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楽園追放 -Expelled from Paradise- [邦画レビュー]

71o59NrmfxL._SL1245_.jpg「楽園追放 -Expelled from Paradise-」
(監督:水島精二)

アミューあつぎ映画.comシネマで今やってます(2015年2月13日まで)。

未曾有の災害『ナノハザード』の影響もあり、98%の人類がデータ化されてサーバ内で生活するようになっている西暦2400年。地球の衛星軌道上に置かれたサーバ=『電脳世界ディーヴァ』では地上から度々ハッキングを受けるようになっており、事件解決が急がれていた。
捜査官アンジェラ(釘宮理恵)は高官たちから命を受け、クローン技術で作った実体を持った身体『マテリアルボディ』に意識をダウンロードした後に地球に降下。地上での補佐を担うディンゴ(三木眞一郎)と共に、未だに生身で生活を続けるわずかな人たちの中からハッカー『フロンティアセッター』を追う。
しかし彼女らはその意外な正体を知ることで、今まで信じてきたものと決別せざるをえなくなるのだった。


うーん・・・第一印象としては「非常に残念な出来損ない」という感じ。もしかしたら今の日本のSFアニメ全体がこうなのかもしれないが・・・・

今作でとにかく一番残念なのはキャラクターが生きていない。なんでこうもステロタイプなの?いかにも売れ線のキャラを出しておいて、これで商売はオッケーみたいな製作陣の態度に顔面蒼白(笑)。苦笑すらする気が失せる。

中身は大人だけど16歳の身体で、でも胸は発育が良くて、露出多めの未来服姿の主人公アンジェラ。ややオヤジがかったハードボイルド風、斜に構えた性格だけど頼りがいのあるディンゴ。見た目も性格付けも(そしてアニメ発声で聞くに堪えないアテレコも)ここまでステロタイプなキャラを見たのは久しぶりだ(汗)。
基本的にこの二人だけで物語は進行するため、当然ドラマが全く盛り上がらない。心に傷を持つなり何かコンプレックスがあるなり、後半の犯人との絡みに関わる何らかのヒネリを少しは加えようよ・・・・

だいたいアンジェラの設定を上手く生かすだけでも少しはドラマを作れるはず。どうしてもティーンにしか見えないからディンゴが面白おかしくちょっかいを出すけど、中身は大人だからサラリとかわした上にディンゴに強烈なカウンターを食らわすとかさ。そういう中で二人の過去の断片が語られれば、もう少しキャラクターが生きただろうに。
アンジェラの性格描写見てもそのまんま16歳っぽい青二才感。製作陣たち本人がその設定を忘れたかのような物語の進行が情けない。

キャラと物語の極端なステロタイプ化に呼応するように、BGMもなんだかやたらとありがちな付け方。盛り上げようというところでは威勢のいい音楽が大盤振る舞いされており、緊迫感のかけらもない。この辺り考え方が統一されていると言えば言える(笑)。

監督の水島精二氏は、あの劇場版「ガンダム00」の監督。ガンダムという枠であり得ない未確認生物とのファースト・コンタクトを描いてしまった、ワタシ的にはガッカリな監督でもある。
ただ逆に言うと、それくらいにいわゆる「SF」的なものを描きたい人なんだろう。だから「データ化された人類(「ゼーガペイン」でもうやっちゃってるが…)」「暴走するAI」「太陽系外へのフライト」などの要素をちりばめたSF作品を作ったのだろうと思う。

だからこそ、もう少し一般の観客を意識した良質なSF映画を作って欲しかったとワタシは思う。こんなオタクだけしか相手にしないような作品をいくら量産しても、状況は何にも変わりませんよ、監督。



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攻殻機動隊ARISE [邦画レビュー]

「攻殻機動隊ARISE border:1〜4」

公安9課が未だ『普通の公安部隊』であった2027年。陸軍三佐の草薙素子(坂本真綾)は、信頼する上司であったマムロ中佐殺害事件を個人的に捜査する中で軍と決別し、公安9課の荒巻部長(塾一久)に組織外隊員として協力することに(border:1)。
ソガ大佐とその部下らが起こした公共交通システムハッキング事件を解決する中で陸軍警察の潜入調査員パズ(上田燿司)や元海兵隊のスナイパー・サイトー(中國卓郎)をスカウトし、徐々に『草薙部隊』が輪郭を表し始める(border:2)。
バトー(松田健一郎)やイシカワ( 檀臣幸/咲野俊介)、ボーマ(中井和哉)が合流し『草薙部隊』がほぼ完成する。同時に公安9課の様々な事件に参画するようになり忙殺される素子だったが、合間をみては恋人の義体技師ホセとの逢瀬を重ねていた。しかしホセには素子には見せぬ秘密があり、県警刑事トグサ(新垣樽助)は素子より先に秘密を探り当てるのだった(border:3)。
素子の陸軍時代の上司クルツが素子の後任に採用した少女ツダ・エマは一つの義体に二つのゴーストが存在する異常な存在だった(border:4)



