喘ぎ泣く死美人 [小説レビュー]
「喘ぎ泣く死美人」(横溝正史)
単独作品の短編集。幾本かのショート・ショートを含んでいる。
「河獺」「艶書御要心」「素敵なステッキの話」「夜読むべからず」「喘ぎ泣く死美人」「憑かれた女」「絵馬」「灯台岩の死体」「甲蟲の指輪」の9本の短編と、ショート・ショート9本を収録。
大正から戦後まで、様々な時代に書かれた、まぁ悪く言えば雑多な作品をまとめて一冊にした、という印象。面白い作品もあれば、何とも肩透かしなお遊び作品もあり、出来具合もバラエティ満点。「夜読むべからず」のグロな描写はなかなか面白いし、「憑かれた女」「絵馬」の推理小説としてそれなりに面白いもの、そしてショート・ショートにも気の利いた作品が何本かあるが、逆に前半の3本は何だかなぁ、という感じだし、ショート・ショートも『オイオイ』という感じの作品が数本ある。
まぁ、ここまで横溝作品に付き合ってきて、取り敢えず最後まで来たって感じの最後の澱みたいなもんかな。全体としては決して一見さんが読んで面白いもんじゃありませんから、買われる時はお気を付けて。
さて、角川文庫の現在ラインナップされている横溝作品は全部終わったから、今度はどれを読めばいいのかなぁ。徳間文庫で9冊くらい出てるらしいんで、その辺りかなぁ。
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