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ウォリス家の殺人 [小説レビュー]

ウォリス家の殺人「ウォリス家の殺人」(D・M・ディヴァイン) 創元推理文庫

歴史学者のモーリス・スレイターは幼なじみのジョフリー&ジュリア・ウォリス夫妻に請われて夏休みをウォリス宅で過ごす事になる。ジュリアの反対する、ウォリスの長女・アンと、モーリスの息子・クリスの婚約、有名作家でコンスタントに執筆をしていたジョフリーの突然の執筆停止、25年間音信不通だったジョフリーの兄・ライオネルの突然の来訪・・・ウォリス家はその時期、様々な出来事が平行して起きていた。
皆が胸騒ぎに揺れる中、遂にジョフリーが凶弾に倒れてしまう。明らかにライオネルの犯行と見られた事件だったが、ライオネルの主張の正当性が評価されるにつれ、徐々に関係者の間でお互いに不信感が芽生えていく。真犯人はいったい誰なのか。そして第二の犯行が・・・・。

という事でディヴァイン第二弾。前作は1966年の作品でしたが、こちらは作者の死後に出版されたという事で1981年の作品。ただ、二作とも非常に限定された舞台での話(第一弾は大学内、この二弾は個人宅)という事で、余り時代背景を意識する必要はないように思う。
第一弾では脇役の描写があまい印象だったが、今作では割とその辺りも良くなっていて、真犯人の想像の余地が膨らんでいるのがフーダニットとして更に良くなっている印象だ。それによって最終盤まで誰が犯人でもおかしくないという雰囲気を作っているのが何より秀逸。
出来れば更なるミスディレクションによって読者に『あぁ、コイツが犯人じゃねぇか?』と思わせた上で違う真犯人を提出となれば完璧なんだけどw まぁ、そこまで言うのは酷か。
人物描写もしっかりしてるし、第一弾に引き続いてこれまたいい感じです。以降も頑張って邦訳してね、創元さん!


ウォリス家の殺人 (創元推理文庫 M テ 7-2)

ウォリス家の殺人 (創元推理文庫 M テ 7-2)

  • 作者: D.M.ディヴァイン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2008/08
  • メディア: 文庫

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