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星を継ぐもの [小説レビュー]

51GMQM4MC4L._SS500_.jpg星を継ぐもの(ジェイムズ・P・ホーガン)創元SF文庫

ワタシは1980年の刊行当時、日本版Starlog誌(ツルモトルーム刊)のレビューと、当時憧れた加藤直之氏の表紙イラストに見入られたように買って、貪るように読んだ。
この本でホーガンはハードSFの旗手として、特に日本で一躍有名になった。本国で評価されるより早く日本での評価が高かったという逸話がまことしやかに語られた程だ。

近未来、月面で真紅の見知らぬ宇宙服を纏った遺体が発見される。調査の結果、遺体はほとんどホモ・サピエンスであるにもかかわらず、5万年前に死んでいた事が発覚。このあり得ない謎を解く為に、主人公ハントを中心に人類の科学が総動員される・・・・。
ここに、いわゆる「ジャイアンツ・スター」シリーズが開幕した!

まず魅力的な謎ありき、とは推理小説の常套だが、この作品の謎の魅力たるや素晴らしい。ぱっと見たいした事がなさそうな顔をして、とてつもない問題を提供する。そしてそれを解決せんが為に投入される解析・発掘・解析・発掘・・・。そして更なるサプライズ!
とにかくあーでもない、こーでもないと謎をこねくり回した最後にくるドンデン返し!これぞパズル小説!

SF推理小説と言うジャンルは、ワタシの好きなジャンルが二つ重なっているのだから好きで当然。アイザック・アシモフの「鋼鉄都市」も大好きだが、やはりハードSFの香りがする本書にとどめを刺す感じ。
更には登場人物達の魅力。ホーガン作品は類型的で紋切り型の人物描写が批判されがちだが、逆にその人物造形が読む側の好みと合えば、ストレスなくストーリーに没頭出来る。いやらしさがなく、温和な雰囲気を持った登場人物達の物語は、意外とスルメイカ的な「味」がある。

この作品から始まるホーガンの躍進は、政治絡みに方針転換するまでの10冊程度が本当に面白い。「ジャイアンツ・スター」シリーズも日本版は4作が発表され、5作目が翻訳待機中らしいが、その他の作品も(特に初期の作品は)イイ。開けっぴろげで能天気なハッピーエンドが多いのもエンターテインメントとしてはプラスだと思う。


気になったら、是非書店で手に取ってみてください。
星を継ぐもの

星を継ぐもの

  • 作者: 池 央耿, ジェイムズ・P・ホーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1980/05
  • メディア: 文庫

第2作、第3作辺りまではホント、オススメですよんw
ガニメデの優しい巨人

ガニメデの優しい巨人

  • 作者: 池 央耿, ジェイムズ・P・ホーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1981/07
  • メディア: 文庫
巨人たちの星

巨人たちの星

  • 作者: 池 央耿, ジェイムズ・P・ホーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1983/01
  • メディア: 文庫

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