1月2日までの2週間、今作の一斉上映を地元のアミューあつぎ映画.comシネマで行っていたので2014年最後に観てきた。確かに「攻殻機動隊」だけど、ちょっと従来のイメージとは違う雰囲気だったかな。


各話1時間ほどの中でそれぞれの事件を解決し、その上で全体を通したストーリーもあるということで、様々なことが入り乱れて起こる。そして登場人物がメッチャ多い(笑)。そういういろいろなことが「攻殻〜」らしさでもあるが、今回も何回も観てみないと全体像を把握できない感じだ。

まぁ、細かいことを抜きにしても何となく面白いのも「攻殻〜」らしさ。そういう意味では今作もそれなりに楽しめた。

現在作られているアニメだから当たり前ではあるが、絵がとても美しい。特に儲かるコンテンツだけに金が掛かっていて、書き込みが半端ないし、そういうのを大画面で見られるというのはいいものだ。

ガジェット的には意外と見るべきところがなかったが、やっぱりロジコマがいい。最初、会話できないのを少佐がプログラムを改変して喋れるようになるのはどうかと思ったが…(ハード改変なしにそういうのってアリなのか?)。その後の大活躍はガジェッターとしては楽しいことこの上なかった(笑)。


今作は従来の「攻殻機動隊」のプリクエル(前章)ということで、特に少佐の描写がやや人間臭く(恋愛もするし、過去の人間関係も多く出て来る)、何となくスーパーウーマンっぷりが弱いのが一番違和感があったのかもしれない。やっぱり少佐が無敵じゃないと「攻殻〜」は面白くない。

もっと言うと今回のキャラクターたちにあまり魅力を感じられなかった。若さの問題だったり、立場が変化(敵対していたところから味方に)したり、ゴーストハックの影響で敵の手下をやらされたりということで難しいところもあっただろうが、将来の公安9課の面々が魅力的に描かれてこそ「攻殻機動隊」は楽しいのではないだろうか。

今作では今まで(特に「攻殻機動隊 S.A.C.」)描かれた各キャラクターの魅力に頼り過ぎている部分があったように思う。もし続編があるのなら、もっとそれぞれのキャラの魅力をしっかり認識して描いて欲しいと思う。

キャラクターついでに声優変更について触れておくと、それほど違和感もなく素直に聞けたと思う。ただ、違和感がないだけに変更した意味があったのかは分からないが…


ちなみに今まで「攻殻機動隊」は2つのシリーズとして映像化されたが、今作は多分どちらに繋がっていくわけでもないと思われる。
※2つのシリーズ
少佐がネットの海に消えた押井守の2作品「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」「イノセンス」
少佐が9課に残ったら、という神山健治三部作「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」「攻殻機動隊 S.A.C. SolidStateSociety」

時間軸がずれているので分かり辛いが、多分このまま続編が作られていくと、上記2作品とは違うパラレルワールドとしてまた新しいシリーズが展開していくのだろう。それはそれで是非面白いものを作っていって欲しいと思う。

「攻殻機動隊 ARISE」をU-NEXTで視聴


タグ:攻殻機動隊
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ジュリエット・ゲーム(レビューpart2) [邦画レビュー]

122252137m.jpgジュリエット・ゲーム(監督:鴻上尚史)

パート1を書いたのが2006年(!)なのでもう8年近く前。なんだか久しぶりに初心(!?)に帰りたくなって、思い起こしながら書いています。粗筋等はパート1をご覧ください(笑)。

パート1ではその、映画の(鴻上尚史の)勢いが素晴らしい、と書いたが、今思い返してみるとそれとまた違う魅力がある気がする。それは何か。

ラブコメだが、これは男のためのラブコメ映画なのだと思う。つまり、観る人は村上弘明演じる小学校教師・正彦に感情移入して観る映画なのだ。多分、鴻上尚史監督が自分自身をタップリと注入して作ったから、そういう映画になったんだろうなぁ。
そう思ってみると、正彦の行動って感情の赴くままなんだよね(笑)。仕事の事もあるけど、後半は行動原理のほとんどが“やりたいからやる”というだけ(笑)。特に国生さゆり演じる真智子を追いかけて走り続ける(まぁ色々なものに乗りますがw)クライマックスがその白眉。

