世界最速のインディアン [洋画レビュー]
世界最速のインディアン(監督:ロジャー・ドナルドソン)
久しぶりに劇場公開中の映画である。
ニュージーランドの片田舎に住んでいるバート・マンロー(アンソニー・ホプキンス)は、若い時からの夢だったアメリカ・ボンヌヴィルにあるソルトフラッツで毎年開催されるスピード記録会に参加する為、40年間改良し続けて来たバイク「インディアン」を携え、勇躍旅立つ。しかし金も知識もなく、初めて太平洋を渡ったマンローは、行く先々でトラブルに見舞われる。しかし好きな事にのみ情熱を傾けて生きて来た実直なマンローに対して、会う人々みんなが救いの手を差し伸べてくれるのだった。そのお陰で何とか目的のソルトフラッツまでたどり着いたマンローだが、そこで最大の難関が。参加資格がないと宣告されてしまうのだ・・・・。
実話が題材という事だが、だからなのか大変荒削りな作品。127分だから決して短くはないのだが、ニュージーランドを出てからの登場人物たちはほとんど全員が描写不足で、どういうつながりで出て来たのか分からない人までいる始末。
また時間の扱いも雑で、シーンとシーンの間の時間の流れが不明確だ。太平洋を渡る船の旅は何日掛かったのか?アメリカに着いてからソルトフラッツまでは?記録会の開催期間は?あるシーンの直後、前触れもなく翌朝の同じようなシーンになる事もあり、注意していないと訳が分からなくなる。
記録会のシーンも、肝心の目標とする速度は排気量によって違うらしいのだがその辺の説明がまるでないので、盛り上がるようで盛り上がらない。この辺りは、もしかしたらアメリカ人にとっては言わずもがなの世界なのかもしれないが、日本人にとってはちょっと不親切といわざるを得ないだろう。
しかし、それだけのハンデを負っているにもかかわらず、この作品には間違いなく相応の魅力がある。それはマンローの63才とは思えない前向きな推進力が生み出している。狭心症だろうが、前立腺肥大だろうが、負けない。やりたい事、長年の夢・目標がハッキリしているだけにそれに向かって突っ走り、ぶれない。その勢いに巻き込まれて、周りは助けずにはいられないという風情だ。
アメリカという国をろくに知りもせず、騙されやすそうなマンローを見ていると、我々観客はずーっとハラハラドキドキ。しかしそれが嬉しい方に裏切られる時、思わずジーンとしてしまう。
もう一つは、やはり記録会のシーンだ。「インディアン」が走り出し、マンローがマンローたる瞬間に身を任せる時、観ている我々も彼と一緒に走っている。作品の中で、とにかく彼だけを追い続けて来たが故に、バイクに彼が跨がった時に、一心同体の気分を味わえる。このシーンの迫力、迫真の映像は、必見です。本当に心が飛翔するかのような気分を味わいましたよ、ワタシは。
上の写真は、新宿テアトルタイムズスクエアで観た時に飾られていた、撮影に使われた現物(?)らしい・・・。
「世界最速のインディアン」公式サイト
http://sonypictures.jp/movies/theworldsfastestindian/
なんと、監督はこれ作った人だったんですねぇ。
※追記
いよいよDVD発売が決まりましたねw 7月だそうです。
時間の使い方、間違えてますよね。
編集がヘタレだったんだろうなあ。
by ken (2007-10-14 10:28)
>kenさん
こんにちは。nice!&コメントありがとうございます。
この映画、もっともっと良く作れそうな気がしたんですけどね・・・難しいものです。監督のロジャー・ドナルドソンがバート・マンローの大ファンだったのが、逆に災いしたのかもしれませんね。
by tomoart (2007-10-14 11:48)
>DSilberlingさん
トラバ先までniceありがとうございますm(_ _)m
どうもこの作品、監督の思い入れが強くて失敗したところがあるような気がします。でも同時にその思い入れの強さが横溢している感じが魅力でもあると思うので、難しいところですねw
by tomoart (2008-01-05 01:06)