マレフィセント(吹替版) [洋画レビュー]
「マレフィセント」(吹替版)
(監督:ロバート・ストロンバーグ)
そこは隣り合った人間の国と妖精の国が仲違いをし、お互いに行き来を禁止していた。しかしある日、人間の少年が妖精の国に入り込んで来る。妖精の国を守っている少女・マレフィセントは少年と会話を交わし、お互いに好感を抱いた。それから少年は事あるごとにマレフィセントに会いに来るようになり、二人は恋愛と呼べる程に近い関係になるが、野心家の少年はある時を境に不意にマレフィセントの前から消えるのだった。そして二人が大人になって(アンジェリーナ・ジョリー/シャールト・コプリー)再び再会した時、悲劇が起こる・・・・。
あの手この手で映画化され続けている最近のハリウッド版“童話シリーズ”。「アリス・イン・ワンダーランド」「オズ はじまりの戦い」「スノーホワイト」「白雪姫と鏡の女王」「赤ずきん」「ジャックと天空の巨人」などなど、様々な形で作られていますね。
今作のモチーフはもちろん「眠れる森の美女」。「アリス〜」はその後、「オズ〜」はプリクエル、などと作品ごとに製作者は、物語にどう独自の色をつけて行くか努力している。今作では『悪役の側から見た物語』である。
これは結構面白い。元の物語を違う視点から語り直そうという行為は、元の物語の隙間を埋めて行くような作業だ。それによって元の物語への理解がより深まるという側面もあるし、元の物語とかみ合う事でパズル的な『あ、そういう事か!』と思わせてくれる楽しさもある。
もっと言ってしまえば元の物語が壮大な伏線であり、新作でその伏線を回収して行く、といった楽しみ方が出来るという事だ。
というイメージを持って観に行ったわけだが(前振り長過ぎ笑)・・・・どちらかというと肩すかしだったかな。
マレフィセントが、本当は素晴らしい羽根(大鷲のような立派で強力なもの)を実は持っているのに、「眠れる森の美女」ではそうではなかった理由などはうまく出来ていたと思うのだが、物語後半に行くに従って、元の物語と段々乖離して行ってしまったのが残念だ。
そう、実は結末が元の物語から変わってしまっているのである。それって、上記のような期待を持ったワタシのような観客に取っては反則に近い。
外見上は「眠れる森の美女」と同じストーリーラインをなぞりながら、しかし裏側ではこうですよ、とか、元の物語のエンディング後にもう一騒動あって今作のクライマックスが来るとか、そういったものだったら納得性があったんだけどなぁ。
途中マレフィセントが、三人の妖精たち(イメルダ・スタウントン/ジュノー・テンプル/レスリー・マンヴィル)が育てているオーロラ姫の様子を伺っているところもやや退屈。マレフィセントがオーロラ姫に感情移入していく過程が大事なのは分かるが、余りにも中だるみな印象だ。オーロラが小さい時の事はもっとコンパクトにしても全然OKだったと思う。
マレフィセントの部下となる、カラスの化身・ディアヴァル(サム・ライリー)の存在は良かった。マレフィセントとのやり取りの中で、お互いの個性や感情の動きがハッキリしてドラマが分かりやすくなったし、キャラクターとしてもディアヴァルはコメディリリーフ的な扱いで、“悪役”が主役の物語としての重さを中和していた。
ただ折角ならディアヴァルがマレフィセントかオーロラに恋愛感情を持っているような描写があると、このキャラクターがもっと生きたと思うけど。
ステファン王役のシャールト・コプリーの怪演もちょっと生かし切れなかった印象(笑)。上手いんだけどなぁ。焦燥感漂うところや、狂気に取り付かれたところ等、「第9地区」的な見せ場もあるのだが、監督的には添え物といった考え方だったようだ。今作ではある意味、本当の悪役は彼なのだから、彼を魅力的に描いておけば充実感が随分とアップしたと思うのだが。やり過ぎると作品全体が怖いものになって、ファミリー映画的なところから逸脱し過ぎるという心配が働いたか。
もう一つ残念だったのは妖精の国の様々なキャラクターがCGの粋を出ていない事。画面がファンタジー的味付けだから生物感を出すのは難しかったとは思うが、キャラクターの目がガラス玉的なものにしか見えず、生きているとは思えなかったのが残念。ここって監督の腕の見せ所だったのだと思うのだが(監督はプロダクションデザイナー出身)。
なんか、悪口ばっかりになっちゃったな(笑)。さらっと見れば、単純に楽しめる映画だと思うけど。傑作「プレーンズ2/ファイアー&レスキュー」の後に見たから、余計シビアな目線になっちゃってたかも(笑)。
(監督:ロバート・ストロンバーグ)