そこにこそ、この「ジュリエット・ゲーム」の魅力があるのだと思う。

正彦はこの時点では離婚も成立していない妻帯者(まぁもう離婚は決定的だけど)。映画を観る限り離婚前とは言え、身持ちも固く他の女性との関係もなさそうなイメージが正彦のキャラクターだ。その彼が、他の男と色々な関係を持つ(事を示唆している)真智子に対して、それを知りながら敢えてプラトニックな愛情を持ち、純粋な気持ちから彼女を欲し、追って追って追いまくるのだ。

多分、本当の世界では、こんな事はまず起こらない。

今の時代、単純な目標なんていうのは公私共に持ち辛い複雑な世の中だ。仕事ではいつの時代もそうだが、今は会社の求めている事が複雑怪奇、普通の人間には理解出来ない領域に入って来ている。恋愛も男と女はどうやっても理解出来ない上に、駆け引きがどうだとか周りが喧しい。感情は一直線に動く事を望むのに、四面楚歌な状況。それが現代人の置かれた状況なんじゃないだろうか。

そんな中、この正彦のストレートさ、気持ちに対して正直な行動、それが本当に観ていてスカッとするし、自分自身がそうやって行動したい!というふうに思わせてくれる。

これこそが今作の本当の面白さなんだと思う。自分でもそういう気持ちって大事にしたいな、とまた改めてそう思った(笑)。





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キカイダー REBOOT [邦画レビュー]

T0018843.jpg「キカイダー REBOOT」
(監督:下山天)

「tomoart的キカイダー」が完結していないんだけど(笑)観てきたのでレビューを・・・・。

国家プロジェクト「ARKプロジェクト」によって、精巧なアンドロイドが完成しようとしていた。方やチーフである光明寺信彦博士が理想とする“良心回路”を搭載したジロー。方や光明寺博士の補佐役であるギルバート神崎博士が理想とする強さを追求したマリ。模擬戦闘ではマリに軍配が上がるものの、プロジェクトを指揮する椿谷国防大臣の光明寺博士に対する信頼は厚く、“心”を持つジローを正式なプロトタイプとして採用する。その後、光明寺博士は急死。母親もいないために孤児となった大学生のミツコと小学生のマサルはある夜、自宅で武装した一団に襲撃を受ける。拉致されそうになった二人を救ったのは、あのプロトタイプのアンドロイド・ジローだった。

思ったよりはほんの少しマトモだったけど、結局ダメでした(笑)。本当にこれが2年もかけて書いた脚本なのか!?日本の脚本家はこんなにひどいの?まぁクレジットされている脚本家は下山健人氏なのですが・・・・彼一人で2年書いてたわけじゃないとは思います。

それにしてもほぼ全編に渡って突っ込みどころ満載ですよ(笑)。光明寺博士の死に関しては言葉でしか出て来ないし(せめて死体くらいだせよw)、大学生のミツコは人間不信のくせにイマドキっぽい女子大生の友達がいっぱいいるし(あれだけ人間不信だったら大学でも孤独に過ごすだろう)、保護者がいなくなって子供をどうするかって話が全然出て来ないし(普通親族が引き取るとか、何らかの話があってしかるべきだろう)、お金の心配も全くしてないし(博士の遺産があるのか?全く話がない)、冬の装いなのに逃避行は野宿だし(普通ホテルくらいには泊まるだろう。ホテルロケの予算がなかったのか?東映の顔が利くホテルくらいあるんじゃないのか?)、その後の展開にもいちいち色々イロイロ突っ込めます(笑)。

そして極めつけは恥ずかしい演出(笑)。ミツコとジローの疑似恋愛とか、マサルとジローが遊んだりとか、何でこんなにベタベタな演出!?BGMもベタなイメージのものをやたらベタ付してて恥ずかしさに拍車をかけている(あーベタベタw)。

とにかく映画として描くべき事を描かず、描かなくていい事を描いている印象。まるでテレビシリーズのダイジェストを見ているようだった。特に人を描けていないからそういう印象になるのだ。

ミツコはもっと普通であっていいはず。極端なキャラ設定は現実味を削ぐ。しかもヒロインなのに全く人間として描けてないし。まるで萌え系アニメのキャラかと。ちょっとおとなし目の女子大生で、だけど父親に関してはスゴく反発していて、死んだ母親にはいまだに愛情を感じていて、歳の離れたマサルに対しては母親代わりとしてちょっと過保護気味、みたいなキャラが良かったのではないか。

