ホドロフスキーのDUNE(字幕版) [洋画レビュー]
「ホドロフスキーのDUNE」(字幕版)
(監督:フランク・パヴィッチ)
「エル・トポ」などで知られる鬼才の映画監督、アレハンドロ・ホドロフスキー。その強烈なアート指向を持つ彼が1974年に企画した映画は・・・・SF映画「DUNE」だった!最高のスタッフと最高の出演者を揃えたその企画は、一年後にあり得ない結末を迎える事になる。その企画の一部始終を関係者へのインタビューと当時の資料を中心に描いたドキュメンタリー。
ワタシがホドロフスキー監督の「DUNE」の話を目にしたのはその企画が頓挫した後、創刊間もないツルモトルーム版スターログの紙面だったと思う。現物が手元にあるはずなのに探せていないのだが、多分クリス・フォス特集で「DUNE」用にデザインされたスペースシップのイラストを見たのではなかったか。
その辺りのキャプションだか別のコラムだかで、この企画の頓挫を嘆くスターログ編集部の文章が載っていたと思うのだが、そのスゴさを今回のドキュメンタリー映画でまざまざと体感できた。
まずはホドロフスキーのアートに対する真摯な姿勢と情熱、そしてその迫力ある人物像!インタビュー時で84歳という年齢を感じさせない若々しさ、視線の強さには感嘆の他ない。この映画は彼のインタビュー映像が7割という印象だが、とにかく他の一流どころのインタビューシーンを押しのけて、最後は結局彼の話しているシーンしか記憶に残らないくらいだ(笑)。
そして彼が『コイツだ!』と言って連れて来るスタッフキャストたるや。まず自分の考えを映像プランにするために膨大な絵コンテをつくるのだが、そのために雇われたのがジャン・ジロー=メビウスだった。彼はコスチュームやクリーチャーデザインも担当した。
スペースシップデザインを担当したのは、上でも触れた通りクリス・フォス。当時の彼はメカもののイラストレーターとしては突出した存在だった。
敵方の根城であるハルコンネン城のデザインはH.R.ギーガー。彼の独特な世界観は他の追随を許さぬものだ。
特殊効果の担当を選ぶ時、ホドロフスキーが真っ先に紹介されたのは、本当は当時の第一人者、ダグラス・トランブルだった。しかしホドロフスキーは彼と会った上で、『彼は芸術家ではない』という理由で起用せず。たまたま見たSF映画「ダーク・スター(ジョン・カーペンター初監督作)」の特殊効果を気に入ったホドロフスキーは、ダン・オバノンを招聘する。
音楽のピンクフロイド(名前は知ってるw)、マグマ(全く知らないw)、そしてキャストのサルバドール・ダリ、ミック・ジャガー、オーソン・ウェルズなどもスゴいが、ワタシは上記の4人が揃っている事に感動する。そりゃジャンルもの好きとしては当然かな(笑)。
今作ではフォスとギーガーがインタビュー映像で登場。これも自分としては感動もの。どちらも画集を持ってるし。ギーガーはこれが映画出演としては遺作となった。
ダン・オバノンは音声と、彼の奥さんが登場する。彼は2009年に65歳の若さで亡くなった。メビウスも2012年に73歳で亡くなっている。
「DUNE」プロジェクトの時はみな若く、ホドロフスキーが46歳だったのが最年長ということなのだが、ホドロフスキーが健在なうちにこうして亡くなってしまう人たちがいるのは寂しい限りだ。
作中でもこのプロジェクトのビジュアルが、その後の作品にインスピレーションを与えていると言及しているが、直接的な影響と言えばやはり「エイリアン」という事になるだろう。
「エイリアン」には原作者のダン・オバノンが「DUNE」のスタッフを招聘したとのこと。タイトルロールのエイリアンデザインで一躍有名になったギーガー、宇宙服デザインが印象的なメビウス、そして最終的には未採用となってしまったがスペースシップデザインに参画したフォス。ある意味「エイリアン」は「DUNE」の直系の子孫なのかもしれない。
