アデル / ファラオと復活の秘薬(字幕版) [洋画レビュー]
「アデル / ファラオと復活の秘薬(字幕版)」
(監督:リュック・ベッソン)
1911年のエジプト。フランス人ジャーナリストのアデル・ブラン=セック(ルイーズ・ブルゴワン)は取材の名目で王家の谷に潜入、〈復活の秘薬〉を入手すべく、ラムセスII世に仕えた医者のミイラをパリに持ち帰ろうとする。
同じ頃、パリの博物館ではジュラ紀の翼竜の卵がなぜか急に復活。パリの街を恐怖に陥れていた。事件を担当しているカポーニ警部(ジル・ルルーシュ)がジュラ紀の権威であるエスペランデュー博士(ジャッキー・ネルセシアン)を訪ねると、なんと博士は家に翼竜をかくまっていた。警部は博士を即刻逮捕、死刑が決まるが、アデルは秘薬の謎をミイラから聞き出す為に博士の協力を必要としていた・・・・・。
うーむ、これまた判断の難しい作品・・・・。話の大筋自体が一本調子で単純なのは良いとして、どうもこの手の映画としては“はったり”が少なくて平板な印象なのが最大の問題点か。
大体この作品、基本的にはファンタジーの部類だ。翼竜の復活に関しても、(ややネタバレになるが)ミイラの復活に関しても、クライマックスの妹の件に関しても、何らかの論理的な理由付けをしようという努力も余り感じない。で、そんな事はハリウッド作品でもありがちな話なので良いのだが、その場合はせめて映像でガツンと見せて欲しいんだよね。『なんだかスゴい事が行われているらしい』と映像で思わせて欲しいわけ。でも予算がないのか、そういう視覚的な迫力で押し切る事も出来てないので、安っぽくて出来の悪いハリウッド作品みたいになってしまっているんだと思う。
予算がないならインディペンデント作品として脚本をしっかりと練って、上記のようなアバウトな部分にもっともらしい理由付けを施す事で乗り切る事が定石だと思うんだが、リュック・ベッソンにそういう事を求めても無理なんだろうなぁ(爆)。「フィフス・エレメント」みたいに金をふんだんに使えれば、ハリウッドアクション映画的に普通に乗り越えられたんだとは思うんだけど。
ストーリーはそういった問題を孕んでいるので、じゃあもう一方の魅力たり得るアデルというキャラクターはどうなってるかと言うと、これまた何となく微妙w
宣伝文句的には女性版インディ・ジョーンズみたいな事が書かれているが、それは本当に冒頭のエジプトの部分くらい。後の話は全くパリを出ないので、『未開の地を大冒険』みたいな話ではない。これまた予算の問題なのか、はたまた原作(バンド・デシネ)からそういう話なのかはよく分からないが。
捕まったエスペランデュー博士を解放しようと、様々な変装を繰り返して刑務所に入り込む部分などは楽しくなりそうな所なのだが、この辺りもただただ変装しているだけでそれぞれのシーンに捻りがないので、なんだか間延びしているような印象になってしまっている。
翼竜との絡みのシーンも、本当は冒頭のエジプトのシーンでラクダとの場面を作り込んでいれば伏線になるわけだが、現状ではちょっと中途半端だろう。
ドラマチックな展開になるはずの妹との話も、アデルの人物造型に深みを感じられない事もあって唐突感が否めない。だからクライマックスに向かっての心の高揚も得られないという悪循環になってしまっている。
という事で、今のままではアデル役のルイーズ・ブルゴワン嬢の魅力だけで見せている状態で、残念ながら作品全体の印象を覆すまでの魅力にはなり得ていない。折角ヌードシーン(?)もある熱演なんだが、ちょっと可哀想だ(汗)。
フランス作品として、当然ながらフランス語の映画となっている。その辺り、独特の抑揚が耳に心地よいところなんかも、冒頭の説明調の部分で感じたりしたので、もう少しずつ様々な所に気が使われていれば全く違った印象になったかもしれないのが残念。まぁ、リュック・ベッソンだからなぁ・・・・(って問題はやっぱそこかw)。
フィフス・エレメント [DVD]
(監督:リュック・ベッソン)
1911年のエジプト。フランス人ジャーナリストのアデル・ブラン=セック(ルイーズ・ブルゴワン)は取材の名目で王家の谷に潜入、〈復活の秘薬〉を入手すべく、ラムセスII世に仕えた医者のミイラをパリに持ち帰ろうとする。
同じ頃、パリの博物館ではジュラ紀の翼竜の卵がなぜか急に復活。パリの街を恐怖に陥れていた。事件を担当しているカポーニ警部(ジル・ルルーシュ)がジュラ紀の権威であるエスペランデュー博士(ジャッキー・ネルセシアン)を訪ねると、なんと博士は家に翼竜をかくまっていた。警部は博士を即刻逮捕、死刑が決まるが、アデルは秘薬の謎をミイラから聞き出す為に博士の協力を必要としていた・・・・・。
