八つ墓村 [小説レビュー]
八つ墓村(横溝正史) 角川文庫版
金田一耕助シリーズ4冊目にして超有名作。77年版の映画のキャッチコピー『祟りじゃ〜〜っ!』だけは知ってるという人も多いのでは。
26年前に旧家・田治見家当主の起こした、狂気による大量殺人を経験している岡山県八つ墓村。そこに行方知れずになっていた田治見家の跡取りと期待される『私』が戻って来る事になってから、またしても殺人事件が起こり始める。次々と起こる毒殺が、期を一にして帰って来た『私』に対する村人の疑念を増大させていくのだった・・・。
いやー、やっぱり横溝作品は人が死んでこそ魅力的だという事がよく分かりましたよ(笑)。今作はよく死人が出るお陰で、とても魅力的(って、なんかキケンな文章になってるなぁ爆)。小道具も駆使されて、怪しい雰囲気が充満しまくってる。また、時代と場所、特有の猥雑感が雰囲気を一層盛り上げている。
前半は、次は誰が死ぬのか、という興味で引っ張られ、後半はサバイバル+サスペンス的要素が前面に出て来てグイグイ読み進んでしまいました。
今作も金田一耕助は陰が薄い。最後に謎解きはするが、それはどちらかと言うと物語を整理しているような内容であり、謎解きの中に驚きはほとんどない。この本は明らかに本格推理ではなく、サスペンスである。ま、面白ければどちらでもいいんだけど。
また、横溝作品特有の絶世の美女描写も出て来るし、『私』がモテモテでなかなかそういう面でも楽しいwし、そういう状態に馴れていない『私』が、その手の事に全然気付いてないような描写も微笑ましかったりする。こういう部分があるからこそ、メインストーリーのサスペンスが一層盛り上がるのだ。
確かに有名作だけの事があると確認。とは言え、そろそろ本格推理も読みたいんだけどね。5冊目に当たると思われる「犬神家の一族」は読んでしまったので、次は「女王蜂」「悪魔が来たりて笛を吹く」と読み進めていくつもりだけど、どうなんだろうかねぇ。
こちらが77年版、渥美清の金田一。これもそのうち見たいなぁ。
コメント 0