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GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 [邦画レビュー]


512vXxjFWgL.jpg「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」(監督:押井守)

西暦2029年。ほとんどの人間が脳とネットを直接接続するジャックを持ち(電脳化)、外部記憶や体の一部のサイボーグ化(義体化)も珍しくなくなった時代。進んだ科学技術や高度な情報ネットなどを悪用したテロや大規模犯罪が多発。それに対応するため内務省直属公安9課が設置された。 他人の電脳をゴーストハックして操る“人形使い”なるハッカーが国際手配の手を逃れて日本に潜入したとの情報を掴む。ゴーストハックされて犯罪を起こす“人形”役の犯罪者は逮捕されるが、“人形使い”本人に関しては実体が掴めない。そんな中、大手義体メーカーである『メガテク・ボディ社』の生産ラインが勝手に動き、一体の義体を作り出す。その義体は警備員が駆けつける前に工場を脱走するが、直後に車に轢かれて公安9課に搬送される。しかしそれは、“人形使い”の計算通りの行動だった・・・・。

「イノセンス」をレビューしたら、久しぶりに一作目も見たくなったので早速鑑賞。「イノセンス」と比較してしまうのも良くないと思うものの、やはりこちらの一作目の方が単純にエンターテインメントとしては面白い。事件の劇中での謎解きは、ストーリーの動きに妙な紆余曲折がないので追い易いしw 隊員たちのプライベートに立ち入り過ぎないのでその点でも脇道が少ない。また冒頭からのアクションシーン、中盤にも大立ち回りが挟まり、終盤は自分よりデカイ相手を倒すという王道さで、しっかりと少佐(とバトー)のスゴさをアピールしている。

また今見ると、当時難解だった部分も実社会の周辺環境の変化(デジタル情報の氾濫)と攻殻機動隊という作品に対する理解度向上(S.A.Cシリーズ)によってずいぶんと分かり易くなった。絵柄は好きずきだと思うが、ワタシには「イノセンス」の余りにも華のなさ(同じキャラデザ:沖浦啓之だが・・・)より、またS.A.Cの俗っぽさより、この劇場第一作の“硬質なエロティシズム”とでも言えそうなタッチが心地よい。

押井印とも言える『虚構と現実』という主題に関しては「アヴァロン」や「イノセンス」ほど謎かけ的な仕掛けはなくて、ゴーストハックなどで表現される一部に限られている。逆にこの作品では『人間とは』という投げかけが少佐、人形使い双方から繰り返し語られる。こちらの問い掛けの方が、『虚構と現実』という認識問題よりもより一般性が高いので、それもエンターテインメントとしては良い方に作用していると思う。

それにしてもこの作品、公開が1995年である。今となっては、現実がこの作品をなぞって進んできているような印象を持つ程、ネット社会を予言しているのがスゴい。当時この作品を劇場鑑賞するのと前後してワタシが買ったのが、内蔵メモリ16MB、搭載HDD容量800MBのMacintoshPerforma6210だった。数ヶ月後、ワタシが電話のアナログ回線でインターネットに接続したのが1996年。まだNiftyserveを中心とする“パソコン通信”が主流の時代。ブラウザと言えばNetscape Navigator 2.0だった。そんな時代にこんなネット社会をビジュアル化した事自体にビビる。この作品に登場するネット社会は、あれから既に12年が過ぎてパソコン通信が絶滅、Internet Explorerが主流となり、アナログ回線28800bpsが100M光になった今でもまだまだ色褪せていない。



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ken

ご説明になっている背景がやっぱりちんぷんかんぷん(笑)。
95年に観たかったな。
by ken (2007-12-02 10:57) 

tomoart

>kenさん
こんばんは。コメントありがとうございます。
攻殻機動隊の世界観は、実際のところよく分かっておりません(爆)。だいぶ詳細な設定が存在しているらしく、それを調べるだけで大変そうです。原作を読めばそれが分かるのかも、ワタシも原作を読んでないので分かりません(汗)。しかもその原作者が作り上げた世界観を全て受け入れて押井守がストーリーを組み立てているのかも分かりませんし。と言う事で、何度も見返す事で自分の中の経験値を上げて行くしかないのが実態です。
だいたい押井監督自身が、一回観ただけでは分からない作り方をしている、と常々話をしているくらいですから。「イノセンス」も「アヴァロン」も、ワタシは3回目くらいでやっと本質に近付いたのを感じたくらいです(汗)。

(ちなみに、攻殻機動隊の世界では、第三次・第四次世界大戦終結後の世界とされ、東京は壊滅し、福岡に遷都された近未来という事らしいです。同様に世界各国の状況も今とはだいぶ様変わりしているらしい・・・・。そこまではどっちみち読み取れませんが。)
by tomoart (2007-12-03 01:22) 

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