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記憶をなくして汽車の旅 [小説レビュー]

519XPgOUaAL._SS500_.jpg「記憶をなくして汽車の旅」(コニス・リトル)創元推理文庫

どうやらわたしはクレオ・バリスター。どうやらというのは、乗り込んだ列車内のある事故で記憶をなくしてしまったからだ。その事故から目を覚まして、『そのうち思い出すだろう』とついつい流れに任せてみれば、どうやら自分はオーストラリアの横断列車の旅をしているらしい。同行していた友人は同じ事故で怪我をして病院行き。そして途中で親戚だという一族や、許婚者と名乗る男と合流。いったいどうなることやら、と思っていた矢先、旅で知り合った女性が首を切られて死んでいるのを発見してしまった!

1940年代のオーストラリア横断鉄道の車内を舞台に展開するミステリー。ライトノベルとしては悪くない。ミステリとしては少し展開が簡単だけどw サラサラと読めて、肩の凝らない作品。
一人称なので、主人公に感情移入出来るかが結構重要。作品が書かれたのが1944年という事で、割としっかりとした女性が主人公なので、共感は得易い気がする。ちなみに大戦中ではあるが、別に戦争は一言も出て来ない。
徐々に思い出されて来る主人公の記憶と、殺人事件の謎の解明が平行して描かれ、最後はかなりハッピーエンド。読後感も爽やかで、だれが読んでも後悔しない作品という感じ。初版がまだまだ出回ってる(つまり売れてない)ので、目についたら読んであげてください(笑)。

ちなみに原題は「GREAT BLACK KANBA」。カンバというのは大きい蛇のことらしい。「巨大な黒い蛇」なんてタイトルではなんだか分からないけど、日本語の題もどうなのよ?実はコニス・リトルの作品は、必ず「BLACK」が付く題名らしく、その辺りの洒落っ気は全く感じられないタイトルになってしまいましたね・・・・。これも一目で内容が分からないと手を出してくれないと言う現代日本人の性癖を象徴しているのかな?


記憶をなくして汽車の旅 (創元推理文庫 M リ 5-1)

記憶をなくして汽車の旅 (創元推理文庫 M リ 5-1)

  • 作者: コニス・リトル
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 文庫

今年発刊した邦訳第2作。こちらも今読んでます。
夜ふかし屋敷のしのび足 (創元推理文庫 M リ 5-2)

夜ふかし屋敷のしのび足 (創元推理文庫 M リ 5-2)

  • 作者: コニス・リトル
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2008/08
  • メディア: 文庫

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