地下鉄（メトロ）に乗って：moromoro

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地下鉄（メトロ）に乗って　[邦画レビュー] [編集]

地下鉄（メトロ）に乗って（監督：篠原哲雄）

たまたまタダ券が手に入ったので観に行った。基本的にワタシ好みの話では全然ないのだが・・・。

小さい衣料品メーカーの営業、長谷部真次（堤真一）。彼には縁を切った大企業のトップである父親と弟がいた。今日は若くして事故死した、大好きだった兄の命日。その日も営業に忙しい彼が営団地下鉄の地下道で亡くなった兄を見かける。信じられないながらも追いかけてしまった彼が階段を上がった先にあったのは、東京オリンピック開催を控えた昭和39年の同じ日の新中野だった。必死に兄を事故から守ろうとするが徒労に終わってしまう。現代に戻って来た彼はそれから、不倫関係にある恋人、軽部みち子（岡本綾）と共に過去と現在を行き来しながら、今まで知る事のなかった父親の実像を見る事になる・・・・。
簡単に言ってしまえばタイムトラベルもの。しかしなぜタイムスリップ出来るのかという事には全く言及せず、それに因て起こる人間ドラマを主軸に据えた、一種のファンタジー。親子関係の修復と、ある関係の瓦解を描く。

疲れた、というのが第一印象（汗）。他の時間の関係で10：30の回を観たのだが、朝から観る内容ではなかった・・・。何となく、もう少しコミカルな物語なのかと思っていたのだが、そういう要素はほとんどなく、真剣な話が上映時間中（約2時間）続くので、滅茶苦茶重い。しかもラストがモヤモヤっとした感じだったので、追い討ちをかけられた気分。ホント疲れたです・・・。
原作読んでないのであくまで映画の印象だが、いろんな時代に飛び過ぎ。東京オリンピックの年、終戦直後の闇市、戦中の満州、東京。タイムスリップの理由付けもないままにここまでやられると、余りにもご都合主義。言いたい事はよくわかるが、話の都合にしか見えないのだ。また色々な時代が出てくるお陰で、それぞれの時代のセットごとにお金かけられてないのが一目瞭然。広がり感が全くない。ヒットした「ALWAYS三丁目の夕日」のように、やはり時代背景が見える空撮のような俯瞰した映像がそれぞれの時代に欲しいところだ。特に戦中の満州に関しては、余りにも箱庭的でショボ過ぎる。あれでは大沢たかおがバカにしか見えない（笑）。タイムスリップ自体がこの映画のキモなのだから、その時代の見せ方というのは観客の満足度に直結する。ワタシはタダだからいいけど（爆）、金払ってみたらガッカリだと思う。

堤真一、大沢たかお、岡本綾、常盤貴子と、ほとんど4人だけの映画なのがまた微妙。もっと芸達者だったり、個性のある俳優がいれば締まるのだが、美男美女系だけなので深みが感じられない。大沢たかおや常盤貴子の役なんて、もっと違う役者がやっても全然オッケーだったと思う。
大沢たかおなんてほとんどが老けメイクでかわいそうな感じ。しかもそれが見え見えなのが拍車をかけている。常盤貴子は相変わらず常盤貴子。まぁ二人とも昔に比べれば味が出て来たとはいえるが、脇役として光るにはまだまだ精進しないと。
堤真一は熱演してたし、岡本綾は頑張ってしっとりしていてちょっとかわいかった（濡れ場シーンも意外にも一瞬ではなくて五瞬くらいの長さだった爆）のは評価したいところだが・・・。

これ以上ストーリーに関して話すとネタバレになってしまうが、ご都合主義を重ねてまで持って来たラスト、しかし結果が出たとはいい難いのが一番ツライ部分。こんなにモヤモヤした終わり方するなら話の持って行き方に細心の注意をしなければ成立しないし、逆にこの話の持って行き方ならもっとダイレクトにラストに直結しないとおかしいだろう。お涙頂戴シーンが父親との関係ではなく、兄や恋人のシーンというのが文脈としておかしいと思うのだが・・・・。

ということで、低予算で作られた事が見え見えの、旧来の邦画らしい邦画でした。多分東京メトロがバックアップする事になって、商売的に成立するからやるか、って感じで作られたのだと思う。
こういうの作ってると、ホント邦画の地位向上にならないのでやめて欲しいなぁ。

「地下鉄に乗って」公式サイト
http://www.metro-movie.jp/
　
〈追記〉DVD発売です〜。