マサルはもう少し上(中学生くらい)の設定の方が良かったと思う。中心キャラに子供を設定すればどうしても雰囲気が子供番組的になってしまう。お陰でこの映画、大人に向けて作ったのか、子供向けに作ったのか、全く分からない。後半のマサルの言動などは中学生ならある程度すんなり見れるが、小学生には合わないし。ちょっとシスコンな中学生なんて位置付けがピッタリだったんじゃないか。ミツコに比べて普段の生活が全く描かれないのも不満。

プロフェッサーギルと無理矢理呼ばれてしまうギルバート神崎博士にも困ったもんだ(笑)。彼なんか、もっともっと魅力的に描かれてしかるべきだった。普段の生活、ああいう精神構造になった過去などがしっかり描けていれば、ハカイダーへと転生する狂気や悲哀がもっともっとエモーショナルに描けたと思う。

そう、この作品、主要登場人物はほとんど上記三人なのだ(除くアンドロイド)。それなのにこの三人すら人間として全く描けていないという恐ろしさ。それを堂々と上映してしまう東映の腐った体質が見えたような気がする(言い過ぎかな笑)。

大ゴケした事が一番いいところのような気がする映画でした。大好きな「人造人間キカイダー」は、これで完全に死にましたね、残念だけど・・・・。



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人造人間ハカイダー(1995年版・オリジナル) [邦画レビュー]

hakaider1.jpg「人造人間ハカイダー」
(監督:雨宮慶太)

はるか未来。ある刑務所跡地に忍び込んだ盗賊たち。地下に眠るお宝をせしめるつもりだったが、そこで発見したのは一人の男だった。パニックを起こし男に向かって発砲するが、一瞬の後に倒れていたのは盗賊たち全員だった。異形の姿に変じた男は叫ぶ。「オレはだれだ・・・誰なんだ!」

「キカイダー REBOOT」の話題からtomoart的オリジナルキカイダーを書いているうちに、やっぱり見直したくなったので再視聴。実は当時のVHSソフト持ってます(汗)。

見直してみると・・・・良くも悪くも雨宮印満載(笑)。キャラクターやガジェットのデザインや設定には拘りが垣間見えるものの、映画としての作劇や演出、世界観の構築には全く持って配慮が足りない。

だから印象的なカッコいいシーンなどは散見されるものの、全体を通して見ると残念ながらガッカリ気分のみが残ってしまう。まぁ、負の印象の大半が役者たちの大根っぷりだったりするのだが・・・・元々棒読みしか出来ない役者しか出せないんだから、演出でフォローしなければ見れたもんじゃないんだけど・・・・全くフォローされていないじゃないか!(笑)

東映ヒーロー的な演出(決めポーズの取り方、タイミングなど)もメッチャ鼻につく。20年近く前の作品なんだから割り引いて見る必要もあるけど。(当時はそれがなければマニアが納得しなかった。)

オリジナル版は東映まんがまつりの一編として劇場にかけられた事もあり、52分とコンパクト。だからダイジェスト感も満載なのだが、それなのに作劇方法やら大根ぶりやらがハナについてしまうというのは致命的な気もするな(笑)。

でも20年経った現在、東映が全く成長していない気がしてしょうがない。「キカイダー REBOOT」に期待出来ない気分が更に高まった鑑賞記でありました・・・・。

予告編。海外のマニアが趣味で作ったのかも。






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おおかみこどもの雨と雪 [邦画レビュー]

T0012138.jpg「おおかみこどもの雨と雪」
(監督:細田守)

大学生の花(宮﨑あおい)はある日の授業で不思議な雰囲気をたたえた青年(大沢たかお)と出会う。二人は付き合うようになるが、実は青年は狼男の最後の一人であった。それでも花は彼を愛し、やがて二人の間には長女の雪が、翌年には長男の雨が誕生する。しかし雨の誕生直後、青年は亡くなってしまうのだった・・・・。

「時をかける少女」、そして「サマーウォーズ」がスマッシュヒットして期待のアニメ作家となった細田守監督の長編オリジナル作品第二弾。ううん・・・・判断の難しい作品だなぁ(汗)。

元々細田監督は「時をかける少女」でも、良く言えば坦々とした日常を繊細に描く事を得意としている。逆に言うと物語の抑揚に欠ける。

「サマーウォーズ」は登場人物も多彩だし、特に劇中の事件がデカく、その事件に引きずられるように物語も抑揚を増して行った印象だった。しかし今作では事件規模が「時をかける少女」並に戻ったからか、物語も坦々とした語り口に戻ってしまったようだ。

