模倣犯(一) [小説レビュー]
模倣犯(一)(宮部みゆき) 新潮文庫版
・・・・複雑過ぎて粗筋が書けん(爆)。連続愉快殺人のおぞましい事件を、主には警察側の視点から描く。
映画化もされた、有名作。文庫版は全5巻で、あまりに長くて躊躇してしまい、今まで読んでなかった。たまたま友人が貸してくれたので読み始めた。
一巻だけの感想なので今後分からないけど、ま、取り敢えずって事で。
まずは、この本に限った話ではないが宮部みゆきのストーリーテリングのうまさで、取り敢えずグイグイ読ませる。宮部みゆきの文体というのは、割と男らしいというか、さばさばしてると言うか、直裁的な表現が多くて、華やかさはないが力強さがある。文章だけ読んでると、取り上げられているモチーフもあると思うが、男が書いてるんじゃないかと錯覚するような本だ。
それは登場人物に対するスタンスも関係あるかもしれない。群像劇という事もあり、登場人物たちをずいぶんと突き放した目線で物事を語って行く。ワタシのような、主人公に肩入れして、思い入れたっぷりに読みたい人にとっては結構辛い。それでもどんどん読ませてしまう辺りが上手さなんだけど。
またある面で言えば、そうやって突き放しているからこそ、事件に巻き込まれて悲惨な状態に置かれている被害者や被害者の肉親たちの物語を、辛くなり過ぎずに娯楽作として読んでいられるのだとも思う。これで登場人物たちに強く思い入れを持ってしまったら、辛くて最後まで読み進められないかもしれない。
こういったもの(社会派、群像劇)は、ワタシの読んだ中では、「理由」辺りから出て来ている宮部みゆきの大作の傾向のように思う。読み応えはあるが、ただ思い入れを拒絶しているだけに、本当に心の琴線に触れてこないような気がする。「理由」の時も、どうも読み終わった時の充実感が、大作の割には小さかったように思うのだ。
ま、まだ一巻。五巻を読み終わる頃にはこういった危惧を吹き飛ばすような余韻に浸れると良いなぁ。
こちらが有名な映画版です。まだ見た事ありませんw
こちらは、宮部作品でワタシが一番驚愕した作品。とにかく伏線の張り方と回収の仕方が絶妙!そのテクニックを読むだけで悶絶必死です(爆)。
この本は実際に読むのが一番ですよ
宮部みゆきさんが、引っ張っていってくれますから♪
by (2007-03-15 18:08)
>のんべいキャサリンさん
コメントありがとうございます。昨日は引っ張られ過ぎてすっかり夜更かししてしまいましたw
いよいよ5巻です。
by tomoart (2007-03-17 13:56)