パプリカ [邦画レビュー]
「パプリカ」(監督:今敏)
夢をモニタリングしてセラピーを行うことが目の前に来ている未来。そのシステムの開発の中心である千葉敦子(林原めぐみ)は、研究所の所長・島(堀勝之祐)に依頼を受けてシステムを使ったサイコセラピーを行っていた。そんな中、最新のシステムDCミニが盗難に遭う。島と敦子、そしてシステム開発のエンジニアである時田浩作(古谷徹)の三人は対策を練ろうと所長室に集まるが、システムに批判的な理事長の乾(江守徹)に盗難を知られてしまった上に島が精神異常を来して事故を起こしてしまう。DCミニには他人の意識に強制介入して、装着者の夢に他人を引きずり込む程の性能があったのだ。その後も次々と所員が精神異常を来して起こす事故が発生。一命を取り留めた島と敦子たちは懸命に犯人を追跡するのだが・・・。
なかなか面白かった。特に映像はなかなか凝っていて、手間ひまかけてる感があって良い。キャラクターも若干古風な感もあるが感情移入しやすい親しみやすさを持っていて悪くない。
ある意味では世界征服を企む悪役とそれに挑むヒロインという何とも古風な設定。そしてそこにマトリックス的なスパイスが振り掛けられている。
ヒロインはマトリックスにジャックインするネオよろしく、他人の夢の中にダイブする。マトリックス内では超カッコいいネオと同様、敦子も夢の中ではパプリカという第二の人格を持っていて、長年の研究職で肩肘を張った冷たい印象のキャリアウーマンになってしまった自分に対する気後れからか、パプリカは気さくでかわいらしく誰にでも好かれずにいられないタイプだ。
終盤マトリックスと現実の垣根が曖昧になって行くように、この作品でも夢が現実に侵食して来る。
おっ、と思ったのはパプリカに対する敦子の見せ方。冒頭パプリカの最初の活躍から入るのだが、パプリカはあくまでかわいく描かれており、それは最後まで同じ。切り替わって敦子の登場シーンでは、ブスとまでは言わないが、魅力的には描かれていない。多分これは意識して対比の意味でも描き分けられているのだと思う。ただし、そこから徐々に敦子は魅力を加えてゆき、最後は(パプリカとは種類は違うが)ハッキリと本当のヒロインが誰か分かるまでに魅力的に描かれている(マクロスのミンメイと早瀬未沙みたいなもんか爆)。
話は、ちょっとややこしい部分もあるが、適当に見ていてもある程度関係性が掴めるので映像に気をとられてぼーっと見ても面白いと思う。推理モノ的な面白さは当初期待させるけれど尻すぼみ。ただその程度は末節だ。
残念なのは、ラストバトルが余り納得性なく行われて終わってしまうこと。あの後、現実の理事長はどうなっちゃったのか、ちょっと気になる。あとプロジェクト自体がどうなったのかも。
とは言え、それよりも何となく他の話が盛り上がるので紛れてしまう程度ではあるのだが(ホントか?)w
パプリカ - Paprika - 公式サイト
DVD。特典が少ないのが難点かな・・・。予告編くらいいれてもいいのに。
原作。読んでませんがどうなんですかね。ワタシはツツイさんはまだ食傷気味で(汗)。
比較の引き合いに出した有名作。今度トリロジーHD-DVDが出るらしい。機械持ってる人は勝手にどーぞ(爆)。
マトリックス コンプリート・トリロジーBOX(HD-DVD)
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2007/09/07
- メディア: DVD
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