幽霊男 [小説レビュー]
幽霊男(横溝正史) 角川文庫版
金田一耕助シリーズ8冊目。
ある日、ヌード専門のモデル紹介会社に佐川幽霊男(ゆれお)と名乗る、自称・画家が客として現れる。その姿は見る物全員に怖気だつような印象を与える物であった。翌日、その幽霊男の雇った一人のモデルが何故かホテルの一室で殺人死体として発見される。それは恐るべき連続殺人の第一幕でしかなかったのだ・・・・。
うーむ、このデキの酷さは何・・・・(爆)。舞台は怪しいヌードモデル仲介業だったりストリップ小屋だったりでアダルティ〜なのだが、全体の話はのんびりした中途半端なジュブナイルみたい・・・。金田一耕助も「畜生!畜生!」と叫ぶシーンばっかり印象的で、なんだか全然名探偵でない。いや、いつも名探偵とは思えない活躍しなさ加減なのだが、それでも物腰や時折見せる洞察力などで名探偵らしさの演出はされていたと思う。ところが今作に関してはいったいどこが名探偵やら。全く迷探偵と言って差し支えないほどのアホ垂れようだ(爆)。取り敢えず事件は解決するが、どちらかと言うと犯人がボロを出したというのが正解で、金田一耕助が解決したというスカッと感は全く感じなかった。
登場するのも場末のヌードモデルばかりではさすがの横溝正史も「絶世の美女」を連発する事も叶わず、ますます凡庸な印象ばかりが強くなる。
怪奇怪奇と連発すればする程あほらしくなる緩さ加減で、もはや今作の救いは全く存在せず。うーむ、知らんタイトルだし、期待は全くしていなかったが、ここまでの凡作とは思わず。
あんまり読まん方がええですよ。
これは古い!河津清三郎の金田一。昭和29年の作品。金田一がスーツ姿ですよ!
コメント 0