どろろ [邦画レビュー]
「どろろ」(監督:塩田明彦)
架空の戦国時代。天下取りのため父親に体の48ヶ所を物の怪への生け贄として捧げられ、ヒルコとして生まれ捨てられた男(妻夫木聡)は、養父の作った義手義足などで人間の体を保ち、妖怪狩りをして自らの身体を取り戻そうとしていた。そして、その男の義手に仕込んだ百鬼丸という妖刀で妖怪を狩る姿を見、自らの復讐の為にその刀を奪わんとする女(柴咲コウ)。二人の奇妙な旅が始まった。
年明けの映画界を席巻した「どろろ」を、終映間近となったが観て来た。しかし・・・(汗)。どうなんですかね、これ。当初から懸念していた柴咲コウのどろろがやっぱりどうしようもないのは仕方ないとしても、妖怪の作りも、ややもすると仮面ライダーの怪人レベルだったりするんですが。衣装も、架空の世界設定という事で、日本の戦国時代風でありながら少しズレているようなデザインなのだが、そのズレが時として安っぽい感じがするのだ。いや、安っぽいというのは、衣装が安っぽいのではない。そういう架空の衣装が登場する画面が安っぽいのである。衣装は、百鬼丸とどろろのモノなんかはもっと衣装自体は安っぽくても良かったと思う。使い込んだ感じとかが出ていれば、決して画面は安っぽくならなかったのでは。
ニュージーランドロケは素晴らしい。日本ではこれだけの広大な景色を作り出せるところはない。見えてしまう高圧鉄塔をCGで一生懸命消すのにお金を使うよりは、ニュージーランドに飛んでしまうというのは素晴らしい発想だ。ただ、画面を作り込もうとし過ぎてニュージーランドの風景の素晴らしさをスポイルしてしまったのは残念。色変換などやり過ぎでは。まぁ、確かにニュージーランド的な絵になってしまうのは避けたかったんだろうけど。
細かい事を挙げたが、一番の問題点は何といってもストーリーにメリハリが欠けている事だろう。どうも、どのシーンもダラダラと続いている印象。個々のエピソード内でのメリハリも、エピソードとエピソードのつなぎに関しても、メリハリが決定的にない。サラッと流すところ(冒頭の酒場の描写、百鬼丸やどろろの過去の話とか、次々と魔物を倒して行くところなど)は手短かに済ませ、ラストの活劇はもっとガッツリ盛り上げて欲しかった。この作品は監督がいくら「自我」「家族」とかテーマを掲げていたとしても(ホントはどうか知らんが)、あくまでアクション映画だと思う。最後の最後はアクションで盛り上げずにどこで盛り上げるんだ!
既に2作目3作目の同時制作が決定しており、予算も更に多めにつくらしいので、次こそは山場のアクションに期待してます。
「どろろ」公式サイト
ということで原作です。全3巻のようです。手塚治虫バンザイw
今作のDVD化は、続編との兼ね合いもあろうから少し先かもしれないね。
ナビゲートDVDなんてのもあったんですねぇ。
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