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兄の殺人者 [小説レビュー]

51kBic0I3WL._SS500_.jpg「兄の殺人者」(D・M・ディヴァイン)創元推理文庫

弁護士のサイモン・バーネットは家でくつろいでいるさなかに、事務所の共同経営者である兄のオリバーに呼び出される。濃霧の中を渋々オフィスに向かったサイモンを待っていたのは、オリバーの銃殺死体だった。傲慢な性格で、仕事でも私生活でも問題を抱えていた兄は、いったい誰に殺されたのか?残された書類の中にオリバーが恐喝を行っていたという証拠があり、その遺恨ではないかとの線に警察が傾いていくが、兄を良く知るサイモンは納得出来ずに独自で調査を進めるのだった。

一昨年に「悪魔はすぐそこに」「ウォリス家の殺人」という2冊を続けて読み、レビューもしたD・M・ディヴァインのデビュー作という今作(1961年刊)。本の帯ではクリスティ絶賛という言葉も踊っている。ディヴァインの本は本格派ラインだが、このデビュー作もご多分に漏れず正統派の犯人探し小説である。

刊行当時にクリスティが絶賛したとは言え、それから既に50年が過ぎようという現代なので、帯の言葉を単純に受け止めるわけにはいかないが、正統派の推理小説なのは間違いなく、ディヴァインの本を続けて読んでいて裏切られるようなデキではない。間違いなく面白い。

前2作に比べるとデビュー作という事で頑張り過ぎてるのか、やや盛り盛りな気はある。登場人物は多いし、途中から出て来るキャラが急に出て来る割にはその後結構本筋に絡んできたりと、読者の犯人探しの気を散らそうという意図が、散漫な印象も与えている。

ただ、それでもやはり面白い。主人公の恋愛感情のエモーショナルな部分がなかなかよく描けていて、それがうまくエンディングまで繋がっていくのも収まりが良くてイイ。

実はこれの前にディヴァインのもう一冊、「災厄の紳士」も読んだので、そちらも早めにレビューしたい。


兄の殺人者 (創元推理文庫)

兄の殺人者 (創元推理文庫)

  • 作者: D・M・ディヴァイン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2010/05/22
  • メディア: 文庫

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コメント 2

エコピーマン

じりじりと怖そうな作品ですね♪
by エコピーマン (2010-08-06 23:56) 

tomoart

>エコピーマンさん
nice!&コメントありがとうございます。いや、これが意外と怖くないです(木亥火暴)。本人が追い詰められないからか、結構客観的に読めます。それもディヴァインスタンダードかなw
by tomoart (2010-08-08 19:14) 

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