まぁ映画の手法としてはアリなのでそれ自体が悪いわけじゃないんだが・・・・そういうのは実写でやった方がいい、と思う。

一般論だが、アニメってのは微妙なニュアンスを伝えるには不向きな媒体だ。本当に生きている役者を、取り囲んでいる空気感ごと、生きているカメラマンが切り取る実写映画。動いているのかいないのか分からない程微妙な手先の動き、体の動きに合わせて揺れる髪の毛一本一本、風の流れ、ゆっくり動く雲・・・・そしてそこに意味性を持たせるカメラアングルや演出。アニメで本当の意味でこれらを表現し、そこに魅力を持たせる事は不可能に近い。どうしても表現したければ、誇張したものにせざるを得ないのだ。

そう、アニメの画面というのは、現実世界の出来事を誇張したものだ。それはキャラクターの目や口が本当の人間に比べて非常に大きく描かれている事に端的に現れている。アニメで感情表現・表情を観客に伝えるためには、顔のパーツを大きく描く必要があったのだ。

遠回しな言い方になってしまったが、上記のようなアニメの特性により、基本的なドラマツルギーもアニメ映画では実写より誇張した抑揚のある表現の方があっていると思う。細田監督がその事をもっと意識して映画全体の組み立てをすれば、今作の良質な内容はそのままに、もっともっと一般性の高い、観客に満足感を与えられる作品になるんじゃないかと思う・・・・。



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BRAVE HEARTS 海猿 [邦画レビュー]

T0010833.jpg「BRAVE HEARTS 海猿」(監督:羽住英一郎)


海上保安官特殊救難隊となった仙崎(伊藤英明)と吉岡(佐藤隆太)。ある日、吉岡の恋人を乗せたジャンボジェットが異常を起こし、東京湾に着水する。

海猿シリーズは全然見てないんだけど、奥さんに誘われたので断れず(爆)観て来た。観る前から斜に構えているので、最初の鼻につく小芝居でかなりテンションが下がったけど(笑)、そこを我慢したらあとはほとんど救助シーンなんで、まぁ日本のVFXも進歩したなぁ・・・・なんて感慨に浸る事が出来るw

ストーリー的にはほとんどなんにもないので(爆)本当にこのシリーズは事故シーンのスペクタクルが売りなのね〜と感心しましたね。薄いストーリーのほとんども事故シーンの盛り上げに使われてるだけだし。

しかしこれって、20年前のハリウッド映画の文法だよなぁ・・・・CG全盛になって、ハリウッド映画とは製作費の桁が違う日本映画でもそれっぽく作れるようになったってわけだけど。

でもそれで20年後のハリウッド映画よりこの海猿シリーズが好まれて日本人に観られてるって事は、逆に言うと日本人の感性が進歩してないって事かな(爆)。

一応最後の方で時任三郎が事故についてセリフでまとめるんだけど、そこは3・11以降の日本の迷走と事故救助を重ねて製作側が考えているのが見え見えなんだが、あんまり頭が良さそうな暗喩にはなってないのでちょっと興ざめと言えなくもない。これやるならも少し事故辺りからそう言うニオイを漂わせて欲しい・・・・が、まぁどちらにしても無理があるか(笑)。

シリーズを全然見てないワタシでも、映画観てる間はそれなりに楽しませてくれて、スペクタクルシーンもそれなりにビジュアル化してて邦画という枠内ながら感心させてくれる。シリーズファン中心に(?)人によってはプチくらいは感動させてくれそうだし、そういう意味では観に行って損はないんじゃないですかね。観る気があるなら劇場で観た方が楽しいのは間違いない作品だと思います。



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電人ザボーガー [邦画レビュー]

0901_2.jpg「電人ザボーガー」(監督:井口昇)

優秀な人間のDNAを使って作る超兵器で世界を破滅させようとしている、悪ノ宮博士(柄本明)率いるテロ組織Σ。そしてそれを阻止すべく活動する警視庁の新田警部(渡辺裕之)とその部下たち(デモ田中、岸健太朗)、そしてマシーンザボーガーでΣの陰謀にいち早く駆けつける秘密警察・大門豊(古原靖久)!彼は父(竹中直人)を殺したΣに復讐心を燃やし、ロボット博士だった父が遺したザボーガーと共に戦っていたのだ。しかしその前にΣのサイボーグ幹部・ミスボーグ(山崎真実)が立ちはだかるのだった・・・・。
25年後、Σの優秀な人間の誘拐は続いていた。しかし落ちぶれた大門(板尾創路)にはそれを見つめる事しか出来ない。その大門の前に少女サイボーグ・AKIKO(佐津川愛美)が現れる。彼女はΣから脱走して来たのだ。更にはΣの青年幹部・秋月玄(宮下雄也)がマシーンブラックホークに跨がり、AKIKOを追って現れるのだった・・・・。

スゴい、スゴいっすよ!井口監督はマジでスゴい!

