人面瘡 [小説レビュー]
金田一耕助シリーズ15冊目。5編の中短編集。
眠れる花嫁:珍しく金田一耕助の解決編がある。悪くないがまたまたエログロが効き過ぎて、ちょっと逆効果な気がしないでもない。
湖泥:横溝作品では珍しく、解決編で金田一耕助がバシッと決めてみせる中編。途中はもっさり感がある上に、「眠れる花嫁」と趣向がダブっており、この本自体がちょっとどうなのって気もするが、最後にここまでしっかり解決シーンを描いてくれると細かい事は言わん。良かったと言っとこうw
蜃気楼島の情熱:久しぶりに久保銀造登場の岡山編。これも解決編が割としっかり描かれているが、それより遺族の状況の辛さが何とも胸に残り、あまりに切ない。ハッピーエンド至上派としてはちょっと減点(汗)。
蝙蝠と蛞蝓(こうもりとなめくじ):ちょっと面白い趣向の小品。久しぶりに一人称で描かれた物語。事件自体の面白さは表現に埋もれてしまっていて余り伝わらないのが難点。
人面瘡:これは、どちらかと言うと人情もの。最後にホロリとさせて後味爽やか。エロな人物は出て来るが、珍しく添え物扱いで控えめ。物語全体としてはとても良い。ただ、金田一耕助は全然事件を解決しない。自白につぐ自白という具合。ま、話が面白けりゃいいか。
という事で、解決編がハッキリしている作品が多く、その点ではなかなか推理小説っぽい作品集。ただ、一番心に残ったのはタイトルロールでもある、最後の「人面瘡」。一番推理小説っぽくないのが一番印象深いっていうのも・・・・ある意味面白いかw
こちらは古谷金田一のテレビドラマ。見た事ないんですけど、粗筋読むと小説と全然違うんですけど(爆)。
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