ガタカ

「ガタカ」（監督：アンドリュー・ニコル）
1997年の映画。ワタシはNHK-BSで放送した時に見た。

遺伝子操作で完璧な人間が生まれるようになった近未来。遺伝子操作を受けずに生まれたビンセント（イーサン・ホーク）は、遺伝子的にも完璧でなければならない宇宙飛行士になる夢を捨て切れずにいた。片や完璧な遺伝子を持ちながら、事故で車いす生活を余儀なくされているジェローム（ジュード・ロウ）。ジェロームが髪や血液、尿などを提供する事でビンセントはジェロームに成り済まし、試験をパス。宇宙飛行士養成所である『ガタカ』へ入所する事が出来た。しかしビンセントは心臓に病を抱えており、トリックの露呈は時間の問題と思われたが・・・。

ジュード・ロウ、フランス芸術文化勲章を受賞（シネマトゥデイ）

こんなニュースを見たら、なんだか思い出したのがガタカ。ジュード・ロウの出ている映画の中で一番好きな映画。（「イグジステンズ」も興味深いが、相変わらずのクローネンバーグ節がちょっとワタシには合わないw）

宇宙飛行士を夢み、宇宙船の発射シーンも出て来るので間違いなくSFなのだが、その実、映像を見ている範囲では全くSFらしくない作品。そういうと、何となく「ティコ・ムーン」を思い出すが、本作はそれ以上に演出用に作られた風景がない。唯一それらしいのが、ビンセントの宇宙への想いを表すかのように何回か挿入される宇宙船が空高く上がっていくシーン。（この辺りのシーンの演出も素晴らしい。）
ガジェット好きのワタシからすると今イチな印象でもおかしくないのだが、それを上回って感じるのが、この作品独特の品格。全体をまとめる物悲しくも感情を抑制したトーンが、ち密に組み立てられたストーリーと合わせてとても印象的な作品に結実した。

見所は、とにかく遺伝子情報を誤摩化す為に打つ手の数々。ここまでやるか、という興味と、もしかしたら本当にこんな未来がくるかも・・・という寒々しい恐怖を感じます。また、ビンセントが自らの遺伝子情報を確認されないようにする為にする徹底した身繕いや仕事中の清潔さは、この作品の映像のシンプルな美しさや凛とした雰囲気に繋がる気がして興味深かった。建物も、登場人物も、そしてそれを切り取る画面の構図も、何とも言えない突き放したような美しさを感じる。そして、それと共に何故か濃密な「色気」をも感じてしまうのはワタシだけだろうか。

最後、ビンセントとジェロームは、全く違う道を行く。バッドエンドでも、ハッピーエンドでもないが、深く深く余韻を残すラストは秀逸の一言。胸が熱くなります。

ガタカ [SUPERBIT(TM)]

• 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
• 発売日: 2006/12/20
• メディア: DVD

タグ：ガタカ アンドリュー・ニコル

コメント 5

おはようございます。
私も『ガタカ』大好きです。ジュードのぴか一の存在感に圧倒されました。この作品は、ドラマ部分が強いし、SF作品として文明の進化も垣間見れる、格調高さも感じられますね。
by クリス (2007-03-09 08:16) 

＞蟻銀さん
nice!＆コメントありがとうございます。ワタシも、イーサン・ホークのフツーな感じも好きですが、今作はジュード・ロウのちょっと云っちゃってるような目つきが一番の魅力だと思いますw
ま、男としては出始めの時期のユマ・サーマンの美しさというのも見所ですけどね（爆）。
by tomoart (2007-03-09 20:16) 

おじゃまします。
蟻銀さんのブログからとんできました。（＾＾）
ユマ・サーマン、きれいですよね～。でもやはり、ジュード・ロウの演技が
すばらしかったです。この人も、こういう変わった役を時々やりますよね。
「ロード・トゥ・パーディション」のときもハゲてる男の役だったし。私は、
「リプリー」のジュウド・ロウが好きですけど。
映画としてもなかなかおもしろい作品でした。
by coco030705 (2007-03-10 10:20) 

＞coco030705さん
わざわざすいませんwありがとうございます。ジュード・ロウって、確かにカッコいい部分あると思うのですが、それより何となく人間としてバランスが崩れているような役が似合うのはなんなんでしょうね（爆）。目の周りがちょっと独特の雰囲気を持ってるからでしょうか。目を剥いたときの表情とかが印象的ですw
by tomoart (2007-03-10 14:10) 

＞シロタさん
nice!ありがとうございます。「ガタカ」好きなんですね。とてもきっちりした清潔感のある作品だと思います。劇場で観たかったなぁ。
ワタシはアン・マキャフリーの「歌う船」シリーズは読みましたねぇ。まぁ、あれは一作目以外共著ですけどw
by tomoart (2010-04-29 05:08)