ガサラキ [その他レビュー]
「ガサラキ」1話〜25話〈完〉(監督:高橋良輔)
日本を影で牛耳っている豪和一族。その四男であり、謎多き大いなる力“餓沙羅鬼”を召還する嵬(かい)の能力を有する豪和ユウシロウは、豪和を上げての実験として閾(しきみ)と呼ばれるポイントである石舞台で、餓沙羅鬼召還の為の『餓沙羅の舞』を舞う。すると天空からエネルギーが降り注ぎ、各種計測器に大きな反応が現れ出す。現在の総代である父・乃三郎や兄弟の一清、清継、清春が、餓沙羅鬼召還の期待を膨らませる中、ユウシロウは何故か舞を止めてしまう。無心で踊っていたユウシロウの意識下に、入り込んできた少女があったのだ。名をミハル。彼女は言った。「恐怖を呼び起こさないで!」と・・・・。
一方、世界情勢は逼迫していた。中東のベギルスタンでクーデターが勃発。米軍を中心とした国連軍が反・クーデター政権を唱え進軍するが、進行した陸軍がベギルスタンの新兵器によって全滅。それは世界情勢を裏で操っている、シンボルと呼ばれる組織が実験のためにベギルスタン軍に参加させていた二足歩行兵器だった。豪和は日本政府に圧力をかけ、自らが開発に加担した独自の二足歩行兵器を運用する特務自衛隊の第3実験中隊をベギルスタンの戦闘の最前線に派遣。その中隊には、二足歩行兵器の優秀なパイロットという側面も持つ、ユウシロウの姿もあった・・・。
以前マンガ版のレビューで「テレビ版を見たい」と書いてからずいぶん経ってしまったが、何とか全話再見をしたのでレビューしたい。
本放送時(1998〜1999年)、第1話は見逃したものの毎週楽しみに見ていたはずなのに、今回見直してみたら記憶に全くない部分が何ヶ所かあって愕然とした。特に最終回(爆)。ワタシの中での最終回の記憶は24話だった。もしかして25話も見てないのかなぁ。お陰で物語終幕に来て、何だかとっても新鮮だった(爆)。
見直してみて、改めて面白い!和風伝奇ロマンと政治的・軍事的シミュレーションが平行して語られるのだが、残念ながら上手く融合しているとは言い難い。しかし、それぞれが面白みを持っているのでそれだけでワタシには充分に面白かった。特に前半の軍事的シミュレーション。登場するTA(タクティカル・アーマー)やMF(メタル・フェイク)というロボット群は現在の兵器の延長線上のものとして描かれている為大した武装もなく(実体弾のみ)、お陰で戦闘シーンなどは指令車内の描写と共に最大限のリアリティ付与を目指していて楽しい。そして後半は米国と日本の政治シミュレーション。政治に詳しい人が見たらどうなのかは分からないが、ワタシ程度が面白みを感じるには充分なシミュレーションだった。逆にもっとリアリティを追求してしまうと些末な事の積み重ねになってしまって、素人には分かり辛くなっただろう。ロボットアニメとしてのバランスで言えばこの程度で良かったと思う。
また、一方で人と人とのつながりの描写が胸に沁みる部分もしっかりある。特に特自第3実験中隊の隊員たち、そしてそこに加わるユウシロウの描写では、なかなかに泣かせる展開があっていい。ユウシロウ、ミハル、美鈴の三角関係(もしかして安宅大尉も?鏑木大尉も?)なんてのもあるが、この辺りは逆に深追いし過ぎていないのが気持ち良かったw
確かにメカ描写は脇に追いやられている部分も多く、ロボットも活躍しているとは言い難いため、商売的には厳しかったろうと思うが、こういう独特の魅力を持っている作品がもっともっと出てきて欲しいと思う。
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