シュレック3：moromoro_tomoart：SSブログ

	ブログをはじめるログイン

シュレック3　[洋画レビュー] [編集]

「シュレック3」（監督：クリス・ミラー）

前作でフィオナ姫（キャメロン・ディアス）の両親である国王夫妻（ジョン・クリーズ／ジュリー・アンドリュース）に受け入れられたシュレック（マイク・マイヤーズ）は、病に倒れた国王の代理として『遠い遠い国』の行事に参列する毎日。うんざりのシュレックは早く自分の家に帰り、フィオナと二人の生活に戻りたいと願うが、矢先に国王が急逝してしまう。国王を継承するのが嫌なシュレックは、もう一人の王位継承者であるアーサー（ジャスティン・ティンバーレイク）を連れ帰るべく、ドンキー（エディ・マーフィ）と長靴をはいた猫（アントニオ・バンデラス）の二人と共に船旅に出る。出がけに知らされたフィオナの妊娠という現実に愕然としながら・・・。

「シュレック」「シュレック2」と複数監督での製作だったが、今回は単独監督、しかも今作がデビュー作、前二作ではスタッフだったクリス・ミラーがメガホンを取っている。前二作共通でメガホンを取っていたアンドリュー・アダムソンは、製作総指揮に一歩後退。そういう意味では転機で、今後のシリーズの成否を握る、大切な作品と言えそうだ。
結果出来上がった作品は、もちろん「シュレック」ではあったが、従来よりもおとなしくなった印象であった。前二作が持っていた、熱気のようなものが今イチ感じられなかった。それは単純に言っちゃえば、ドタバタが少ないという事なんだけど。あと下品さが若干後退したのも残念。

1でも2でも対立構造はシュレックの個人的な問題だった。1では自分の生活環境を守るため、2では愛するフィオナを奪われない為にシュレックは戦ったのだ。
しかし今作ではそこにズレが生じた。物語冒頭こそシュレックの”王位を継ぎたくない”という個人的な都合から始まるが、中盤、王位を継ぎたいチャーミング王子（ルパート・エヴェレット）が敵となった時点で、シュレック個人の問題から外れてしまっているのだ。シュレックからすれば自分が国王にならずに済むなら、王に即位するのがアーサーだろうがチャーミング王子だろうがいいはず。その辺りのツッコミがないので、ラストに向けたシュレックの立ち位置が定まらず、モッサリした印象のまま終わってしまうのではないだろうか。
今の物語の構造で行くのなら、失敗続きのシュレックなのに何故か国民に愛されてしまい、愛されていることに不慣れであるが故に国民を見捨てられなくなって奔走してしまう、というようなニュアンスがもう少し欲しかったところ。（一部にそれを臭わすようなシーンがあるだけによけい残念。）

チャーミング王子の描かれ方も、敵としては憎みきれず可哀想な部分もあり、最後もう少し救いが欲しかったなぁ。話題先行で活躍が限定的だった『プリンセス5』も、もう少しアクションシーンがあったら良かったのに。

とは言え、観ている間はそこそこ楽しく、またシュレックたちに会えた事の喜びもあって、ファンとしてはそれなりに満足感も。4の製作も決定しており、ドタバタと下品さとラストバトルのパワーアップに期待してまた3年待つ事にしましょうか。

ノベライズ。シュレックシリーズのノベライズって、三作全部違う人が書いてるのね。何でだろう。1と2は、以前竹書房から出ていたのと同じ内容かな。角川ってそういうの多い気がするなぁ。