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マトリックス・レボリューションズ(吹替版) [洋画レビュー]

Matrix_revolutions_ver7.jpg「マトリックス・レボリューションズ」
(監督:アンディ&ラリー・ウォシャウスキー)

前作ラスト、リアルワールドで何らかの力を使ってセンチネルを退治したネオ(キアヌ・リーヴス)は、そのまま昏睡状態に陥っていた。ネブカドネザル号が破壊されたため、ハンマー号に身を寄せていたモーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)、トリニティ(キャリー・アン・モス)、リンク(ハロルド・ペリノー・ジュニア)だったが、予言者オラクル(メアリー・アリス)に会い、助言を得る為にマトリックスに潜入する。
一方、地底の人類最後の砦ザイオンには25万体のセンチネル軍団が迫っていた。ミフネ隊長(ナサニエル・リーズ)以下がAPU(アーマード・パーソナル・ユニット)を着用し迎撃に出るが、余りの多勢に次々と倒れていく。
ネオは真実の“救世主”として、人類と機械たちとの戦いを集結させる事が出来るのだろうか・・・・。

という訳で、遂に三部作を通しで見てしまったw 前作「マトリックス・リローデッド」ではかなり辛口のレビューとなってしまったが、今作は単体としての出来はどうあれw世紀をまたいだ一大叙事詩の完結編でもあり、それなりに胸に迫るものがある。

リアルワールド中心にシフトしてしまっている故に、アクション映画としては見せ場が減ってしまって、そういう意味では1作目「マトリックス」の完結編としてはかなりオリジナリティを減じてしまっているので、前作同様いただけない内容ではある。せいぜいメロビンジアン(ランベール・ウィルソン)とパーセフォニー(モニカ・ベルッチ)の店に押し入る場面と、クライマックスのネオ対スミス(ヒューゴ・ウィービング)の戦いくらい。

しかもクライマックスの戦いは、スーパーマン対決wとなってしまっているので、いくら激しくオオゲサに描かれた場面といえども、アクション映画のクライマックスとしてはかなり物足りない。人間離れし過ぎてリミッターが外されている為に、ネオの痛みが伝わって来ないのだ。ここまで来ると、この戦いをクライマックスに持って来るべきだったのか、と疑問を感じるくらいだ。

ただワタシのようなガジェッターとしては、APU対センチネルのザイオンでの戦いや、ハンマー号やロゴス号の活躍といった、ガジェット大盤振る舞いの側面が楽しいし面白い。前作ではスミス大繁殖やハイウェイ車大量破壊の“物量作戦”が力任せで面白さに繋がっていなかったが、今作でのセンチネル大量投入などは素直に機械の恐ろしさが感じられて意味があったと思う。

APU絡みではミフネ隊長のカッコ良さが際立っているがw前作から(というか「アニマトリックス」からだけど)ウザキャラとして出て来ていたキッド(クレイトン・ワトソン)の成長物語も、意外と効いていると思う。ただ、それに輪をかけて効いているのがジー(ノーナ・ゲイ)の活躍か。リンクの妻として、戦う事を選んだ彼女のゲリラ戦は、その戦いぶりと無防備に晒している体が表現している熱気によって、ある種感動を誘う。

ハンマー号の物語では、今度はナイオビ(ジェイダ・ピンケット=スミス)の活躍が楽しい。スーパーな操縦で危機を乗り越えていくシーンは、おろおろしている周りの男たちとの対比で一層彼女を引き立たせ、素直にカッコいいと思わせてくれる。

そしてロゴス号。今更ネタバレとかいう話でもないと思うので触れてしまうが、ネオを信じて同行し、途中で死んでしまうトリニティの悲劇。彼女は、ネオを人間としてつなぎ止めておく、最後の砦だった。

1作目のラストから、ネオはどんどんプログラムに近づいていく・・・というかアーキテクトの話からすると、肉体を持っているとはいえ、彼はマトリックスが仕掛けたプログラムそのものだ。1作目では非常な悩みを抱えている彼は、2作目そして今作と、どんどん達観し、人間離れしていく。目を失った彼が、美しい雲上の青空に対して何も感じられず、マシンシティの美しさを訴えるところなどは、既に彼が人間より機械たちに近い存在になったという事を大いに印象づける。

そのネオを愛し続けたトリニティ。彼女が青空を見て『美しい』と言ったシーン、カメラは彼女を単独で捉え、決して隣りのネオを映さない。既に彼女の感動に対して共感してくれる人はいない、マシンシティのど真中で孤独な存在になってしまった事を印象づける。物語としては孤独になってしまったのはネオのようだが、実は本当の孤独に包まれてしまったのはトリニティだったわけだ。
ネオと一緒に飛び立った段階で、彼女はその先で死ぬことが必然だったのだろう。

そしてそれを受けての戦い、ネオ対スミスが心情的にも盛り上がらないのは当然だ。そこには人間的なものはほとんどない。人類をウィルスと形容しておきながら自らがウィルスと化したプログラム対、ウィルス退治プログラムという戦いなのだから。

それにしてもラストシークエンス。オラクル、サティ(タンビーア・K・アトウォル)、セラフ(コリン・チョウ)に、更にアーキテクト(ヘルムート・バカイティス)と、出ている全員がプログラム。プログラムたちが人間の扱いに対して寛容になった、というシーンで物語が終わる、というのも何だか象徴的。ウォシャウスキー兄弟は、もしかしたら人間よりプログラムたちに、より愛情を感じ始めていたのかもしれない。
オラクル役を引き継いだメアリー・アリスは、よくやったと思う。グロリア・フォスターの出演シーンを研究したのか、顔立ちは全く違うものの、仕草にグロリアのオラクルを感じる事が出来た。それがなければ、ラストシークエンスも非常に平板なものになっていただろう。三作中最もオラクルの出演シーンが多い作品なので、グロリアが演じていたら・・・と思ってしまうのも事実だが、詮無い事ではある・・・・。

こう考えてみると、今作は非常に女性の活躍する作品だったのだな、と思い知らされる。トリニティ、ジー、オラクル、サティも。そして今作のヒロインはナイオビだ。公開時に発売されたゲーム版では主役を張っていたというキャラクターだけあって、非常にカッコ良く描かれている。そしてそれをウィル・スミスの奥さんでもあるwジェイダ・ピンケット=スミスが魅力いっぱいに演じている。今作で一番輝いていたのは彼女だったように思う。


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エコピーマン

なんか微妙ですね でもレンタルで見ると思います♪
by エコピーマン (2010-07-12 14:17) 

tomoart

>りぼんさん
>cfpさん
>coco030705さん
nice!ありがとうございます。

>エコピーマンさん
nice!&コメントありがとうございます。見てみてくださいw その際は1作目からどうぞ!(笑)
by tomoart (2010-07-14 02:27) 

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