TIME/タイム(吹替版) [洋画レビュー]
「TIME/タイム」
(監督:アンドリュー・ニコル)
遺伝子操作によって、人類の肉体は25歳で止まり、永遠に生きられるようになった。しかし同時に“生きる時間”は通貨の代わりになり、コーヒー一杯買うにもバスに乗るにも生きる時間で支払うようになっていた。そして富裕層は100年も生きる時間を溜め込んで怠惰に毎日を送るのに対し、貧困層は日雇い労働を毎日こなしてやっと明日の生命を手に入れるのだった。
貧困層の住むスラムゾーンで母親(オリヴィア・ワイルド)と暮らすウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)はある日、スラムゾーンに来るはずのない富裕層の男(マット・ボマー)を強盗(アレックス・ペティファー)の一派から救い出す。するとその男はウィルに自分の余命116年余りを譲り渡し、自殺する。ウィルはその有り余る“富”を持って母親との待ち合わせ場所に向かうが、アクシデントから余命時間の受け渡しが間に合わず、母親はウィルの腕の中で絶命する。ウィルはこの時間=通貨システムへの復讐を考え始めるが・・・・。
アンドリュー・ニコル監督の最新作。あ、最初に書いておくと、クライムアクション映画として普通に面白いですよ(笑)。
25歳で肉体年齢が止まる、という設定によって登場人物のほとんどがカッコいい&美しい姿で登場するし、腕に仕込まれた時間表示もなかなかクールだ。いくら遺伝子操作したからって、そういう肉体に変わる事は不可能だという事はここでは言っちゃいけないよ(笑)。
出てくる車はクラシックな車ばかりで、ただそれがSFとしてはレトロフューチャーに見えてくるんだから不思議。この辺りは監督の手腕かなw
で、監督の作品はこれで4作目となるが、ワタシが見たのは1作目の「ガタカ」のみ。という事でどうしても「ガタカ」と比べたくなっちゃうんだよなぁ。
「ガタカ」と比較すると、なんだか普通のアクション作品、という感じがする。「ガタカ」と今作の共通点は“SFらしくない美術”か。ほとんどのシーンで現代またはクラシカルな雰囲気の風景の中で物語は展開する。「ガタカ」ではそれでも尚、撮影や画面構成の力で圧倒的な画面の美しさ、SFらしさが漂っていたのだが、今作ではそこまでの力を感じられなかった。
お陰で今作は「ガタカ」にあった“A級作品的品格”を手に出来なかった。それで、だろうか。アクション映画として普通に面白いのだが、アンドリュー・ニコル作品としては何だか消化不良な気がしてしまうのだ。それが今作の一番残念な点かな。
もう一つはタイムリミットサスペンスが今イチ利いていない気がする。ギリギリの時間で“死の刻”をすり抜けて行くような描写が余りないし、あっても切迫感を感じられない。それがもっとしっかりと描写されていれば、作品の中にピンと張った緊張感が感じられたと思うのだが。折角の面白い設定が生かし切れていないのは残念だ。
もう一つ、あえて指摘するなら、残念ながら冒頭の母親絶命シーンの悲痛な悲しみが観客に全く伝わってこない(爆)。設定の問題なのだが、全員が見目麗しき肉体年齢25歳という設定なので、『これがウィルの母親です』と言われても全然感情移入出来ないのだ。特に映画が始まって間もないシチュエーションなので、観客がその設定に馴染み切れていない中で見せられる愁嘆場だからなのかもしれないが。ワタシなんかやや滑稽さを感じてしまった程だ。
これなら無理に母親にせず、仲の良い姉という設定にしておけば良かったんじゃなかろうか。子供も母親も25歳、という所を見せて、設定の説明の補完をしたつもりだと思うが、ここはウィルがシステムへの復讐を誓う物語上最も重要なシーンだ。観客の感情移入を優先させるべきだったとワタシは思う。
人物描写に関して言うと、今作は小悪党役のアレックス・ペティファーや富裕層の親玉役のヴィンセント・カーシーザー、そして時間監視局員役のキリアン・マーフィなど、脇の男がみんな魅力的で、残念ながら俳優としてはまだまだ駆け出しの主役のジャスティンは力負けの印象。設定的にもウィルは単純過ぎて難しかったかもしれない。
そう言えば思わせぶりだったウィルの父親の話って中途半端に終わった気がするが・・・・。
吹替版を見たので簡単に触れておくと、残念ながらシルヴィア(アマンダ・サイフリッド)役の篠田麻里子が棒読みなのがいただけなかった・・・・。今作を観るなら字幕版をお勧めします(汗)。アマンダ本人は右のほうれい線上に吹出物?が出ててそれが残念だったな(木亥火暴)。
アンドリュー・ニコル監督作品。「シモーヌ」はどうなのかなぁ・・・・今まで寡作だったのに、次の作品はもう決まっていて、シアーシャ・ローナン主演の「ザ・ホスト」というSFラブストーリー。2013年全米公開予定。
(監督:アンドリュー・ニコル)
