獄門島 [小説レビュー]
獄門島(横溝正史) 角川文庫版
金田一耕助シリーズ2作目。
終戦後、出征ですっかり疲れてしまった金田一耕助は、療養方々、病死した戦友の頼みもあり、戦友の故郷である瀬戸内海の獄門島に親書を携えてやって来る。しばらくのんびりしていたが、戦友の公式の戦死通知が来て通夜を営む事になってから、戦友が今際の際に予言した通り、恐ろしき連続殺人が始まってしまう。
前作同様、そこここでゾワゾワさせてくれてwとても楽しい。
確かに金田一耕助は殺人阻止率が悪いと言われるように、ここでも3人が次々と殺されてしまう。この殺人の発見されるシーンの描写が素晴らしく、ゾワゾワw
ワタシの推理小説の原点はシャーロック・ホームズで、どこがいいって歌舞伎俳優顔負けに見栄を切るが如く犯人を指名する演出にシビレてしまうのだが、それ以外の探偵ものでもやはり探偵の謎解きシーンのカタルシスこそ本格推理の醍醐味だと信じている。そういう目で読むと、金田一耕助の謎解きには余り切れの良さを感じず、そこを物足りなく思っていたのだが、実は死体発見シーンがとても魅力的だという事に今作で気がついた。死体を発見するまでの『溜』の描写がとても心地よいのだ。溜でじわじわと背筋に寒気が這い上がって来て、死体が出て来てゾワゾワ〜〜、である(爆)。ゾワゾワもホラーみたいな恐怖を煽る訳ではなくw怖さのさじ加減もとても良い。この発見前の焦らしの長さも長過ぎず、さりとて充分な長さを持っていて秀逸。いや、こんなトコにこんなにカタルシスを描ける物だとは思わなかった。
いつもは翻訳物ばかり読んでいるからか、こういう類いのカタルシスはとっても新鮮に感じるのである。
金田一耕助シリーズも三冊目に入って、いよいよツボも見えて楽しくなって来たw
嬉しいなぁ。どんどん読みますよっ(爆)。
こちらは石坂金田一の第3弾の「獄門島」。そのうち見たいと思っています。
コメント 0