うーむ、これまた判断の難しい作品・・・・。話の大筋自体が一本調子で単純なのは良いとして、どうもこの手の映画としては“はったり”が少なくて平板な印象なのが最大の問題点か。
大体この作品、基本的にはファンタジーの部類だ。翼竜の復活に関しても、(ややネタバレになるが)ミイラの復活に関しても、クライマックスの妹の件に関しても、何らかの論理的な理由付けをしようという努力も余り感じない。で、そんな事はハリウッド作品でもありがちな話なので良いのだが、その場合はせめて映像でガツンと見せて欲しいんだよね。『なんだかスゴい事が行われているらしい』と映像で思わせて欲しいわけ。でも予算がないのか、そういう視覚的な迫力で押し切る事も出来てないので、安っぽくて出来の悪いハリウッド作品みたいになってしまっているんだと思う。
予算がないならインディペンデント作品として脚本をしっかりと練って、上記のようなアバウトな部分にもっともらしい理由付けを施す事で乗り切る事が定石だと思うんだが、リュック・ベッソンにそういう事を求めても無理なんだろうなぁ(爆)。「フィフス・エレメント」みたいに金をふんだんに使えれば、ハリウッドアクション映画的に普通に乗り越えられたんだとは思うんだけど。
ストーリーはそういった問題を孕んでいるので、じゃあもう一方の魅力たり得るアデルというキャラクターはどうなってるかと言うと、これまた何となく微妙w
宣伝文句的には女性版インディ・ジョーンズみたいな事が書かれているが、それは本当に冒頭のエジプトの部分くらい。後の話は全くパリを出ないので、『未開の地を大冒険』みたいな話ではない。これまた予算の問題なのか、はたまた原作(バンド・デシネ)からそういう話なのかはよく分からないが。
捕まったエスペランデュー博士を解放しようと、様々な変装を繰り返して刑務所に入り込む部分などは楽しくなりそうな所なのだが、この辺りもただただ変装しているだけでそれぞれのシーンに捻りがないので、なんだか間延びしているような印象になってしまっている。
翼竜との絡みのシーンも、本当は冒頭のエジプトのシーンでラクダとの場面を作り込んでいれば伏線になるわけだが、現状ではちょっと中途半端だろう。
ドラマチックな展開になるはずの妹との話も、アデルの人物造型に深みを感じられない事もあって唐突感が否めない。だからクライマックスに向かっての心の高揚も得られないという悪循環になってしまっている。
という事で、今のままではアデル役のルイーズ・ブルゴワン嬢の魅力だけで見せている状態で、残念ながら作品全体の印象を覆すまでの魅力にはなり得ていない。折角ヌードシーン(?)もある熱演なんだが、ちょっと可哀想だ(汗)。
フランス作品として、当然ながらフランス語の映画となっている。その辺り、独特の抑揚が耳に心地よいところなんかも、冒頭の説明調の部分で感じたりしたので、もう少しずつ様々な所に気が使われていれば全く違った印象になったかもしれないのが残念。まぁ、リュック・ベッソンだからなぁ・・・・(って問題はやっぱそこかw)。
フィフス・エレメント [DVD]
こんばんは。
このポスターをみた時、ファッション関係の映画なのかと思っていたら、
冒険活劇なんですよね~。
tomoart さんのレビューを読んだら、どの場面もなんかが不足してそうですね。残念ですね。
リュック・ベッソンは初期のころが好きなので、「グラン・ブルー」「ニキータ」「レオン」のころのベッソンに戻って欲しいと思っているんですけど。
by coco030705 (2010-07-17 21:20)
>coco030705さん
nice!&コメントありがとうございます。
リュック・ベッソンは、多分「フィフス・エレメント」で大作の味を占めちゃったんでしょうね。『こんな作り方があるんだ』ってw 自分は製作にまわって、うまくフランスの若手監督を発掘するのがいいのかもしれないですね。
by tomoart (2010-07-19 03:21)
まぁ、リュック・ベッソンですから、、
ベッソン監督は昔からゆるい感じの映画が多かったですしね。
一応、ベッソン監督はデビュー作の「最後の戦い」を第一回の東京ファ
ンタスティック映画祭で見て以来、ほぼ全作品見ています。
by きさ (2010-07-21 05:19)
>きささん
nice!&コメントありがとうございます。スゴいですね〜。ワタシなんか「フィフス・エレメント」「YAMAKASI」くらいしかまともに見てないです(汗)。あとはどうも、途中で飽きちゃうんだよなぁ・・・。
by tomoart (2010-07-21 12:13)