遺伝子操作によって、人類の肉体は25歳で止まり、永遠に生きられるようになった。しかし同時に“生きる時間”は通貨の代わりになり、コーヒー一杯買うにもバスに乗るにも生きる時間で支払うようになっていた。そして富裕層は100年も生きる時間を溜め込んで怠惰に毎日を送るのに対し、貧困層は日雇い労働を毎日こなしてやっと明日の生命を手に入れるのだった。
貧困層の住むスラムゾーンで母親(オリヴィア・ワイルド)と暮らすウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)はある日、スラムゾーンに来るはずのない富裕層の男(マット・ボマー)を強盗(アレックス・ペティファー)の一派から救い出す。するとその男はウィルに自分の余命116年余りを譲り渡し、自殺する。ウィルはその有り余る“富”を持って母親との待ち合わせ場所に向かうが、アクシデントから余命時間の受け渡しが間に合わず、母親はウィルの腕の中で絶命する。ウィルはこの時間=通貨システムへの復讐を考え始めるが・・・・。
アンドリュー・ニコル監督の最新作。あ、最初に書いておくと、クライムアクション映画として普通に面白いですよ(笑)。
25歳で肉体年齢が止まる、という設定によって登場人物のほとんどがカッコいい&美しい姿で登場するし、腕に仕込まれた時間表示もなかなかクールだ。いくら遺伝子操作したからって、そういう肉体に変わる事は不可能だという事はここでは言っちゃいけないよ(笑)。
出てくる車はクラシックな車ばかりで、ただそれがSFとしてはレトロフューチャーに見えてくるんだから不思議。この辺りは監督の手腕かなw
で、監督の作品はこれで4作目となるが、ワタシが見たのは1作目の「ガタカ」のみ。という事でどうしても「ガタカ」と比べたくなっちゃうんだよなぁ。
「ガタカ」と比較すると、なんだか普通のアクション作品、という感じがする。「ガタカ」と今作の共通点は“SFらしくない美術”か。ほとんどのシーンで現代またはクラシカルな雰囲気の風景の中で物語は展開する。「ガタカ」ではそれでも尚、撮影や画面構成の力で圧倒的な画面の美しさ、SFらしさが漂っていたのだが、今作ではそこまでの力を感じられなかった。
お陰で今作は「ガタカ」にあった“A級作品的品格”を手に出来なかった。それで、だろうか。アクション映画として普通に面白いのだが、アンドリュー・ニコル作品としては何だか消化不良な気がしてしまうのだ。それが今作の一番残念な点かな。
もう一つはタイムリミットサスペンスが今イチ利いていない気がする。ギリギリの時間で“死の刻”をすり抜けて行くような描写が余りないし、あっても切迫感を感じられない。それがもっとしっかりと描写されていれば、作品の中にピンと張った緊張感が感じられたと思うのだが。折角の面白い設定が生かし切れていないのは残念だ。
もう一つ、あえて指摘するなら、残念ながら冒頭の母親絶命シーンの悲痛な悲しみが観客に全く伝わってこない(爆)。設定の問題なのだが、全員が見目麗しき肉体年齢25歳という設定なので、『これがウィルの母親です』と言われても全然感情移入出来ないのだ。特に映画が始まって間もないシチュエーションなので、観客がその設定に馴染み切れていない中で見せられる愁嘆場だからなのかもしれないが。ワタシなんかやや滑稽さを感じてしまった程だ。
これなら無理に母親にせず、仲の良い姉という設定にしておけば良かったんじゃなかろうか。子供も母親も25歳、という所を見せて、設定の説明の補完をしたつもりだと思うが、ここはウィルがシステムへの復讐を誓う物語上最も重要なシーンだ。観客の感情移入を優先させるべきだったとワタシは思う。
人物描写に関して言うと、今作は小悪党役のアレックス・ペティファーや富裕層の親玉役のヴィンセント・カーシーザー、そして時間監視局員役のキリアン・マーフィなど、脇の男がみんな魅力的で、残念ながら俳優としてはまだまだ駆け出しの主役のジャスティンは力負けの印象。設定的にもウィルは単純過ぎて難しかったかもしれない。
そう言えば思わせぶりだったウィルの父親の話って中途半端に終わった気がするが・・・・。
吹替版を見たので簡単に触れておくと、残念ながらシルヴィア(アマンダ・サイフリッド)役の篠田麻里子が棒読みなのがいただけなかった・・・・。今作を観るなら字幕版をお勧めします(汗)。アマンダ本人は右のほうれい線上に吹出物?が出ててそれが残念だったな(木亥火暴)。
アンドリュー・ニコル監督作品。「シモーヌ」はどうなのかなぁ・・・・今まで寡作だったのに、次の作品はもう決まっていて、シアーシャ・ローナン主演の「ザ・ホスト」というSFラブストーリー。2013年全米公開予定。
>inunekoさん
nice!ありがとうございます。吹き替え残念でした・・・・
by tomoart (2012-03-11 13:02)
私はとても喜んであなたを発见の書く側がその仕事をしたいので、酌定だった。今、あなた私は理解しやすいとします。
by スーパーコピー 時計 (2012-03-21 10:25)