ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 [邦画レビュー]
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」(総監督:庵野秀明)
碇シンジ(緒方恵美)は母・ユイの命日に墓前で父・ゲンドウ(立木文彦)と遇い、話をする。ゲンドウに対する想いが徐々に軟化している事を感じていた。同じ日、第7の使徒が襲来。しかし同日日本へ運ばれて来たエヴァンゲリオン弐号機が、これをアッサリと撃退する。搭乗者の式波・アスカ・ラングレー(宮村優子) はシンジや綾波レイ(林原めぐみ)を罵倒し、自分はエリートであると公言。そのアスカを見た葛城ミサト(三石琴乃)はシンジに続いてアスカをも自宅へ招き同居させるのだった。
シンジ、アスカ、レイの三人は、学校での日常や第8使徒殲滅戦を共に過ごす事で徐々に打ち解けて行く。それと共にシンジは鈴原トウジ(関智一)や相田ケンスケ(岩永哲哉)との友情を深め、アスカは気を張る以外の生き方を模索していく。そしてレイは人間らしい感情を抱き始め、シンジとゲンドウの仲を取り持とうとする。
一方でNERVとその上位機関SEELE双方の本心が徐々に明らかになって行く。そんな中、悲劇が生まれてしまうのだった・・・・・。
という事で前評判の非常に高かった「ヱヴァ:破」。確かに美しい作画、エキセントリックさを抑えたキャラクターたち、テレビから解放されたストーリーの大きなうねりといった、非常に練り込まれた感のあるクオリティの高い作品になっていたと思う。
とにかくキャラクターたちの感情描写が細やかに描かれ、納得性が高くなっているのが非常に見やすくなった一番の原因だろう。「〜序」に比べてもシンジはマトモになっているし、シンジの真逆に振れたキャラのアスカも、時に人前で弱さを見せたり気遣いを見せるキャラへと変わっている。特にアスカのそれは、テレビ版で見せたその悲惨な過去が描かれない事と無関係ではないだろう。ワタシはその事が改名の理由だと思う。つまりマザコンだったり、そのママが自殺してたり、といった過去を持たないキャラになっているのだと想像する。また、加持リョウジ(山寺宏一)周りのあれこれも、自然な形に消化出来ていて好感。へんな性的描写もなく、安心して見ていられる。
総じて感情移入を拒絶するような描写はほとんどなくなり、落ち着いて観ていられる雰囲気になっている。旧作ファンには物足りない部分もあるかもしれないが、より一般的な作品としてよく出来ているように思う。
作画も、ワンカットワンカットが非常に美しく、隙がない。キャラクターたちの顔はどのカットもいい表情をしているし、メカ描写は「〜序」同様、CGを最大限に使って数の迫力を出して見映えがする。そして何よりもエヴァンゲリオンのアクションが良い。弐号機の登場シーンの落下戦も見映えがして良いが、第8使徒戦に於ける三体のエヴァたちの疾走シーンが素晴らしく、ワタシとしては一番の見どころと言っておきたいw
そしてストーリー。ワタシはテレビ版を歯抜けでしか見てない・・・程度しか知らないので、考察が間違っている可能性もかなりあるがw今「破」を観る限り、新劇場版こそが「エヴァンゲリオン」の真のストーリーとなっている、という感触を得た。
元々テレビ版「エヴァ」はロボットアニメのアンチテーゼ(パロディ)だったと何かで読んだ気がするが、衒学的な作風と共に、基本的には変化球的作品だったのだと思う。それが中盤から徐々に作る側も盛り上がってゆき、最終二話に集約されるシンジの成長〜解放の物語となって帰結した。しかし、いわゆるストーリーの完結を求めた周囲の要望もあり、最終二話を作り直すという形で劇場版が作られた訳だ。つまり、テレビ+旧劇場版の話の作りはかなり特殊なため、劇場版へ至るストーリーがテレビではほとんど無視されていた。旧劇場版は短時間の中でテレビと全く違う方向性の話を語らねばならず、お陰で(作り直したにもかかわらず)トータルで見た時にストーリーを完全な形で提示出来ていなかったのだと思う。
そこが「〜破」では旧劇場版的な展開への導入部と思しき部分が無理なく組み込まれており、かなりやりたい事が分かって来た印象だ。だからこそ「序」はテレビ版の再構築で話が作れたが、この「破」では大きく話がずれて来たのだと思う。逆に三作目「Q」では、旧劇場版的な話が語られると推測する。とは言え、描かれる形は大きく変容するのかもしれないが・・・・。
ワタシ的には中盤のキャラクター同士のやり取りがかなりナマっぽかった事が結構引っ掛かり、決して好感一辺倒ではなかったが、それでもこの恋愛作品に近くなって来た新劇場版の到達する場所は是非見たいと思えるデキだった。
前作。テレビ放映版は、違いはやっぱり予告編だけだったようですねぇ・・・・。
今作での綾波は、かなり人間らしくなっています。今作でもユイの生まれ変わりである事は示唆され、コピーが何体もいる事も語られますけど。
マリ(坂本真綾)も、活躍はしますが物語の中心には全く絡みませんでしたねぇ・・・・。
碇シンジ(緒方恵美)は母・ユイの命日に墓前で父・ゲンドウ(立木文彦)と遇い、話をする。ゲンドウに対する想いが徐々に軟化している事を感じていた。同じ日、第7の使徒が襲来。しかし同日日本へ運ばれて来たエヴァンゲリオン弐号機が、これをアッサリと撃退する。搭乗者の式波・アスカ・ラングレー(宮村優子) はシンジや綾波レイ(林原めぐみ)を罵倒し、自分はエリートであると公言。そのアスカを見た葛城ミサト(三石琴乃)はシンジに続いてアスカをも自宅へ招き同居させるのだった。