いやワタシはホント心配してたんですよ。何しろ主演は板尾審査委員長だし、CMはギャグだし。「どうせ昔の特撮ヒーローもののリメイクなんて大してヒットしないんだから、ちょっとギャグ噛ませてテキトーに作ればいいや〜」的な仕上がりなんじゃないかと本気で思ってたんです。

でも全然違いました。アクションエンタテインメントの枠を踏み外す事なく、考えさせられる&自己変革を促す応援歌であり、感動的な親子の物語ですらある。そんな作品を特撮ヒーローというジャンルで見られるとは!

まずは往時のファンなら絶対やられちゃう絶妙なタイミングでかかるオープニング曲と演出(カッチョいい!)。ただオープニングの曲は全く一緒だけど、歌手は子門真人じゃない。あぁ残念!(とちょっと思うが、ご安心あれ、ちゃんと終盤の見せ場にオリジナルもかかりますw)

サブタイトルや二部の開始前の止め絵とか、ザボーガー自体もそうだけど他のキャラクターのコスチュームなんかでも、とにかく細部に旧作へのリスペクトが感じられてニヤニヤしてしまいますw

そしてアップデートされた特撮部分も見所。ちゃんとバイクとロボットの変形がそれらしく再現された(といっても当然あやふやだがw)ザボーガーのチェンジシーンを始め、小規模作品でもここまで出来るんだなぁ、と関心しきり。こういうの見るとやっぱりCGの恩恵ってスゴいよねぇ、と思ってしまう。ガジェッターとしては結構満足w

もちろんギャグ要素はあるし、それがやや滑ってる気もするw もしかしたらザボーガーシロウトのヒトが見たら「オカシクね?バカにしてんのか?」と思うところも少々あるかもしれない。

その辺りを救っているのは、上記のようにオープニングからザボーガーに思い入れがある観客を上手に乗せてくれてる演出もあると思うが、もう一つ大きいのは、みんながとっても真面目に情熱を持って作っている姿勢が見えるからだと思う。つまり「バカにしてる」と思わせない熱気が画面から伝わって来るのだ。

スタッフの陰の努力はもちろんだが、今作での俳優陣の頑張りはスゴい。プロとしてしっかり取り組んでいるというだけではない真剣さを随所に感じられる。特筆すべきは若手の本気度。青年期の大門役の古原さん、ミスボーグの山崎真実さん、難しい役どころを演じた宮下さんと佐津川さん。この四人の今作での熱演は感動もの。彼ら彼女らの誰かにちょっとでも緩い雰囲気があったら、この作品はおちゃらけた安いコントみたいな失敗作になってしまったんじゃないだろうか。

みんな普通のドラマではあり得ない、現実に街中を歩いていたらおかしな人だと思われるwコスチューム(特に女性陣)を身にまとい、ちょっと軽い演技でもいいんじゃないか、と思っても不思議はないと思うのだが、みんな本当に熱演している。お陰で観ている方もドラマにグッとのめり込めるのだ。

そう言った事のコントロールも含め、良い仕事をした井口監督を心から拍手したい。ありがとう監督!でも今作のザボーガーの耳はやっぱり反り過ぎなデザインだと思います!(笑)


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ゲド戦記(TV放映) [邦画レビュー]

51jcFsdP7UL._SL500_AA300_.jpg「ゲド戦記」(監督:宮崎吾郎)

エンラッドの王子アレン(岡田准一)は心の均衡を崩した末、父王を殺して国を逃げて来た身。ある日ハイタカ(菅原文太)という魔法使いに出会い、同行する事になる。

えーと、取りあえずそんなに酷くはなかったと思います。つーてもその程度ですが(笑)。ひどいひどいっていうネット上の評価を見ちゃってるから、ひどいと書き辛いってのもありますが(爆)。ちなみにワタシは原作読んでない人です。

でなんでこの作品がひどいかと言いますと(木亥火暴)もとい大して良くないかと言いますと、引っ掛かるものも心に響くものもなんもないからだと思います。なぜなんもないのか。当然監督がこだわりもなく演出してるからですねぇ(笑)。

だいたい宮崎子もなんでわざわざこんな世界に飛び込んで来ちゃったのか。多分ジブリきっての悪魔である鈴木敏夫氏にそそのかされたんだと思いますが、一作目から才能も努力もない事を露呈しちゃいましたね。鈴木氏は宮崎駿氏のネームバリューでしかジブリが売れない事をプロモーションの面からフォローしたくて子供を連れて来ただけだから、彼の名前さえあればいい。才能はどうでもいい。案の定中身は空っぽの作品が誕生したと言う。

