SSブログ

犬神家の一族 [邦画レビュー]

犬神家の一族(監督:市川崑)

言った通り、大晦日に奥さんと観てきました。

市川崑監督の自身の作のリメイク。
昭和22年、莫大な遺産を巡る、犬神家で起こる連続殺人事件の謎を金田一耕助が追う。

ワタシはまだ、1976年版のオリジナルを見た事が無いのだが、原作を読んだ状態でこの作品を観た限り、とても面白かった。この作品を語る場合、76年版との比較でしか語られない(当然だが)ので、大概はダメ出しになっている評が多いように思う。ワタシも76年版を観たら何言うか分からないが(近々見てみるつもり)、現代の作品としては全体に大変丁寧に出来ていて、本格大作としての風格もあり、見応えのある作りであった。

うろ覚えながら原作を読んだ人間としてはストーリーの持って行き方はもちろん重要ながら、全体の雰囲気(役者たちの熱演、美術の作り込み、映像の美しさなど)がより重みを持って来る。そういった目からするとまずキャスティング(76年版から同様のキャスティングも多いらしいが)が非常に豪華で映画映えしているのがよい。石坂浩二の金田一耕助をはじめ、富司純子、松坂慶子、萬田久子の三姉妹や加藤武、尾藤イサオの警察陣、その他中村敦夫。岸部一徳、蛍雪次朗、草笛光子、大滝秀治などはなかなかに見応えがある。また、美術も昭和22年の再現という非常に難度の高い部分を頑張って作り込んでいる。街並やそれぞれの家屋(犬神家、那須ホテル、柏旅館など)をしっかりと作ってあり、雰囲気を盛り上げる。
この辺りは、やはり市川崑が本人の代表作をリメイクするという事で、しっかりとした予算がついている事を窺わせ、プロジェクトとしての厚みが感じられて心地よい。ちょっと前(と言っても15〜20年前くらいか)までは邦画の大作と言えばこれくらいは普通だったかもしれないが、今では滅多にお目にかかれない贅沢さである。その辺が76年とは時代背景が違う事による、現代ならではのこの作品の見応えと言えるかもしれない。
反対に残念だったのは死体のチープさ。ここは逆に市川監督だからこそかもしれないが、余りにも死体が作り物過ぎる。生首や湖面から突き出した死体が、作品全体の中で浮きまくっていたのが残念だ。もしかすると市川監督の頭には、余り生々しくするとエンターテインメントとしてよろしく無いという気持ちがあったのかもしれないが、それならば長々と見せずに一瞬だけ見せるとか、カット割でうまく処理して欲しかった。

興行成績的には芳しくないようなので可能性は低いかもしれないが、改めて横溝正史シリーズの映画化なんてやってもらえると見てみたいな〜なんて思ってしまった。過去作品のチェックはこれからやってみます。面白かったらまたレビューしたいと思います。

犬神家の一族 公式サイト
http://www.inugamike.com/

こちらが76年版ですね、

犬神家の一族 コレクターズ・エディション (初回限定生産)

犬神家の一族 コレクターズ・エディション (初回限定生産)

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • 発売日: 2006/12/08
  • メディア: DVD

原作はこちらです。

犬神家の一族

犬神家の一族

  • 作者: 横溝 正史
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1972/06
  • メディア: 文庫


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

2006年に観た映画犬神家の一族 ブログトップ
1ヶ月無料のU-NEXT

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。