラダラしてる感がありますね・・・・。ワタシの記憶で一番なのは「トリック劇場版」一作目ですかね〜。エンディングテーマの間中、上田と山田の掛け合いな訳ですが、それがダラダラ続いて面白くもなく、本編の余韻も何もあったもんじゃなかったですよ。まぁ、あそこまで酷いのは稀かもしれませんがw彼の作品にはそういう傾向があると思います・・・・。
まぁ、確かにどこで一番盛り上がるかで、どこからがクロージングか、という事は変わるわけですけどね(爆)。

そのうち、DVD発売成った「大帝の剣」も見てみたいと思ってますんで(DVD出たら「包帯クラブ」も興味あるし、来年には「20世紀少年」も待っている)、サンプル数を更に増やしてまたチェックしたいと思いますm(_ _)m。
by tomoart (2007-11-13 01:14) 

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