親がこういう世界にいて、それでもこの世界に自ら入って来なかったって事は、好きじゃなかったか好きじゃないって思い込みたい(反抗)かしかない訳ですよね。そんなのにそそのかして作らせたって、もともと好きでもなんでもないんだから、こだわりのあるものが出来る訳がない。そういう意味ではこういう作品が出来たってのは既定路線ではあります。

鈴木氏からしたら興収75億円越えしたんだから大成功でしょう。という事でこの作品で一番損をしたのは観客だったと言うわけ。ただし今までは売れなくてもこだわりのある作品を作って来たというジブリブランドもこれで瓦解した訳だから、将来的にはもうジブリも先細りは見えています。ジャパニメーションのトップブランドだったジブリの先細りが見えてしまった事は、今後様々なところで問題化するでしょうね。

「ゲド戦記」の話に戻りましょう。この作品の一番の問題は、世界観の説明がうまく出来ていない事。竜を冒頭に持って来たところでファンタジー世界である事を説明したつもり(もちろんクライマックスに向けての伏線でもある訳ですが)だと思いますが、そんなのは些細な事でしょう。

この世界の一番のキモであり、魅力でもある“真の名前”にまつわる核心の話がうまく伝えられていない事が失敗ですね。そのため“真の名を知るもの同士”の絆や“真の名を知られる事の危険性”などが観客に伝わっておらず、お陰で重要な人間関係やクライマックスの緊迫感がまるで伝わりません。ここまで伝えられないならこの設定自体スッパリ切り離した方が良かったんじゃないかと思うくらいです(それじゃゲド戦記になりませんが)。

二番目の問題はビジュアル。絵がまるで昔のテレビアニメみたいに薄っぺらです。見る前はこんなにひどいとは思いませんでした。

アニメってのは、最近の萌え系もそうでしょうが(いやよく知りませんけど)、絵ってのはとても重要な要素です。いくらいい物語を語っても絵が薄っぺらでこだわりがなければうまく伝わらない事もありますし、逆に大した話じゃなくても絵が良ければ受けたりするものです。

その絵がアレでは・・・・。ジブリなんだから宮崎親と同じスタッフが多く参加してると思いますが、それでこの体たらくでは、宮崎親の能力の高さを証明するばかりでジブリとしての評価は下がるばかり(笑)。結局ジブリはクリエイティブ集団ではなかった、宮崎駿のプライベート作業集団だったって事ですね、残念ですけど。

これがジブリ作品じゃなければもう少し甘めの点数つけてもいいのかもしれません。とは言えやっぱり映画づくりに対して熱心さのない人間が作ったという事は透けて見えるので、映画観てる人ほどそのいやらしさは伝わって来ちゃうんじゃないですかねぇ。つまり「こうすればいいんでしょ?」みたいな型にはまった展開、絵柄、キャラクターが鼻につくんですよね。どこかで見たようなものの集合体なんですよ。ジブリ映画なのに新しいものが全くない。宮崎吾郎としての色がどこにもない(ダウンクオリティが色では情けないw)。そこが一番残念なところですね。

声を当ててる役者もサイアクですね。みんなくぐもっちゃって。声優にシロウト使うようになってから本当にジブリはひどくなりました(菅原文太だろうが田中裕子だろうが、声優としてはシロウトですよ)。多分プロモーション優先の体制になったって事の端的な現れだったんでしょうね。セリフってのは物語を進める推進役ですからね。それがちゃんと伝わる努力を怠って話題性を取ってるって事だから。

もうジブリを本気で立て直そうとするなら、宮崎駿と高畑勲辺りがクーデターを起こして鈴木敏夫を追い出すくらいの意気込みが必要だね。もしくは雇われ社長がやる気出すか。本当にいい作品を作っていれば、売り込みが下手でも何とかなると思うんですよ。売り込みだけの会社には明日はないですよ。


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ジブリで好きな作品一覧。レビューしてないけど(笑)。なんだ、ホントに好きな作品は多くないな・・・・。「となりのトトロ」「魔女の宅急便」はBlu-rayすらまだ発売されていないの?儲け考え過ぎだな(木亥火暴)。
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GANTZ/GANTZ PERFECT ANSWER [邦画レビュー]

GANTZ PERFECT ANSWER.jpg「GANTZ」
「GANTZ PERFECT ANSWER」
(監督:佐藤信介)