(監督:フランク・パヴィッチ)
「エル・トポ」などで知られる鬼才の映画監督、アレハンドロ・ホドロフスキー。その強烈なアート指向を持つ彼が1974年に企画した映画は・・・・SF映画「DUNE」だった!最高のスタッフと最高の出演者を揃えたその企画は、一年後にあり得ない結末を迎える事になる。その企画の一部始終を関係者へのインタビューと当時の資料を中心に描いたドキュメンタリー。
ワタシがホドロフスキー監督の「DUNE」の話を目にしたのはその企画が頓挫した後、創刊間もないツルモトルーム版スターログの紙面だったと思う。現物が手元にあるはずなのに探せていないのだが、多分クリス・フォス特集で「DUNE」用にデザインされたスペースシップのイラストを見たのではなかったか。
その辺りのキャプションだか別のコラムだかで、この企画の頓挫を嘆くスターログ編集部の文章が載っていたと思うのだが、そのスゴさを今回のドキュメンタリー映画でまざまざと体感できた。
まずはホドロフスキーのアートに対する真摯な姿勢と情熱、そしてその迫力ある人物像!インタビュー時で84歳という年齢を感じさせない若々しさ、視線の強さには感嘆の他ない。この映画は彼のインタビュー映像が7割という印象だが、とにかく他の一流どころのインタビューシーンを押しのけて、最後は結局彼の話しているシーンしか記憶に残らないくらいだ(笑)。
そして彼が『コイツだ!』と言って連れて来るスタッフキャストたるや。まず自分の考えを映像プランにするために膨大な絵コンテをつくるのだが、そのために雇われたのがジャン・ジロー=メビウスだった。彼はコスチュームやクリーチャーデザインも担当した。
スペースシップデザインを担当したのは、上でも触れた通りクリス・フォス。当時の彼はメカもののイラストレーターとしては突出した存在だった。
敵方の根城であるハルコンネン城のデザインはH.R.ギーガー。彼の独特な世界観は他の追随を許さぬものだ。
特殊効果の担当を選ぶ時、ホドロフスキーが真っ先に紹介されたのは、本当は当時の第一人者、ダグラス・トランブルだった。しかしホドロフスキーは彼と会った上で、『彼は芸術家ではない』という理由で起用せず。たまたま見たSF映画「ダーク・スター(ジョン・カーペンター初監督作)」の特殊効果を気に入ったホドロフスキーは、ダン・オバノンを招聘する。
音楽のピンクフロイド(名前は知ってるw)、マグマ(全く知らないw)、そしてキャストのサルバドール・ダリ、ミック・ジャガー、オーソン・ウェルズなどもスゴいが、ワタシは上記の4人が揃っている事に感動する。そりゃジャンルもの好きとしては当然かな(笑)。
今作ではフォスとギーガーがインタビュー映像で登場。これも自分としては感動もの。どちらも画集を持ってるし。ギーガーはこれが映画出演としては遺作となった。
ダン・オバノンは音声と、彼の奥さんが登場する。彼は2009年に65歳の若さで亡くなった。メビウスも2012年に73歳で亡くなっている。
「DUNE」プロジェクトの時はみな若く、ホドロフスキーが46歳だったのが最年長ということなのだが、ホドロフスキーが健在なうちにこうして亡くなってしまう人たちがいるのは寂しい限りだ。
作中でもこのプロジェクトのビジュアルが、その後の作品にインスピレーションを与えていると言及しているが、直接的な影響と言えばやはり「エイリアン」という事になるだろう。
「エイリアン」には原作者のダン・オバノンが「DUNE」のスタッフを招聘したとのこと。タイトルロールのエイリアンデザインで一躍有名になったギーガー、宇宙服デザインが印象的なメビウス、そして最終的には未採用となってしまったがスペースシップデザインに参画したフォス。ある意味「エイリアン」は「DUNE」の直系の子孫なのかもしれない。
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