白と黒 [小説レビュー]
金田一耕助シリーズ16冊目。
その団地では近頃、雑誌などを切り貼りしてつくられた、男女関係にまつわる暴露手紙が横行。自殺未遂者まで出る騒ぎとなっていた。
一方時を同じくして、団地内で女性のタールまみれの他殺死体が発見された。タールによって顔の潰されたその死体の主は、団地にある洋品店の女主人と思われたが、なんと彼女には残された写真が一枚もないのだった。
金田一耕助シリーズとしては、異色な程普通の探偵小説。いつものドロドロは全然なく、男女関係に関する話題は多いがエロに走ってもいないと言う、ある意味まっとうな作品だ。作品自体は余り評価はされていないらしいが、ワタシは久しぶりの横溝正史という事もあったからか、なかなか面白く読めた。これはだいぶ長い作品なのだが、筋立ても登場人物もそれほど混乱せず、かなり読みやすい。これは『団地』という閉じられた世界の話として組み立てているからなのか。それぞれのキャラクターの書き込みもしっかりしていて、現代劇として結構読ませる。ラストの犯人も『おおっ』って程ではないが『なーるほどっ』と思う位の意外性があって良かった。
意外ではあったが、嬉しい驚きの作品だった。ワタシは結構好きです。
こんばんは。
横溝正史に、普通の作品があったんですね。いつか読んで見たいと思いました。
by coco030705 (2007-04-13 23:59)
>coco030705さん
横溝正史がフツーで何が面白いのか、という事はあるかもしれませんが(爆)。でも粗悪なエログロものに比べたら、全然しっかりしていて好印象。
ただ横溝正史じゃなかったら、凡作と言われてしまうデキかもしれんけど(爆)。
いつもnice!&コメント、本当にありがとうございますm(_ _)m
by tomoart (2007-04-14 12:25)