悪魔が来りて笛を吹く [小説レビュー]
悪魔が来りて笛を吹く(横溝正史)角川文庫版
金田一耕助シリーズ7冊目。
椿子爵が自殺した。宝飾店での大量殺人と窃盗の容疑を掛けられた事、そして同居している叔父や義兄などからの無能呼ばわりに耐えられなくなった為と考えられた。それから数日、金田一の元に椿子爵の娘が訪ねてくる。死んだはずの椿子爵を複数の人間が目撃しているというのだ!椿子爵作曲・演奏の「悪魔が来りて笛を吹く」のフルートの音が響く時、連続殺人の幕が切って落とされる・・・・。
今作は有名な割にはワタシ的には今イチだったなぁ。
音楽がキーになっているのは新味としては悪くないのだが、そこに続く殺人が今イチ盛り上がらない。初期のゾクゾクするような死体発見シーンが欲しいのだが・・・・。この作品、都合4人も死人が出ているのに、それが巧くカタルシスに繋がっていないのも残念だ。
かといって、推理物としても密室殺人の解明はまぁまぁなれど、その後の種明かしを犯人の手記にしてしまったせいもあり、金田一の推理の披瀝シーンも爽快になり得ず。
種明かしの場面やタイトルの付け方を見ても、今作はどちらかというと怪奇物としての意味合いが強かったのではないかと思うのだが、前出のようにそれが巧く行かなかった事が最大の問題だな。美女描写も余りなく、その点もマイナス要因(爆)。
前作の「女王蜂」同様に肉欲のオンパレードなるも、今作は最後それだけで終わらせなかった部分は良かったと思うが・・・・。
そして古谷金田一のドラマ版。
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