シンジ、アスカ、レイの三人は、学校での日常や第8使徒殲滅戦を共に過ごす事で徐々に打ち解けて行く。それと共にシンジは鈴原トウジ(関智一)や相田ケンスケ(岩永哲哉)との友情を深め、アスカは気を張る以外の生き方を模索していく。そしてレイは人間らしい感情を抱き始め、シンジとゲンドウの仲を取り持とうとする。
一方でNERVとその上位機関SEELE双方の本心が徐々に明らかになって行く。そんな中、悲劇が生まれてしまうのだった・・・・・。
という事で前評判の非常に高かった「ヱヴァ:破」。確かに美しい作画、エキセントリックさを抑えたキャラクターたち、テレビから解放されたストーリーの大きなうねりといった、非常に練り込まれた感のあるクオリティの高い作品になっていたと思う。
とにかくキャラクターたちの感情描写が細やかに描かれ、納得性が高くなっているのが非常に見やすくなった一番の原因だろう。「〜序」に比べてもシンジはマトモになっているし、シンジの真逆に振れたキャラのアスカも、時に人前で弱さを見せたり気遣いを見せるキャラへと変わっている。特にアスカのそれは、テレビ版で見せたその悲惨な過去が描かれない事と無関係ではないだろう。ワタシはその事が改名の理由だと思う。つまりマザコンだったり、そのママが自殺してたり、といった過去を持たないキャラになっているのだと想像する。また、加持リョウジ(山寺宏一)周りのあれこれも、自然な形に消化出来ていて好感。へんな性的描写もなく、安心して見ていられる。
総じて感情移入を拒絶するような描写はほとんどなくなり、落ち着いて観ていられる雰囲気になっている。旧作ファンには物足りない部分もあるかもしれないが、より一般的な作品としてよく出来ているように思う。
作画も、ワンカットワンカットが非常に美しく、隙がない。キャラクターたちの顔はどのカットもいい表情をしているし、メカ描写は「〜序」同様、CGを最大限に使って数の迫力を出して見映えがする。そして何よりもエヴァンゲリオンのアクションが良い。弐号機の登場シーンの落下戦も見映えがして良いが、第8使徒戦に於ける三体のエヴァたちの疾走シーンが素晴らしく、ワタシとしては一番の見どころと言っておきたいw
そしてストーリー。ワタシはテレビ版を歯抜けでしか見てない・・・程度しか知らないので、考察が間違っている可能性もかなりあるがw今「破」を観る限り、新劇場版こそが「エヴァンゲリオン」の真のストーリーとなっている、という感触を得た。
元々テレビ版「エヴァ」はロボットアニメのアンチテーゼ(パロディ)だったと何かで読んだ気がするが、衒学的な作風と共に、基本的には変化球的作品だったのだと思う。それが中盤から徐々に作る側も盛り上がってゆき、最終二話に集約されるシンジの成長〜解放の物語となって帰結した。しかし、いわゆるストーリーの完結を求めた周囲の要望もあり、最終二話を作り直すという形で劇場版が作られた訳だ。つまり、テレビ+旧劇場版の話の作りはかなり特殊なため、劇場版へ至るストーリーがテレビではほとんど無視されていた。旧劇場版は短時間の中でテレビと全く違う方向性の話を語らねばならず、お陰で(作り直したにもかかわらず)トータルで見た時にストーリーを完全な形で提示出来ていなかったのだと思う。
そこが「〜破」では旧劇場版的な展開への導入部と思しき部分が無理なく組み込まれており、かなりやりたい事が分かって来た印象だ。だからこそ「序」はテレビ版の再構築で話が作れたが、この「破」では大きく話がずれて来たのだと思う。逆に三作目「Q」では、旧劇場版的な話が語られると推測する。とは言え、描かれる形は大きく変容するのかもしれないが・・・・。
ワタシ的には中盤のキャラクター同士のやり取りがかなりナマっぽかった事が結構引っ掛かり、決して好感一辺倒ではなかったが、それでもこの恋愛作品に近くなって来た新劇場版の到達する場所は是非見たいと思えるデキだった。
前作。テレビ放映版は、違いはやっぱり予告編だけだったようですねぇ・・・・。
今作での綾波は、かなり人間らしくなっています。今作でもユイの生まれ変わりである事は示唆され、コピーが何体もいる事も語られますけど。
マリ(坂本真綾)も、活躍はしますが物語の中心には全く絡みませんでしたねぇ・・・・。
1/8スケールPVC完成品 ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破 真希波・マリ・イラストリアス
- 出版社/メーカー: バンダイ
- メディア: おもちゃ&ホビー
2009-07-05 05:15
nice!(1)
コメント(3)
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>HitMitさん
初めまして。nice!ありがとうございます。
HitMitさんもご覧になったんですね。確かに劇場版は駆け足な印象は拭えないですね・・・。上記のレビューを書いてる時、時間が時間だったんでちょいと気が急いて、マイナスイメージの書き込みがかなり薄かったなぁ、と若干反省な気分になっております。パート2を書くかなぁ・・・・。
by tomoart (2009-07-06 03:14)
はい。
やられました。(^^;
あれ書くのに、何日かあけました。負け惜しみです。
by HitMit (2009-07-07 01:37)
>HitMitさん
コメントありがとうございます。
そうですか、かなりなやられ具合だったんですねw 綾波にやられてシンジ君に感情移入したら、「破」は暴走(妄想?)したくなるデキですよねぇ。完全に青春ラブストーリーと化してましたもの(汗)。
by tomoart (2009-07-08 01:51)