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悪魔の手毬歌 [小説レビュー]

悪魔の手毬歌(横溝正史) 角川文庫版

金田一耕助シリーズ13冊目。

静養の為に岡山の鬼首村の湯治場を訪ねていた金田一耕助は、多々羅放庵という老人と昵懇になる。その放庵は8人目の妻に逃げられたというが、5人目の妻おりんから復縁を求める書簡が届いたと喜んで金田一に言う。そして、そのおりんが鬼首村にやって来たその日を境に、昔から彼の地に伝わる手毬歌になぞらえた連続殺人が始まるのだった・・・・。

「迷路荘の惨劇」の地下道に続く、横溝正史お得意の田舎村での連続殺人。今回は「獄門島」などでも活躍した磯川警部との名コンビで金田一耕助が前面に出た活躍をする・・・・が、相変わらず殺人を大して防げないのだった(爆)。
「迷路荘の惨劇」も結構長かったが、この「悪魔の手毬歌」も今までの中でも長い。章立ても明快にされており、物語の組み立てとしてはずいぶんとすっきり分かりやすくなっている。
しかし、長いが為もあってか、登場人物が多いのだ。「迷路荘」では限られた登場人物だったし、翻訳物のように物語の始まる前に登場人物紹介が付いていたので分かりやすかったのだが、この「悪魔の手毬歌」はそういった補助もなく、頭の悪いワタシでは人間関係どころか登場人物の整理でさえおぼつかなかった(爆)。特に主要人物をハッキリさせていない事、大家族が多い事などで、本当に混乱する。その辺はこちらの問題なんだけど・・・もう少し整理してくれてもいいんじゃないかと思っちゃいます・・・。

金田一モノにしては珍しく、解決編もがっちりと描かれており、あやふやな部分がほとんどないのはとてもいいです。スッキリする。

いつものゾワゾワも要所要所で演出されており、充分楽しめます。しかし、事件の日にちは短いが物語のボリュームが大きいので、どうもゾワゾワする頻度が薄く感じる。これだけのボリュームなら、もう少し頑張って欲しいところだ。

この作品は金田一シリーズとしては珍しく「王道」という感じがして、スタンダードがやっと読めたような実感があった。今後の本がどうなのかは分からないが、ワタシとしては気持ち的に収まりのいい作品だった。
 

悪魔の手毬唄

悪魔の手毬唄

  • 作者: 横溝 正史
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1971/07
  • メディア: 文庫


 
うむ?石坂金田一の「悪魔の手毬歌」って、単独販売してないの?

金田一耕助の事件匣 市川崑×石坂浩二 劇場版・金田一耕助シリーズ DVD-BOX

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2006/11/23
  • メディア: DVD


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