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おおかみこどもの雨と雪 [邦画レビュー]

T0012138.jpg「おおかみこどもの雨と雪」
(監督:細田守)

大学生の花(宮﨑あおい)はある日の授業で不思議な雰囲気をたたえた青年(大沢たかお)と出会う。二人は付き合うようになるが、実は青年は狼男の最後の一人であった。それでも花は彼を愛し、やがて二人の間には長女の雪が、翌年には長男の雨が誕生する。しかし雨の誕生直後、青年は亡くなってしまうのだった・・・・。

「時をかける少女」、そして「サマーウォーズ」がスマッシュヒットして期待のアニメ作家となった細田守監督の長編オリジナル作品第二弾。ううん・・・・判断の難しい作品だなぁ(汗)。

元々細田監督は「時をかける少女」でも、良く言えば坦々とした日常を繊細に描く事を得意としている。逆に言うと物語の抑揚に欠ける。

「サマーウォーズ」は登場人物も多彩だし、特に劇中の事件がデカく、その事件に引きずられるように物語も抑揚を増して行った印象だった。しかし今作では事件規模が「時をかける少女」並に戻ったからか、物語も坦々とした語り口に戻ってしまったようだ。

まぁ映画の手法としてはアリなのでそれ自体が悪いわけじゃないんだが・・・・そういうのは実写でやった方がいい、と思う。

一般論だが、アニメってのは微妙なニュアンスを伝えるには不向きな媒体だ。本当に生きている役者を、取り囲んでいる空気感ごと、生きているカメラマンが切り取る実写映画。動いているのかいないのか分からない程微妙な手先の動き、体の動きに合わせて揺れる髪の毛一本一本、風の流れ、ゆっくり動く雲・・・・そしてそこに意味性を持たせるカメラアングルや演出。アニメで本当の意味でこれらを表現し、そこに魅力を持たせる事は不可能に近い。どうしても表現したければ、誇張したものにせざるを得ないのだ。

そう、アニメの画面というのは、現実世界の出来事を誇張したものだ。それはキャラクターの目や口が本当の人間に比べて非常に大きく描かれている事に端的に現れている。アニメで感情表現・表情を観客に伝えるためには、顔のパーツを大きく描く必要があったのだ。

遠回しな言い方になってしまったが、上記のようなアニメの特性により、基本的なドラマツルギーもアニメ映画では実写より誇張した抑揚のある表現の方があっていると思う。細田監督がその事をもっと意識して映画全体の組み立てをすれば、今作の良質な内容はそのままに、もっともっと一般性の高い、観客に満足感を与えられる作品になるんじゃないかと思う・・・・。



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