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フロスト気質(上・下) [小説レビュー]

「フロスト気質(上・下)」(R・D・ウィングフィールド)

ハロウィーンの夜から始まる事件、事件のオンパレード。デントン市警は忙しい事この上ない。ゴミの山から身元不明の少年の死体が発見されたかと思えば、幼児を狙った傷害事件が多発。そこに少女誘拐事件やらこそ泥の相談やら腐乱死体やらが絡み、遂には母子4人殺害事件まで。担当を超えて、その全ての事件の解決に勤しむのは、休暇返上でろくに寝ずに働き続ける我らがジャック・フロスト警部!今日も煙草と下品なジョークを活力に精力的に働き続けるのだった。

という訳でwジャック・フロスト警部シリーズ最新刊。遂に上下巻に分冊されてしまった大長編ではあるが、とにかく無駄な話しはほとんどなく、フロスト警部は事件を追って追って追いまくるので、決して飽きる事はない。複数の事件の捜査が平行して行われ、こちらの捜査が滞ればあちらの事件で進展があるという力技で、グイグイ引き込まれてしまうのだ。そしてフロストのキャラクターも激しい。事件の聞き込みに行く先ではいい女を見れば妄想爆発、下ネタの開陳となり、署長の秘書には隙を見てはあらぬところに指を突き立てる(いわゆる浣腸)w 署長や同僚の厳重な注意は受け流し、事件を解決しても書類作成をしたくないが為に手柄は他人にさっさと明け渡す。それでいて情に流されるところは流されてしまう。フロストの下品なジョークをニヤリと出来る人ならば、憎めないどころか、愛さずにいられないキャラクターだ。

そして今回はなかなかに華もある。脇に従えるのは勝ち気で出世欲もある女性部長刑事。普段は堅くてダサイ格好をしているが、実は意外といい女。物語の最初は嫌な感じで出て来るが、いつの間にやらフロストペースに巻き込まれてそれなりに愛すべきキャラクターになるのだった。それ以外にもフロストのガールフレンドが出て来たり、偶然出会った昔の娼婦には憎からず思われたりで、エラい汚い格好をしているオヤジのくせに今回は法外なモテようだw

推理小説としては意外と先が読めてしまうので、今イチではあるのだが、とにかくフロスト警部を追いかけているだけで楽しい気分になれる作品。下品に耐性がある人は、厚みに負けずに是非ご一読をw


フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)

フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)

  • 作者: R.D.ウィングフィールド
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: 文庫
フロスト気質 下 (創元推理文庫 M ウ)

まだフロストシリーズを読んだ事がない方はシアワセですね!これから秋の夜長を充分に楽しめるんですから。
クリスマスのフロスト (創元推理文庫)

クリスマスのフロスト (創元推理文庫)

  • 作者: R.D ウィングフィールド
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1994/09
  • メディア: 文庫
フロスト日和 (創元推理文庫)

フロスト日和 (創元推理文庫)

  • 作者: R・D・ウィングフィールド
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1997/10
  • メディア: 文庫
夜のフロスト (創元推理文庫)

夜のフロスト (創元推理文庫)

  • 作者: R・D・ウィングフィールド
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2001/06/08
  • メディア: 文庫

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