そこは隣り合った人間の国と妖精の国が仲違いをし、お互いに行き来を禁止していた。しかしある日、人間の少年が妖精の国に入り込んで来る。妖精の国を守っている少女・マレフィセントは少年と会話を交わし、お互いに好感を抱いた。それから少年は事あるごとにマレフィセントに会いに来るようになり、二人は恋愛と呼べる程に近い関係になるが、野心家の少年はある時を境に不意にマレフィセントの前から消えるのだった。そして二人が大人になって(アンジェリーナ・ジョリー/シャールト・コプリー)再び再会した時、悲劇が起こる・・・・。
あの手この手で映画化され続けている最近のハリウッド版“童話シリーズ”。「アリス・イン・ワンダーランド」「オズ はじまりの戦い」「スノーホワイト」「白雪姫と鏡の女王」「赤ずきん」「ジャックと天空の巨人」などなど、様々な形で作られていますね。
今作のモチーフはもちろん「眠れる森の美女」。「アリス〜」はその後、「オズ〜」はプリクエル、などと作品ごとに製作者は、物語にどう独自の色をつけて行くか努力している。今作では『悪役の側から見た物語』である。
これは結構面白い。元の物語を違う視点から語り直そうという行為は、元の物語の隙間を埋めて行くような作業だ。それによって元の物語への理解がより深まるという側面もあるし、元の物語とかみ合う事でパズル的な『あ、そういう事か!』と思わせてくれる楽しさもある。
もっと言ってしまえば元の物語が壮大な伏線であり、新作でその伏線を回収して行く、といった楽しみ方が出来るという事だ。
というイメージを持って観に行ったわけだが(前振り長過ぎ笑)・・・・どちらかというと肩すかしだったかな。
マレフィセントが、本当は素晴らしい羽根(大鷲のような立派で強力なもの)を実は持っているのに、「眠れる森の美女」ではそうではなかった理由などはうまく出来ていたと思うのだが、物語後半に行くに従って、元の物語と段々乖離して行ってしまったのが残念だ。
そう、実は結末が元の物語から変わってしまっているのである。それって、上記のような期待を持ったワタシのような観客に取っては反則に近い。
外見上は「眠れる森の美女」と同じストーリーラインをなぞりながら、しかし裏側ではこうですよ、とか、元の物語のエンディング後にもう一騒動あって今作のクライマックスが来るとか、そういったものだったら納得性があったんだけどなぁ。
途中マレフィセントが、三人の妖精たち(イメルダ・スタウントン/ジュノー・テンプル/レスリー・マンヴィル)が育てているオーロラ姫の様子を伺っているところもやや退屈。マレフィセントがオーロラ姫に感情移入していく過程が大事なのは分かるが、余りにも中だるみな印象だ。オーロラが小さい時の事はもっとコンパクトにしても全然OKだったと思う。
マレフィセントの部下となる、カラスの化身・ディアヴァル(サム・ライリー)の存在は良かった。マレフィセントとのやり取りの中で、お互いの個性や感情の動きがハッキリしてドラマが分かりやすくなったし、キャラクターとしてもディアヴァルはコメディリリーフ的な扱いで、“悪役”が主役の物語としての重さを中和していた。
ただ折角ならディアヴァルがマレフィセントかオーロラに恋愛感情を持っているような描写があると、このキャラクターがもっと生きたと思うけど。
ステファン王役のシャールト・コプリーの怪演もちょっと生かし切れなかった印象(笑)。上手いんだけどなぁ。焦燥感漂うところや、狂気に取り付かれたところ等、「第9地区」的な見せ場もあるのだが、監督的には添え物といった考え方だったようだ。今作ではある意味、本当の悪役は彼なのだから、彼を魅力的に描いておけば充実感が随分とアップしたと思うのだが。やり過ぎると作品全体が怖いものになって、ファミリー映画的なところから逸脱し過ぎるという心配が働いたか。
もう一つ残念だったのは妖精の国の様々なキャラクターがCGの粋を出ていない事。画面がファンタジー的味付けだから生物感を出すのは難しかったとは思うが、キャラクターの目がガラス玉的なものにしか見えず、生きているとは思えなかったのが残念。ここって監督の腕の見せ所だったのだと思うのだが(監督はプロダクションデザイナー出身)。
なんか、悪口ばっかりになっちゃったな(笑)。さらっと見れば、単純に楽しめる映画だと思うけど。傑作「プレーンズ2/ファイアー&レスキュー」の後に見たから、余計シビアな目線になっちゃってたかも(笑)。
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2014-07-31 03:07
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