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GR-GIANT ROBO-　[邦画レビュー] [編集]

「GR-GIANT ROBO-」Qubit 01〜13〈完〉（監督：むらた雅彦）　※オリジナルビデオアニメ（OVA）

沖縄の南与那国島でダイビング補助のアルバイトをしている18歳の青年・草間大作は、呼ばれるように海底の遺跡へと向かった。そしてそこに眠っている鋼鉄の巨神（GR-1）と“契約”を行い、その巨神の操縦者となった。その巨神は、GROと呼ばれる謎の組織が発掘・運用し、世界各地で破壊活動を行っている2機の“GR”と呼ばれる巨神たちと同系統のもののようだった。GROに対抗すべくGRを探していた国連機関・ユニゾムのアレックス・マッケンジーは、GR-1と草間大作を確保しようとするが、動き出したGR-1に呼応するかのようにGROが出現。GR-2を使って、GR-1を奪おうとする。ここに初めての巨神同士の戦闘が切って落とされた・・・・。

全部で13話からなる、「ジャイアントロボ」のリメイクアニメ。
「ジャイアント・ロボ」のリメイクといえば、「機動武闘伝Gガンダム」や「鉄人28号」を作った今川泰宏の「ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日」を思い出す方も多いだろう。（ワタシも当時独身だったので金回りが良く（爆）、ビデオソフトを購入して見ていた。）横山光輝のマンガキャラクターをスターシステム的に使用したこの作品は、そのアクション性と漫画的演出、そして一部のファンには“銀鈴”というキャラクターによって、強烈な印象を残した。続編（というか、前段の話）を期待されたが結局製作される事はなかった。それからでも既に10年近くが経つ・・・・。

総じて面白かったが、疑問もだいぶ残る作品だった。最後の部分でもう少しスカッと感が欲しかったなぁ。ビジュアル的にはちょっとレトロ感のあるGRのデザインも悪くなかったし、横山光輝の画風を消化して現代風アレンジされたようなキャラクターデザインも良かったと思う。（草間大作の設定年齢を18歳にしたのも、大人が見て感情移入出来るギリギリの設定でよい。）アニメーションの絵も現代の作品としては当然ながらとても美しい。「今川GR」に比べればダイナミックさに欠けるきらいはあるが、それはCG使用による弊害と言うよりも作品の質と演出手法の違いと言うべきだろう。GRたちの重々しい動きと戦いは、それはそれで迫力があって良かったと思う。またネット動画ニュース形式を取った構成はなかなか面白かった。それが演出のみならず、話の根幹に繋がっていくのも意外性があって良かった。

ただ、問題はどうも話としてのつながり感に欠ける部分があった事。特に主人公の草間大作の行動の必然性に疑問があったので、話に乗りたいのに乗り切れないという歯がゆさがあった。
大作は、どうやら初見でヴィーに恋心を抱いた、と見た方が全体のストーリーが素直に受け取れる（クライマックスの言動からもまず間違いない）のだが、第1話の出会いのシーンでは演出的にどう考えてもそうは見えないのが困ったもの。ヴィーのキャラクターデザインも、一目惚れされそうな程の“美少女”には見えない。お陰で大作がGR-1と契約を交わす理由が他にあるんじゃないかと勘ぐって見ていて肩すかしを食らってしまった。大作に関してはそれ以外にも行動に対して今イチ不審な点が多い。自分の体に起こった変化を嘆く様子もないし、母親との確執も描写される程逃げ回るような感じには受け取れなかったし、その母親との問題の根幹にいるはずの父親の事は触れるだけで終わっちゃったし、ユニオンからは逃げたいような仕草をしていたのにGROからはそういう仕草がない。それもヴィーと会いたいが為だったのか？性格付けがノーマルで感情移入し易いが為に、行動の異常性が余計際立って、裏にある何かの動議付けが明かされるんじゃないかとあらぬ方向に頭が行っていた。結局何にもない（または明かされない）わけなんだけど。

という事でスッキリしない面も結構大きくて、諸手を上げて賛同出来ないのが残念だが、最後の部分で続きを匂わせているので、もしかしたら全ての謎が解ける続編が作られるかもしれん。ただ、余りにも露出が少ないので、ハードルはだいぶ高そうだ。仲間内でもつい最近までこの作品の存在は知られていなかったし。ただ、今月から東京MXテレビで放送されているようなので、少しは有名になるかな。