大学生の玄野計(二宮和也)と同級生の加藤勝(松山ケンイチ)はある日、酔っ払って線路に転落したサラリーマンを救った代わりに轢死してしまう。しかし死んだと思った瞬間、彼らは不思議なマンションの一室へと移動する。何人かが集まっていたその部屋から表に出る事は出来ず、更に不思議な事に直径2m程の真っ黒い球[GANTZ]が部屋の真ん中に置かれていた。そしてGANTZの表面にミッションが表示される。“帰りたかったら この方をやっつけに 行ってください/ねぎ星人…” 彼らの戦いが始まった。(「GANTZ」)

前作最後の戦いで加藤を失った玄野は、現実世界では彼を慕う小島多恵(吉高由里子)と共に加藤の弟・歩(千阪健介)の世話をし、GANTZに召喚されると100点目指して戦いを続けていた。星人を倒して点を取り続け100点になると、自らがGANTZの記憶を消されて現実世界に復活するか、もしくは死んだ誰かを生き返らせる事が出来るのだ。玄野は加藤を生き返らせようとしていたのだ。しかしそんな中、何故か加藤は現実世界に不意に現れる。不審に思う玄野に更なる衝撃が走る。GANTZのミッションに送られ、黒服星人を倒そうと転送された先は地下鉄の中、しかもそれは全くの現実世界だったのだ!巻き添えで一般人が次々と死んでいく。そして逃げ惑う人々の中に、玄野と相愛となった多恵の姿もあった・・・・。(「GANTZ PERFECT ANSWER」)

一作目のレビューが出来ないままに二作目を観ちゃったので、合わせてのレビューです(笑)。ちなみにワタシは原作を全く読んでない人です。

一作目は意外と面白かったです。こんな話だけど、基本的には美術は現実世界だし、作り物然としたところは余りなくて安定して観れた。星人との戦いも3回が3回ともちゃんと意味があって、作り分けられていたので物語もちゃんと進行していたし、最後に玄野くんがイヤなキャラでボロボロになったりするのも悪くないし続編に期待を持たせる感じだったと思う。

ただ二作目がちょっといただけなかったなぁ。結局詰め込み過ぎって感じでしょうかね。一作目をゆったり目に作ったから、二作目にしわ寄せが来たって感じで。キャラクター描写(多くのキャラクターをそれぞれちゃんと立てていたのは良かったが)や話の展開を意識するあまり、逆に映画としては破綻してしまったのかもしれない。

結局最初の主な戦いである黒服星人との戦い始め辺りから、延々と戦いが続いてしまう。お休みがほとんどない。だから黒服星人、GANTZの仲間たち、ニセ加藤などと戦う相手が変わって行っても、なんだか平坦な印象を受けてしまう。上映時間が長く(141分)、一作目程のアクションの変化もなく、同じような戦闘が延々と続く状態では、残念ながら退屈を感じざるを得ない。ここはやっぱり後半の戦闘シーンをぎゅっと圧縮して、前半にちゃんとした戦いを入れ、そこで玄野のスーパーな戦いぶりや鈴木良一(田口トモロヲ)の漁父の利を得る戦いぶりをw描いておくべきだった。そこを素っ飛ばしてしまったからバランスが悪くなったのだ。

ハッキリ言ってアクションシーンは、ボリュームは二作目の方が多いかもしれないが、一作目の方がよほど良い。それはそれぞれの戦いの時の主人公・玄野の意識の違いやシチュエーションの違い、そして星人の性格付けが全く違ったからだ。

今作では全て(見た目は)普通の人間。シチュエーションも暗い場所ばかり。いくら相手が強くともバリエーションは乏しい。強さの演出も、やっつけてもやっつけても効果がないっていう一点張りでは・・・・。

結局謎の解明もよく分からず仕舞い。GANTZが謎なのはいいとしても、星人って何なのか?GANTZ世界と現実世界の扱いってどういう違いだったの?(次元が違うとか?)黒服星人の言ってた復讐ってどういう意味?星人はみんな仲間って事?等々・・・・全て解決しないまま終わってしまった。それともワタシの頭が悪いだけで、頭が良ければ読み解けるのかなぁ・・・・。

良かったのは次々と出て来る女優陣がみんなかわいかった事ですかね(木亥火暴)。性格悪いヤツ多かったけど・・・・。高校生役の緑友利恵や黒服参の水沢奈子、アイドル役の伊藤歩(彼女、サントリーオールドで國村隼の娘役だった人だったんだ!)まで、なかなか眼福でした(笑)。その辺りはちゃんと大勢のキャラクターを描き分ける演出がされた事の良さが出てると思いますね。とは言えそれで映画が破綻してしまっては本末転倒ですが(汗)。

「20世紀少年」もそうだったけど、どうして超大作シリーズのラストをガチッと終わらせてくれないんですかね〜。消化不良なんだよなぁ。


佐藤監督前作。レビューはこちら
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